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目を刺す直射日光だけ遮断! ボッシュの“バーチャルバイザー”がスゴイ【早期実用化希望】

バイクを、クルマを運転しているときに邪魔になるものはいくつかあるが、なかでも低くなった太陽は難敵だ。冬場の太陽は全般にそうだし、真夏の西日が沈む前の約1時間は特にヤバイ。だが、ラスベガスで開催中のCES 2020でベストオブイノベーションを受賞した“バーチャルバイザー”は、そんな問題を一気に解決する。

顔を検出して太陽“だけ”を遮る透過バイザー

真夏の西日をはじめとした、目を刺すような低い角度の直射日光は、ライディング/ドライビング時の大敵だ。バイクであれば、ヘルメットにスモークシールドを装着したり、サングラスをかけたりしてやり過ごすような工夫をしているライダーも多いことだろう。 日差しを遮る、または弱めるサンバイザーを備えたヘルメットであれば安心感も高い。筆者もこうした工夫に頼っている一人だが、場合によっては走るのをやめ、コンビニの駐車場などに一時退避して陽が沈むまで待つこともある。

SHOEI GT-Air2 BONAFIDE
最近増えてきた、出し入れ可能なサンバイザーを内蔵するヘルメット。写真はSHOEIのGT-Air2 BONAFIDEだ。

なぜなら、仮に自分の視界を工夫してなんとかしたとしても、周囲のクルマも同じように逆光に苦しんでいる可能性が高いからだ。サングラスをかけているならまだしも、車両に備え付けられた面積の大きいバイザーを下げている場合は、視界もずいぶんと狭くなっている。そんな環境の中を走るのが安全&安心とは決して言えまい。

自分がぶつかる可能性もあれば、誰かがぶつかってくる可能性もある。そして、誰にどんな割合で責任があろうとも、当たったら痛い思いをするのはライダーのほうなのだ。

だが、人間の“困り事”を解決するのが技術というもの。

ボッシュ(BOSCH)がラスベガスで開催中のCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)2020で初公開する「AIを活用した革新的なサンバイザー」というのは、まさしくそうしたもののひとつだろう。バーチャルバイザー(Virtual Visor)は、1枚の透明な液晶ディスプレイパネルと、ドライバーに向けられた人工知能(AI)顔検出機能付きカメラ、およびトラッキングソフトウェアからなるシステム。ボッシュのカー マルチメディア事業部長のSteffen Berns氏は、「シンプルなイノベーションの組み合わせが、最大の効果をもたらします。バーチャルバイザーは、ドライバーの視界を変えるのです」と語る。

bosch virtual visor
上は通常のサンバイザーで、下はバーチャルバイザー。どちらがより良好で安全な視界を提供するかは一目瞭然だ。

ボッシュは、ドライバーの安全性と快適性を考え、忘れられがちなインテリアコンポーネントであるサンバイザーに注目。前述のとおり強烈な逆光は、一時的に目が見えないに等しい状況を生み出すこともあり、ボッシュによれば他の天候条件と比較すると約2倍の自動車事故を誘発しているのだという。だが、上の比較写真のように従来のサンバイザーは陽光を遮るのと同時に視界の広い範囲をふさいでしまいがち。そのアイデアはクルマが誕生した頃から100年以上も変わっていない……。

バーチャルバイザーは、ドライバーに向けられたカメラの画像に基づいてドライバーの位置を特定。さらにAIを活用して目、鼻、口を含む顔の特徴的な要素を判定することで、顔の上の影を識別する。そしてアルゴリズムはドライバーの視界を分析し、ディスプレイ上でドライバーの目に光が届く部分のみを暗くするという仕組みだ。

多くの初期段階のアイデアがそうであるように、限られた資金とリソースで取り組みを開始したボッシュは、最初のプロトタイプには廃品箱から回収した古い液晶ディスプレイモニターを活用したという。

この画期的なアイデアを具現化したバーチャルバイザーは、CES 2020 イノベーションアワードにおいて、ベストオブイノベーションを受賞している。

あくまでもクルマの話ではあるが、我々ライダーにとってもメリットは大きい。そして、いつかライダーの視界にもなんらかのイノベーションが起こる可能性があることを感じさせる、そんなニュースに思えた。

bosch virtual visor
太陽がもたらす影が目を中心に追いかけてくるイメージ。それ以外の視界は塞がないのだからありがたい。 信号機のLED化が進んで判別しやすくなったとはいえ、塞いでしまっては見えるものも見えないが、コイツは見たいものは見逃さず、害になる光だけを遮断する。早期実用化を希望します! なんなら義務化しちゃってもいいです!

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