“あと1歩”の2-3フィニッシュ達成【スズキ、奇跡のバランス継続中】
第9戦カタルニアGPでは、スズキのJ.ミルとA.リンスが2-3フィニッシュを決めた! 今シーズン、めきめきと力をつけているミルに加え、リンスも表彰台に立ったことで、スズキはGSXRRの仕上がりのよさを見せつけた形だ。
「今シーズンのベストマシンはスズキだ」と言うライバルもいるようだが、実際のところGSX-RRは本来の持ち味であるいいバランスを保っている。タイヤのグリップが低下するレース終盤になってから追い上げられるのは、今のところほとんどスズキだけと言っていいだろう。
トラコンはほとんど利かせていないので、もともとのメカニカルグリップの高さと人間力の賜物。特にミルはモトGP2年目とは思えない落ち着きとクレバーさで、タイヤマネジメントをきっちりこなしている。今季中に勝つはず!(※その後、第11戦アラゴンGPにてリンスが見事優勝を果たした)
雨を制す体重&新人【ペトルッチ&マルケス弟、大活躍】
リヤタイヤが新しくなった’20シーズン、もっとも苦労していたライダーのひとりがドゥカティのD.ペトルッチだ。エッジグリップが上がり、旋回速度を高める方向のニュータイヤは、ドゥカティのシャーシとのマッチングにやや難があるようだ。
しかし雨となった第10戦フランスGPでは、そのうっぷんを晴らす快走で優勝をもぎ獲った。ウエットタイヤは変更されていないので、もともと雨が得意なペトルッチには有利に働いた。
体が大きいペトルッチは、体重がある分トラクションがかかりやすい…、とまことしやかに言われているが、これも一理あるだろう。
2位につけたのは大殊勲のA.マルケスだ。まだ”マシンからの裏切り”を受けていない若手ならではの怖い物知らずを発揮し、みんなが疑心暗鬼になって恐る恐る走っているところを、マルケス弟はガンガン攻めてみせた。痛い目に遭う前だからこその走り、かな。
ロッシ弟、来季モトGPデビュー!?【覚醒する若者の強さ】
V.ロッシの異父弟、ルカ・マリーニ。今季モト2では3勝を挙げランキングトップの座にいる彼が(第10戦終了時点)、来季はドゥカティのマシンを駆ってモトGPデビューを果たしそうだ。マルケス兄弟、エスパルガロ兄弟に続き、ロッシ兄弟がモトGPで見られるなんて、かなり面白くなりそうだ!
マリーニはモト2フル参戦からしばらくは低迷していたが、3年目に覚醒。5年目にしてついに能力を炸裂させている。そう、彼は自分の力に気付いてしまったのだと思う。
モトGPを走るようなライダーは、もともと高い能力の持ち主。何かをきっかけに「あ、オレ勝てちゃうんじゃね?」と気付いた瞬間に、スパッといい波に乗れる。そして自信が確信に変わり、やがて本当の力になるのだ。マリーニの今が、まさにその状態。来季のステップアップ、非常に楽しみだ。
’20モトGP第8戦〜第10戦の結果
第8戦エミリア・ロマーニャGP@ミザノサーキット(9/20):ビニャーレス、意外な今季初優勝
1位 M.ビニャーレス(ヤマハ)
2位 J.ミル(スズキ)
3位 P.エスパルガロ(KTM)
4位 F.クアルタラロ(ヤマハ)
5位 M.オリベイラ(KTM)
6位 中上貴晶(ホンダ)
第9戦カタルニアGP@カタルニアサーキット(9/27):唯一複数勝利、クアルタラロ3勝目
1位 F.クアルタラロ(ヤマハ)
2位 J.ミル(スズキ)
3位 A.リンス(スズキ)
4位 F.モルビデリ(ヤマハ)
5位 J.ミラー(ドゥカティ)
6位 F.バニャイヤ(ドゥカティ)
第10戦フランスGP@ルマンサーキット(10/11):雨男ペトルッチ、今季初優勝!
1位 D.ペトルッチ(ドゥカティ)
2位 A.マルケス(ホンダ)
3位 P.エスパルガロ(KTM)
4位 A.ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)
5位 J.ザルコ(ドゥカティ)
6位 M.オリベイラ(KTM)
●監修:青木宣篤 ●写真:MotoGP.com/高橋剛 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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