第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

パラツインとは異なるVツインの存在意義

スズキSV650Xの試乗インプレッション【ブレーキ変更でもっと自在に!】

  • 2019/4/30

SV650にセパレートハンドルを装着し、ビキニカウルでカフェレーサーらしく仕立てたのがSV650Xだ。2019年型となって、従来型と変わっているのはシートレザーとマフラーカバー、フロントブレーキキャリパーの3点のみ。だがʼ19年型SV650Xは、予想外の躍進を遂げていたのだ。

TEXT:Tomohiko NAKAMURA PHOTO:Toru HASEGAWA

変更点はわずかでも、明確な進化が実感できる

バイクの印象って、ちょっとしたことでガラッと変わるのだなあ……。

’19年型SV650Xと丸一日付き合った僕は、しみじみそう思った。率直な話をするなら、これまでの僕はSVのカフェレーサー仕様であるXに、特に好感を抱いていたわけではない。でもタックロール仕様のシートレザーがブラック/グレーからブラウン/ブラックになり、マフラーカバーが軽快なデザインに変更された’19年型は、マシン全体の印象が従来型よりスタイリッシュで、何だか妙にカッコイイ。

その気持ちは撮影担当の長谷川カメラマンも同様だったようで、どう考えても2ページ(本誌掲載時)には収まらない、大量のイメージカットを撮影。そして撮影を通して、さまざまな角度から、さまざまな光が当たったXを見た僕は、往年のロケットカウルを再現したヘッドライトカウル+フレームカバーの巧みな構成や、セパハンの取り付け位置の絶妙さに感心し、今さらながらにして、Xのデザインの魅力に気づいたのだ。

様々なコンディションを生かして撮影を敢行。SV650Xのスタイリングが写欲をそそったようだった。

では肝心の走りはどうだったかと言うと、こちらもルックスと同様に、ちょっとした変更で意外な変化が感じられた。本題に入る前に大前提の話をしておくと、STDのバーハンドルに替えて、低めのセパレートハンドルを採用したXは、当然ながら、上半身の前傾度が強くなっている。この変更には一長一短があって、マシンとの一体感は得やすくなっているものの、少しでも気を抜いた走りをすると、グリップに添えた両手に無駄な力が入ってしまい、場面によってはVツインならではの軽快感、シャープで爽快なセルフステアが味わいづらいことがあった。

だがフロントブレーキキャリパーを片押し式同径2ピストン→対向式異径4ピストンに変更した’19年型は、従来型よりセルフステアの制御がイージーになっているのだ。具体的には、ブレーキの操作に対するフロントまわりの反応がリニアだから、車体を傾けようとする際に、フレームのヘッドパイプを理想的な位置に持って行ける。ブレーキでセルフステアの感触が変わるというのは、僕にとっては驚きだったけれど、Xの守備範囲を広げるという意味では、この変更は大正解だろう。

ハンドルグリップ位置はかなり低めなので、人によってはとっつき辛さを感じるかもしれない。オールラウンドに使いたいなら、上半身がリラックスできる、バーハンドルのSTDを選んだほうがいいだろう。

また、’19年型の仕様変更とは直接関係がない話になるけれど、久しぶりにSVをじっくり走らせた僕は、パラレルツインとは異なる、90度Vツインならではの魅力を再認識した。と言っても、現代のミドルの主力であるバランサー付きのパラレルツインは、クランクピンの位相角を270度に設定すれば、90度Vツインと同等のフィーリングになる、と世間では言われている。確かに、理論上はそうなのだ。でも、クランク重量が軽く、クランク幅が狭く、クランクピンと軸受けの数が少なく、さらに抵抗物となるバランサーを必要としない90度Vツインは(あくまでも一般論で、クランク重量とバランサーについては例外機種も存在)、やっぱりパラレルツインよりレスポンスがダイレクトで、吹け上がりが清々しいじゃないか……と、僕には思えた。

そんなエンジンに、近年の他社が積極的な姿勢を示さない理由は、軽量化やマスの集中化、搭載位置の自由度、部品点数の削減を考えると、パラレルツインが有利だからだろう。でも今回の試乗を通して、貴重なミドルVツインの魅力が満喫できるSV650/Xに、僕は大きな価値を感じたのだ。

独自の手法でカフェレーサースタイルを構築

パッと見で目を引くX の特徴は、ヘッドライトカウル+フレームカバーとセパハン。ただし、上面がフラットなトップブリッジやフォグランプ用ボスを備えるアンダーブラケット、フォークのプリロードアジャスター、ブラックのステップなども、STDとは異なる専用設計だ。

主要諸元 ■全長2140 全幅730 全高1090 軸距1450 シート高790(各mm) 車重197kg(装備) ■水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 645cc 76.1ps/8500rpm 6.5kg f-m/8100rpm 変速機6段 燃料タンク容量14L■ブレーキ形式F=ダブルディスク R=ディスク タイヤサイズ F=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●価格:78万1920円 ●色:灰

小ぶりなヘッドライトカウルの左右には、往年のレーサーをイメージしたスリットが設置。2灯式テールランプは’09~16 年型GSX-R1000に通じるデザイン。試乗車のタイヤはダンロップ・ロードスマートIII。

LCDメーターはSTDとの共通パーツで、6段階の輝度調整が可能。一般的な情報に加えて、瞬間/平均燃費や航続可能距離なども表示できる。フロントブレーキマスターは、オーソドックスなピストン横置き式。

今年で20周年を迎えるスズキ製ミドルVツイン。大幅刷新を受けた’16年型からは、ワンプッシュで始動できるイージースタートシステムや、極低速域での扱いやすさを高めるローRPMアシストが導入された。

対向式異径4ピストンキャリパーはトキコ製。φ41mmフォークとリンク式リヤショックは、STDとは異なるセッティングが施されている。

異形断面マフラーのカバーは、従来型よりシンプルなデザインになった。スイングアームはフレームと同様のスチール製で、形状は楕円型。

シートレザーはブラウン/ブラックのツートーン。なおXのシート高はSTD+5mmの790mmだが、足つき性の悪化は感じられない。

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
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