SHOEIギャラリー東京(SHOEI Gallery TOKYO)にて、もうすぐ発売されるグラムスター(Glamster)の発表説明会が開催されたので、その模様をお届けしたい。クラシカルな1980年代テイストのデザインながら快適性と安全性は最新の内容になっている。それを実現した秘密とは?
リブ形状やビスのひとつにまでこだわってコンパクトさや上質感を追求
8月26日、東京都千代田区外神田にあるSHOEIの公式ショールーム・SHOEIギャラリー東京にて、発売が間近に迫ったネオクラシックな新型ヘルメット「Glamster(グラムスター)」の発表説明会が開催された。ソーシャルディスタンスやフェイスシールドなど新型コロナ感染対策もバッチリと行われたなか、SHOEIのデザイナーである福山伴理さんと、海外のカスタムシーンなどに明るいモーターサイクルジャーナリストの河野正士さんによるトークショー形式で、グラムスターの開発秘話などが語られた。
まずこだわった点として挙げられたのはコンパクトさ。従来はクラシックスタイルのヘルメットを探すとなると、実際にクラシックな年代のものを愛好しているユーザーが多く、それは「スタイルに合うものが他にないから仕方なく」といった声も少なからずあったという。
クラシックと呼ばれるヘルメットは、現代のヘルメットよりもかなりコンパクトだった。というのも、現代のヘルメットは衝撃緩衝性能やエアベンチレーション機能、空力性能などを向上するために大型化してきているからだ。
じっさい、同じSHOEIのレース対応モデル『X-Fourteen』と、ストリートでの使い勝手を優先した『Z-7』では見た目でもわかるくらいに大きさが違い、被るとZ-7のコンパクトさと軽量ぶりが際立つ。もちろんX-Fourteenはそのぶん安心感や高速域でのスタビリティが優れているので、これは優劣というよりも用途の違いと言うしかない。
そしてグラムスターは、Z-7よりもわずかではあるがさらに軽いのだという。Mサイズで1300gを切るというから相当なものだ。説明会の際にはハンズオンすることもできたが、筆者が普段使用しているX-Fourteenに比べると、明らかに軽く感じられた。
このコンパクトさの実現に貢献したのが、シールドベース周辺のリブ形状だという。シールドベースの部分は衝撃緩衝性能をキープするために一定以上の厚みが必要(緩衝材の上にシールドベースがあるから)なのだが、そこに繋がる周辺の面はもう少し追い込んでもいい。つまり、一見するとシールドベースが出っ張っているように思えるが、実は周辺が下がっている。全体に小さく作り、さらに側面を追い込んだというわけだ。さらに後頭部のダックテール形状で動き感も出した。
チンバー部分の左右2本のスリットは、見た目にもシェイプされて見えるように配置を工夫。一直線のラインが新鮮に映るが、これは有機的形状を避けてシンプルにすることが目的だった。さらにシャッターレス構造としてチンバーの厚みを抑え、これもコンパクト化と重量低減に利いたという。
ほかにも、チークパッドのライナーを目立たなくする、窓枠がシンプルに見えるように、シールドベースの機能と見た目を両立する、といったように、シンプルなデザインの中に多くの工夫が凝らされている。
デザイン性と機能性をコンパクトな帽体に織り込む
シールドベースにはアルミ削り出しのワッシャーと、わざわざ専用設計したビスを使用。内装は反射防止が求められる部分には黒いマット素材を用い、汚れをつきにくくしたい部分は光沢のある黒とするなど、素材も使い分けている。チークパッドのライナーも目立たないよう、それでいてエマージェンシークイックリリースシステム(E.Q.R.S.)も装備するなど、現代の安全性は当然のように備えている。
実際に走ってテストした記事は9月24日発売のヤングマシンに掲載する予定。お楽しみに!
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