佐藤寿宏のロードレース通信

マレーシア’19セパンテスト#7:怒濤のタイムアタック合戦となった最終日

2019年シーズン最初のMotoGPオフィシャルテストが終了しました。マレーシア・セパンインターナショナルサーキットは、3日間とも快晴となり、厳しい暑さでしたが、安定したコンディションの中、テストをこなしていました。

TOP6が1分58秒台をマーク!

最終日は、10時の開始から1時間で怒濤のタイムアタック合戦が繰り広げられました。ここで1分58秒239のサーキットベストをたたき出したのは、ドゥカティワークス入りしたダニロ・ペトルッチ。2番手にはMotoGPルーキーのフランセスコ・バニャイヤが1分58秒302、3番手に1分58秒366のジャック・ミラー、4番手に1分58秒538のアンドレア・ドヴィツィオーゾと、トップ4をドゥカティ勢が独占しています。2日目トップだったマーベリック・ビニャーレスもタイムを1分58秒644に縮め5番手。この日、最多の79周を周回し、今シーズンのやる気を感じさせました。6番手に傷の癒えていないカル・クラッチローが1分58秒780をマークし、Honda勢最上位につけました。トップ6が1分58秒台というのも驚異的なことですね。

好調の#12 マーベリック・ビニャーレス。ゼッケン番号を変えて気分一新し、モチベーションも高いようです。

7番手にアプリリアのアレイシ・エスパルガロ、8番手にフランコ・モルビデリに続き“タカ”こと中上貴晶が9番手につけました。

「タイムアタックのタイミングが他のテストをしていたために少し遅れてしまったので、もう少し早く路面温度の低いうちにアタックできていれば58秒台に入れることができたと思います。ただ、昨年に比べてもラップタイムが約1秒も速くなっているので、マシンについても、自分自身のライディングについても、一つ上のレベルに到達できたことは、いい収穫になったと思います。ロングランは、できませんでしたが、25周ほどしたユーズドタイヤで走っても2分00秒台で回れましたし、開幕戦に向けて、いい状態で臨めそうです」と1分59秒148までタイムを縮め上々のテストとなったようです。

タカの次が1分59秒155のバレンティーノ・ロッシでしたが、アタックラップに最終セクションでミスがあって、このタイム。ミスがなければ58秒7は出たそうです。11番手にマルク・マルケスが1分59秒170でつけました。最終日も早めにテストを切り上げましたが、この日もサラダボックス付きのマシンも6周ほどライディングしていました。まだまだデータ取りの段階だと言えるでしょう。

#46 バレンティーノ・ロッシ。最終セクションでのミスが響いてラップタイムこそ出なかったものの、58秒台への自信も見せたことから仕上がりは悪くないのでしょう。
まだ左肩は万全とはいえない#93 マルク・マルケス。マスダンパー付きマシンもテストを進める。

スズキ勢は、12番手にアレックス・リンスが1分59秒180、MotoGPルーキーのジョアン・ミルが1分59秒486で15番手となりました。

「レギュラーライダーの2人とテストライダーの2人がガソリンが足りなくなる心配をするほど精力的にテストをこなしてくれました。シーズン開幕に向けて、どう準備して臨むかを決めることが、今回のテストの主目的でした。エンジンの仕様を始め、他の細かい部分についてもカタールまでにこうすればいいというところまで行けたので、目的は、ほぼ達成できました。今回は天気も安定していてコンディションもよかったので、いいテストになりました。周りは速いですが、ウチもレースペースは悪くないですし、ルーキーのジョアンも2日目まではタイムが出ずに若干おとなしかったですが、3日目に急成長を見せてくれました。ニューカウルは、大きくは変わっていないのですが、2人とも気に入ってくれたのでずっと付けて走っていました」と、いいテストになったと河内健テクニカルマネージャーは、セパンテストの成果を強調していました。

バニャイアなど驚異のルーキーたちに比べれば目立たないものの、着実な成長を見せている#36 ジョアン・ミル。

KTMは、ヨハン・ザルコ、ポル・エスパルガロも一発タイムは何とか出せるもののアベレージではまだまだの状態。鉄フレーム限界説もささやかれていました。アプリリアは、アレイシが孤軍奮闘。新加入のアンドレア・イアンノーネは、マシントラブルもあり最終日は走らず終い。テストライダーのブラッドリー・スミスが走っていましたが、シーズン途中からスミスが出てくる可能性もあるでしょう。

ドゥカティ、スズキ、ヤマハとニューカウルを投入。ドゥカティは、コレで本当に空力的にいいの? というデコボコしたものでした。まぁ、もともとデコボコしているので“カサゴ”みたいですよね、っと仕事仲間内で話していたくらいです。

4位につけた#04 アンドレア・ドヴィツィオーゾ。新型カウルをテストしています。

MotoGPは、この後は、2月23日にカタールでテストが行われ、3月8日-10日に同地で開幕戦を迎えます。昨年は、ドヴィツィオーゾがマルケスとの一騎打ちを制しています。今年は、プラマックを含むドゥカティ勢が速さを見せそうですね。マルケスは肩の状態次第でしょうが、レースになれば前に出てくるはずです。やる気満々のビニャーレスもカタールは得意としているコースなので、トップ争いを繰り広げそうです。開幕戦カタールが楽しみですね!

関連する記事/リンク

関連記事
2019/02/08

マレーシア・セパンインターナショナルサーキットで行われているMotoGPオフィシャルテストは、2月7日(木)に2日目を迎えました。今日もスコールはなく、10時から18時まで厳しい暑さに見舞われました。[…]

関連記事
2019/02/07

待ちに待ったMotoGPオフィシャルテストがマレーシア・セパンインターナショナルサーキットで2月6日より始まりました! 初日は天気がよく、猛烈な暑さの中でのテストとなりました。その速報をお届けします。[…]

関連記事
2019/02/06

いよいよ本日、2月6日からマレーシア・セパンインターナショナルサーキットでMotoGPのオフィシャルテストが始まります! 今シーズン初の公式テストを前にどのような動きがあったのか、直前レポートを届け![…]

関連記事
2019/02/04

ロードレースを追いかけること20年以上のフリーライター・佐藤寿宏さんの「寿(ことぶき)通信」をお届け。国内外、レースの様々な現場から届く「寿通信」は、日本人選手の動向を中心にレポートする。今回は、2月[…]

関連記事
2019/02/02

ロードレースを追いかけること20年以上のフリーライター・佐藤寿宏さんの「寿(ことぶき)通信」をお届け。国内外、レースの様々な現場から届く「寿通信」は、日本人選手の動向を中心にレポートする。今回は、2月[…]

関連記事
2019/01/31

ロードレースを追いかけること20年以上のフリーライター・佐藤寿宏さんの「寿(ことぶき)通信」をお届け。国内外、レースの様々な現場から届く「寿通信」は、日本人選手の動向を中心にレポート。今回は、2月1日[…]