’19年に発売された限定車を経て、トライアンフ新型ロケット3の量産仕様が上陸した。バリエーションは2種類あり、現在日本で販売されているのはロードスタータイプの「ロケット3R」だ。その走りやいかに?
[◯] 見た目はマッスルだが非常にフレンドリー
’04年にデビュー、’16年に生産終了となった先代よりもややコンパクトな印象の新型ロケット3R。完全新設計の水冷直列3気筒エンジンをはじめ、ダイヤモンドフレームは鋼管からアルミへ、スイングアームは両持ちから片持ち式となるなど、先代から継承したのはほぼネーミングのみ。事実、車重は40kgも軽くなったなど進化の歩幅は非常に広いのだ。
まずはエンジンから。2458ccの水冷トリプルは、最大トルク221Nmこそ最終型のロードスターと共通だが、発生回転数が2750→4000rpmへとやや高回転側へシフト。最高出力は148psから167psにアップし、レッドゾーンは6500rpm以上だ。
スペックばかりに目が行きがちだが、この新型エンジンは1気筒あたり820ccもあるとは思えないほど回転フィールがジェントルだ。どのライディングモード(ロード/レイン/スポーツ/ライダー)でもレスポンスは過敏すぎず、もっとも元気のいいスポーツモードですら街乗りで扱いやすい。トップ6速100km/hでの回転数は2200rpmあたりで、その領域でかすかに伝わる脈動感は6気筒エンジンに迫るシルキーなものだ。そして、スロットルを大きく開ければ瞬間移動とも表現できるほど怒濤の加速力を見せ、この二面性こそが真骨頂だと言えそうだ。
ハンドリングもいい。どの速度域でも入力に対する倒れ込みがナチュラルで、特殊な操縦は必要なし。前後タイヤが極太な上に軸距が1677mmと長いので、決して旋回力は高くはないが、動きのいいサスとしなやかなフレームによりスポーティーな雰囲気が楽しめる。そして、その優秀な走りを支えているのが前後のブレンボキャリパーで、これだけの巨体をもってしても絶対制動力やコントロール性に不満がない。ちなみにこのロケット3RはIMUを搭載しており、コーナリングABSや坂道発進で便利なヒルホールドコントロールを採用。キーレスやクルーズコントロール、さらにはオプションでシフトアシストを用意するなど、電脳化もかなり進歩しているのだ。
[△] 発熱量と燃費は覚悟を。左側に寄るクセもあり
2458ccのエンジンが発する熱量はハンパなく、また燃費も本誌計測で10km/Lという結果に。さらにミッションから駆動系が左側に集中しているためか、直進時に左側へ寄りたがる傾向あり。加えて熱ダレなのか燃調の息継ぎも何度かあった。
[こんな人におすすめ] 誰もが振り向く強烈な存在感。唯一無二の世界
2500ccのバイクなんて乗れるのか? なんて思いがちだが、ハーレーのファットボーイよりも安くて乾燥重量が軽いと聞けば、ハードルはやや下がるはず。燃費などネガは少なくないが、この唯一無二の世界観はハマる可能性大!
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