スペシャルメイドのカスタムBMWに隠された秘密とは?

BMW新型空冷ボクサーはOHV1500cc?【プロトタイプをしれっと搭載】

スペシャルメイドのカスタムマシンということで、エンジンの中身についてはあまり騒がれることのなかった、BMW水平対向2気筒エンジン搭載のDepartedというマシン。しかし、そこには新作エンジンのプロトタイプをしれっと搭載するというサプライズが隠されていた。

最高速度に挑戦するマシンがモチーフ

12月2日に開催されたヨコハマホットロッドカスタムショーで、ある1台のカスタムマシンが展示された。BMWの新型プロトタイプ水平対向2気筒を搭載したマシン、その名はDepartedといい、滋賀県にあるカスタムワークスZONが制作したものだ。BMWの公式リリースによれば、このマシンはエルンスト・ヤーコブ・ヘンネというドイツ生まれのライダーが1920~1930年代にかけて走らせたレコードブレイカー(最高速度を競ったマシン)のシルエットをモチーフとしている。

【BMW×Custom Works ZON DEPARTED】
【BMW×Custom Works ZON DEPARTED】

フロント21インチ&リヤ26インチという大径ホイールに細身のタイヤを履いた車体は、ソリッドなアルミニウムでできたガーダーフォークとスチールパイプ製の片持ちスイングアームをチューブラースチールフレームに組み合わせたもの。燃料タンクやシートユニット、フロントトリムなどは金属の板から手仕事で創り出されたという。

これに搭載するエンジンは明らかに大きく見え、一部には1800ccという噂もあるようだ。しかし本誌がつかんだ情報によれば、このエンジンの排気量は1500cc以下になりそう、とのこと。たしかにシートカウル後端にはR18と描かれ、またシリンダーヘッドの大きさも規格外ではあるのだが、これはカスタマイズゆえのボリューム感なのだろうか……。

カスタムワークスZONとBMWのコラボレーションによるスペシャルマシンは鮮やかに『ベスト・オブ・ショー・モーターサイクル』賞という最高の栄誉を勝ち取り、新作エンジンについては謎を残したまま閉幕を迎えている。

BMW R11
【BMW R11】写真は1930年年代に生産されたBMWのR11というマシンで、745ccの排気量から18馬力程度を発生したようだ。この世代のマシンのシルエットやシリンダーヘッドの造形が、Departedに色濃く反映されている。
BMW R12
【BMW R12】1935年に登場した後継車のR12は、世界初のテレスコピックフォークを採用したマシンとして知られている。ガーダーフォーク採用のDepartedではあるものの、雰囲気的にこちらに近いようにも思える。
Ernst Henne 1937
【Ernst Jacob Henne 1937】エルンスト・ヤーコブ・ヘンネと1937年製レコードブレイカー。Departedがモチーフとしたのはこれよりも以前のモデルだろう。
【BMW×Custom Works ZON DEPARTED】1500ccかそれ以下の排気量との情報だが、プッシュロッドの存在が確認できる(つまりOHV)など、新開発の空冷エンジンとしてはかなりチャレンジングな造り。5軸構成としてトルクリアクションを大幅に低減した現在の水冷ボクサーのようになるのか、あえて大きなクセを残した構成とするのか。後者のようにも思えるが……。興味は尽きない。

空冷エンジンファンのために、BMWは歩みを止めない

別の機会に記者はBMWの今後のモデル展開について取材をしたことがあるのだが、空冷エンジンについては世界中にファンが多いことから、今後も全てを水冷エンジンに切り替えるわけではなく、むしろ積極的に規制対応を含めた開発を推進していくとのことだった。しかしそれがこのような形で、日本のカスタムショーという場で発表されたことには驚かされた。おそらく2020年モデルとして実際に市販されるマシンは、レコードブレイカーのような形になるのか、それともカフェレーサー、またはクルーザー? ’19年秋のモーターショーでは、その姿がはっきりするだろう。

【BMW×Custom Works ZON DEPARTED】
【BMW×Custom Works ZON DEPARTED】
【BMW×Custom Works ZON DEPARTED】
【BMW×Custom Works ZON DEPARTED】

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