『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第39回は、四国最西端にあり、瀬戸内海と宇和海を隔てている日本最長の半島、佐多岬半島を訪ねる。バイクでも、その“メロディー”は聞こえるのか!?
TEXT:Hidetoshi KANDA
日本最長の半島で、潮風の気持ちいい爽快ロードが待っている!
佐田岬半島は、瀬戸内海と宇和海を隔て、先端は四国最西端にあたる、全長約40kmにもなる日本最長の半島だ。年間を通じて多くの旅人が訪れる中四国地域定番の観光スポットであると同時に、三崎港からは九州への玄関口としてフェリーも就航しており、重要な交通の要所でもある。その佐田岬半島の尾根に沿って走るのが、今回紹介する佐田岬メロディーラインだ。
八幡浜市(半島の付け根)より三崎港まで総延長約39kmの区間だが、全線高規格の2車線で構成された爽快なツーリングロードだ。その名のとおり、走ると音楽が流れるのが特徴だ。50km/hの速度を保って走ることにより、路面に刻まれたサイプからのロードノイズが音楽に聞こえるという、まさにレコード盤の上を走るかのような発想。速度抑制と楽しさを両立している、貴重な道路である。
この国道197号線は、かつて“197→イクナ国道”とも呼ばれ、四国を代表する“酷道”でもあった(現在は爽快&快適ルート)。そして実は、その悪線形&極悪っぷりが旧道として現在も堪能できる。しかし、単に酷い旧道を走れること……だけではなく本当の穴場はその旧道の景色。線形は確かに酷道ながら、風景はまさに絶景ロードなのだ。
さて、新国道でもあるメロディーラインは佐田岬半島の尾根に沿って比較的高い位置を走っている。また、高規格道路線形のためトンネルも点在していることから、展望に関しては思った程でもないのが実情だ。その点、旧国道はまさに断崖絶壁をトラバースする大迫力シーンが連続! 全線1.5車線の狭路であるため、別の意味のスリルも多いが、絶景度合いは新道の比ではない。もちろん交通量は地元の農耕車以外ほぼ皆無。自分だけのプライベート絶景ロードを楽しむことができる。
そして、もうひとつの穴場は尾根に点在する風力発電の風車。佐田岬半島は日本有数規模の風力発電施設が集中しており、林立する巨大な風車を間近で見学することも可能だ。この風車群もメロディーライン本線からほんのわずか外れており、観光客は少ない。また、この風車群を繋いで高規格道路が整備されており、地元では“裏メロディーライン”として密かに人気の穴場絶景道でもある。なんと言っても半島内で最も高所に位置しているうえ、障害物も少なめ。アクセスは判りにくいものの、素晴らしい展望が楽しめるのだ。
名称は定番ながら、色々穴場なポイントも多い佐田岬メロディーライン。上記の地図ではメロディーラインの座標表示をこの裏メロディーラインの位置にセットしてある。皆様もこの密かな穴場絶景道を堪能してみてはいかがだろう?
ロード情報
交通量:周辺では定番の観光ロードながら地域の連絡ルートでもあり、観光車両と地元車両が混在。渋滞は無いながら交通量は比較的多めだ。休日はマイカーも多く、注意が必要。
路面:メロディーライン本線は高規格の幅広2車線。路面状態も申し分無い。しかし、周辺道路はほぼ全て1.5車線の酷道状態。四国の厳しさを全身で堪能できるぞ。
~佐田岬メロディーライン~
秘境感★★
天空感★★
潮風感★★★★
爽快感★★★★
根性感★★
開放感★★★
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