マシン・オブ・ザ・イヤー2018
カーボンホイールの軽量バージョンも発売に

2019新型S1000RR M Package(Mパッケージ)は206.7ps/193.5kgで登場

ついに正式発表となったBMWの新型S1000RR/M Package(Mパッケージ)。本誌が予想したとおり可変バルブタイミングシステム搭載の約207psモンスターとして登場だ。

STDでも197kg、最強に名乗り

本誌予想どおり、S1000RRは特徴的だった左右非対称のフロントフェイスから精悍な左右対称顔でイメージ一新。エンジンからフレームまですべて生まれ変わった。開発にあたりBMWでは、”サーキットでタイムを1秒縮める”、”10kg以上軽量化する”、”さらにコントロールしやすくする”を目標に据えたと言う。これは並大抵の目標ではないが、見事に実現しているから驚きだ。エンジンは従来の199psから8psアップの207ps、車重は208kg→197kgへとなんと11kgもシェイプアップ。狙うは最強SSの座だ。

さらに、これまでサーキット使用を前提とした純正カスタマイズとして”HP”をブランド展開してきたBMWだが、’19S1000RRからは新たに”M”としていくことになった。各種Mパフォーマンスパーツを取り揃えるほか、”M Package”として193.5kgのコンプリート仕様も用意。S1000RRのMパッケージ車は、専用カラーリングにカーボンホイール、軽量バッテリー、可変ピボットと車高調整機能付きシャーシキット、スポーツシート、プロモードといった装備が施される。ミラノショーでは、2019シーズンへのSBKワークス参戦も表明。ライダーには’13SBKチャンピオンのトム・サイクスが起用されることとなった。

【BMW S1000RR M Package 2019年型欧州仕様】トリコロールカラーを身に纏い、並列4気筒シリーズでは最強のスペックを実現してきた上級バージョン。HPレースでも実績のあるカーボンホイールを装着している。カラーは、BMW Motorsports colour(BMWモータースポーツカラー)のみ。

【BMW S1000RR 2019年型欧州仕様】STDも吸気側のバルブタイミング&リフトが可変するシフトカムを採用したエンジンや新作フレームでフルモデルチェンジ。カラーは写真のRacing Red(レーシングレッド)のみ。ドイツでの価格は1万8750ユーロ(約242万円)となっている。

左右非対称顔から左右対称のLEDヘッドライトにイメージを刷新。テール部分はセンターにテールランプが見当たらないので、ウインカー内蔵タイプと思われる。

SBKにもカワサキに所属していたトム・サイクスを擁して参戦するBMW。2019年はパニガーレV4RやカワサキZX-10RRとどのような戦いを見せるだろうか?!

可変バルブタイミング&リフトのシフトカムで低速も増強

それでは、まずエンジンから見ていこう。単体で4kgの軽量化を果たした新型の999㏄並列4気筒エンジンは、ボア×ストロークの80×49.7mm、最高出力発生回転数の13500rpmといった数値は従来型と一緒。しかし、高回転化でパワーを稼ぐのではなく、シフトカムテクノロジーをはじめとした新技術で207ps/13500rpm、11.52kg-m/11000rpmを発揮する。このシフトカムテクノロジーは吸気側バルブのタイミングに加えリフト量も可変させる新システムで、ボクサーツインのRシリーズにも’19から導入されるものだ。

特に低中速域でのパフォーマンス向上に大きな効果がある。これにより5500~14500rpmの間で少なくとも100Nm(10.2kg-m)を発揮。この広いトルクバンドが、これまでにない武器となる。さらに排ガスや騒音など環境性能にも貢献。吸排気系の見直しも行いやすく、1.3kg減のマフラー軽量化にもつながっている。

吸気側カムに溝を切って左右ずらすことでタイミングやリフト量を可変させるシフトカム。可変操作を行うアクチュエーターはヘッド上部に2つ取り付けられているのが分かる。

スリム化を狙ったフレックスフレームを採用

車体面では、フレックスフレームと名付けられた新形状のメインフレームを採用。これは軽量化と人間工学を狙ったもので、横幅をスリムに仕上げるのが目的だ。サスペンションやスイングアームも全面的に見直され、ディメンジョンもよりサーキットで速いタイムを出せるアグレッシブな方向へと変わっている。電子制御サスのDDCはオプションで装備することが可能だ。

電子制御面ではIMUを新型に変更。トラコンやウイリーコントロール、エンジンブレーキコントロール、サーキット対応ABS、クイックシフターなどサーキットに必要なものはひと通り標準装備されている。ライディングモードは”レイン”、”ロード”、”ダイナミック”、”レース”の4つに加え、レース用オプションである”プロモード”を3つ用意している。メーターは6.5インチのフルカラーTFTで、公道用とサーキット用でレイアウトが切替可能。ヘッドライトは左右対称形のLEDとなり、周囲をデイタイムランニングライトが囲むものとなった。またウインカーはオートキャンセル機能が働くようになっている。

フレックスフレームと名付けられたくの字に折れ曲がった形状は、LCGフレームに似た効果もありそうだ。リヤサスはリンクを上部に持ってくるフルフロータータイプに変更され、バネ下で300gの軽量化を果たした。

従来はアナログタコ―メーターと液晶の組み合わせだったメーターは、現代的な6.5インチのフルカラーTFTに変更。画面表示をサーキットや公道に合わせて表示を変えることができるようになった。


「’19新型S1000RRも搭載?! R1250GSの可変バルブタイミング・リフト機構とは?」記事はこちらへ。
「【動画】PANIGALE V4S(パニガーレV4S) vs S1000RR最高速対決」記事はこちらへ。

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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