’04年にスペインで誕生した小排気量専門ブランド「レオンアート」が日本に上陸した。社長が日本のロボットアニメ『マジンガーZ』のファンということで命名された「パイルダー125」は、水冷パラツインを搭載。エンジンも操縦安定性も超個性的なモデルだ。
[〇] とにかくよく回るエンジンは150cc並みの力強さ
記憶が正しければ、125ccの2気筒車に試乗するのはホンダ バラデロ125以来だ。このパイルダー125が搭載するのは水冷並列2気筒で、最高出力はA1ライセンスの上限である15psを公称。車体も特徴的で、ホイールベースが1686mmと長い上に、フロントには19インチの大径ホイールを採用。しかもリヤの17インチタイヤは190(!)というワイドサイズだ。倒立フォークや片持ち式のスイングアーム、フロントダブルディスクなど、もう完全に原付二種の枠を超越している。
【LEONART PILDER125】主要諸元 ■全長2390 全幅800 全高1125 シート高700(各mm) 車重180kg ■水冷4スト並列2気筒SOHC2バルブ 125cc 変速機6段リターン ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=100/90-19 R=190/50-17 ●色:白 ●価格:59万4000円 [写真タップで拡大]
1686mmというハーレーに迫るほどの長い軸距に対し、スイングアームが極端に短いことから、リヤのホイールトラベル量があまり稼げないのではと推察。フレームとエンジンの隙間を埋めるように黒い樹脂カバーを配置する。 [写真タップで拡大]
まずは注目のエンジンから。セルで始動すると、まず聞こえてくるのは連続的な排気音だ。車両はクルーザータイプだがツインらしい鼓動感とは無縁で、レスポンスのいい吹け上がりは完全にスポーティなバイクのそれである。そうした第一印象から低回転域のトルクが薄いかと思いきや、2000rpmからでもスルスルと発進できてしまう。1速がローギヤード気味ということを差し引いても、180kgの巨体を難なく走らせてしまうことに驚く。スロットルを大きく開けると速度はグングンと伸びていき、レブリミットはなんと1万2000rpm(!?)。トップ6速60km/hでの回転数は、別に紹介したジクサーSF250とほぼ同じ4000rpmを少し超えたあたり。体感的には150ccクラスに比肩するほどのパワーがあり、しかも際限なく吹け上がるフィーリングは”楽しい”のひと言だ。
倒立式フロントフォークにアルミ製の片持ち式スイングアームという豪華な足回り。ブレーキは前後ともディスクでフロントはダブル、リヤのキャリパーは前後連動式のため3ピストンだ。タイヤは台湾のCST製。 [写真タップで拡大]
ハンドリングは、大径のフロントホイールと極太のリヤタイヤによる相乗効果なのか、直立を保とうとする力が強めだ。反面、逆操舵によるきっかけ作りや体重移動など、セオリー通りの操作をしないと素直にバンクしてくれない。また、リヤサスのホイールトラベル量が少ないためか、旋回中にギャップを通過するとラインを乱されやすく、また乗り心地も決していいとは言えない。とはいえ、どれもスタイリングを優先した結果であり、いい意味で歯ごたえがあるとも評価できる。前後連動ブレーキが意外にも強力であり、十分に実用的という点も気に入った。
[△] 特殊なライポジは操縦に慣れが必要
軸距が長いため、交差点を曲がるときなど微速域では舵角主体で向きを変えることになるが、そうなるとアウト側のハンドルが必然的に遠くなり、身長175cmの私でも前寄りに座り直す必要があった。購入を検討中の人はそこも要チェックだ。
[こんな人におすすめ] とにかくクール! 音もスタイルも注目度は満点
イギリスのマットモーターサイクルズなど、欧州には個性的な小排気量ブランドがいくつも存在する。中でもレオンアートのパイルダーは、スタイルはもちろん走りも特徴的だ。入荷台数は少ないらしく、欲しい人は早めに決断を。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:長谷川徹 ●取材協力:レオンアートモータース[ウイングフット] ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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