青木宣篤の上毛GP新聞

’20モトGP第5戦〜第7戦振り返りネタ×4選【混戦激化:6戦で勝者5人!】

  • 2020/10/7
’20モトGP第5戦〜第7戦振り返りネタ×4選【混戦激化:6戦で勝者5人!】

“いいヤツ”モルビデリ初優勝【…の一方、クアルタラロは不安定】

モトGP第7戦サンマリノGPでは、フランコ・モルビデリが初優勝を遂げた。いつも冷静沈着な彼は、今回、いつもと違う走りをしたわけじゃない。今回は彼にとっての好条件がうまく揃い、「どんなコンディションでも安定して自分のペースを守り切る」という、いかにも彼らしい走りができただけだ。それに周りが付いていけなかった、ということだろう。

ミザノサーキットは路面を張り替え、グリップ自体は増している。だがギャップはそのまま(笑)。かなり大きなギャップもあり、多くのライダーが苦戦していた中、モルビデリは終始安定していた。

一方、チームメイトのファビオ・クアルタラロは同レース中に2度転倒し、ポイントランキングトップの座をドヴィツィオーゾに明け渡してしまった。狙い始めると歯車が噛み合わなくなるという典型例。人生、欲張るとうまくいかないんですよね、寂聴さん…。

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スペシャルヘルメットで人類の平等を訴えたモルビデリ。パドックきってのナイスガイ。

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クアルタラロは同レースで2度の転倒を喫し、ランキング2位へと陥落した。

下剋上&世代交代が本格化【ファクトリーを食うサテライト】

’20シーズンが始まってからというもの、サテライトチーム勢が熱い。6戦中4戦でサテライトチームのライダーが優勝しているのだ。

誰が勝つか分からないというドキドキの混戦模様は、いちファンとしてはたまらないものがあるが、常勝を義務づけられているファクトリーチームとしては「たまったもんじゃない」だろう。胃を痛くしているスタッフたちが目に浮かぶ…。

要因はいくつかあるが、サテライトとファクトリーで部品供給の差がなくなりつつあることが挙げられる。はっきり言って、今のレギュレーションの中では新しいネタがないんですよ。だからいいモノがどんどんサテライトに回り、結果、マシンの性能差がかなり埋まっているのだ。

そしてサテライトにはイキのいい若いライダーが多い。いいマシンと勢いのあるライダーの組み合わせって、モータースポーツ界では鉄板ですからね……。

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サテライトがファクトリーを抜くという胸熱シーンがたびたび見られる今季。

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バニャイヤもサテライトチームに所属。遅れてきた天才のひとり。

ミル&スズキの躍進【ギリ、ラインを空けるロッシもスゴイ】

モトGP第5戦・オーストリアGPでは2位表彰台に立ち、続く第6戦・スティリアGPでは2位に3秒近くの差をつけてぶっちぎりの独走…。初優勝なるか、と思われたところでレースは赤旗中断。フロントの新品タイヤが残っていなかったスズキのジョアン・ミルは、残念ながら4位でチェッカーを受けることとなった。

惜しい! 惜しすぎる!!

いつもスマートなレース運びを見せるミルは、高い学習能力の持ち主。’19年モトGPにデビューした彼は、前シーズン後半にかけて徐々にリザルトを上げてきた。そして’20年、学習の成果が開花しようとしている。

スズキGSX-RRは乗りやすさとコーナリングスピードの速さが身上。ストレートスピードもまずまずだし、ミル&マシンのマッチングもかなりいいようだ。第7戦・サンマリノGPでは最終ラップでロッシをかわし、3位表彰台を獲得した。

「ロッシには申し訳ないと思ったけど、これがレースだから」と語ったミル。ワタシとしてはロッシ表彰台にも期待していたから複雑な心境だが、ロッシならではのシブい”抜かれ方”が見られたから、ちょっと満足かな…。

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抜かれるにしてもギリギリのラインを取ったロッシ。抜き返す意志が窺える!

ホンダよ、どこへ行く…【絶対王者を欠いて迷走中】

マルク・マルケスの欠場が続く中、ホンダの混迷が続いている。最高峰クラス開幕以来6戦連続表彰台ナシは、ホンダとしてはワースト記録。ヘタするとこの記録、まだまだ伸ばしてしまいそうだ。「RC213Vはマルケススペシャルではない」と言い張るホンダ陣営だが、マルケスのスーパーハードブレーキングに耐えるため、フレームがカッチカチなのは確か。フレームやヘッドパイプまわりのたわみ感がないから接地感も薄く、苦戦するのは分かる。

しかもエンジンはイナーシャ(慣性モーメント)が軽く、スロットルの開閉に対して極めて敏感に反応し、エンジンブレーキもシビアとくる。ブレーキングでスキッドしやすく、カッチカチフレームとの組み合わせによって、恐ろしく扱いづらいはずなのだ。残念ながら結果がすべてを実証してしまっている。

返す返す、ダニ・ペドロサのホンダ離脱が大きく影響しているように思う。マルケスに対抗しながら何とか”乗れるバイク”を作ってきた唯一の男・ペドロサが、せめてテストライダーとして残っていれば……。

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孤軍奮闘中の中上貴晶。援護射撃がない中、表彰台まであと一歩届かない……。

’20モトGP第5戦〜第7戦の結果

第5戦オーストリアGP@レッドブルリンク(8/16):A・ドヴィツィオーゾいぶし銀の優勝

1位 A.ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)
2位 J.ミル(スズキ
3位 J.ミラー(ドゥカティ)
4位 B.ビンダー(KTM)
5位 V.ロッシ(ヤマハ
6位 中上貴晶(ホンダ)

第6戦スティリアGP@レッドブルリンク(8/23):M・オリベイラ初優勝

1位 M,オリベイラ(KTM)
2位 J.ミラー(ドゥカティ)
3位 P.エスパルガロ(KTM)
4位 J.ミル(スズキ)
5位 A.ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)
6位 A.リンス(スズキ)

第7戦サンマリノGP@ミザノサーキット(9/13):F・モルビデリ初優勝!!

1位 F.モルビデリ(ヤマハ
2位 F.バニャイヤ(ドゥカティ)
3位 J.ミル(スズキ)
4位 V.ロッシ(ヤマハ)
5位 A.リンス(スズキ)
6位 M.ビニャーレス(ヤマハ)

●青木宣篤完全監修 ●写真:MotoGP.com/Ducati/RedBull
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