ハンドル位置を自在に設定する技術

ナイケンとゴールドウイングのステアリング機構

2018年5月中旬から実施されているナイケンの試乗会で、初めてカウルを外した車体が公開された。ネイキッド仕様のナイケンではLMWテクノロジー以外でもステア機構に特徴が見られ、偶然にも2018新型ゴールドウイング/ツアーと共通項があったのだ。

デュアル ステアリング アクスルを採用

一般的なバイクのグリップ位置は、ステムシャフトの上にハンドルをマウントしその形状によって決められる。そのため、シートからステムシャフトまでの位置が遠い場合は、プルバックハンドルでグリップ位置をライダーに寄せるなどして対応している。しかし、水平対抗6気筒エンジンを搭載するゴールドウイングは、エンジン前後長が長いためステムシャフトがシートから遠く、ハンドルをプルバックさせるのにも限度があるため、小柄なライダーではフルロックさせると手が届かないこともあった。そこで新型ではハンドルをライダーに近づけるために前輪操舵軸とステムシャフトの位置を別にする機構を採用している。

ところがナイケンの場合は、同じようにデュアル ステアリング アクスル機構を採用するがその目的は全く異なる。ライダーを前輪操舵軸から遠ざけるためにハンドル位置をライダー側にずらしているのだ。理由は、フロント2輪とした機構上、前後重量配分が前側に寄っているのを補正するためだ。前後輪の重量配分は、ライダーが乗った状態で50:50になるのが理想ということで、あえてライダーが座る位置をフロントまわりから遠ざけているのだ。

【YAMAHA NIKEN】フロントの操舵軸がハンドルのステムシャフトの前方にあるのが分かるだろうか。ヤマハはこれれをデュアル ステアリング アクスルと呼称しており、前後重量配分をライダーの座る位置を調整することによって適正化している。

【HONDA GOLDWING/TOUR】ゴールドウイングの場合はまずダブルウィッシュボーンサスありきのステムシャフトの位置変更でその目的も異なるが、メカニズムは偶然にもナイケンと一致する。

ステアバイワイヤになればハンドルも不要に

様々な体型があっても洋服とは異なりバイクのハンドル位置やライディングポジションにサイズ設定はほぼない。しかし、ハンドル自体がなくなればいずれはそんな悩みからも解放される!? 5月23~25日に開催されていた横浜の人とくるまのテクノロジー展にヤマハがモトロイドを出品。モトロイドにはグリップはあるが固定式でステアリングを切ることができない。では、どうやって前輪の操舵軸を操作するかというと、ダイヤル状のスイッチを指で回すことによってモーターがステアしてくれるのだ。

【YAMAHA MOTOROiD】左手親指のダイヤルがハンドルスイッチ。フロントフォーク付け根にモーターがセットされていてステアリングを操作する。グリップは固定式でライディングポジションはYZF-R1と同じ設定だ。

「NIKEN=ナイケンの試乗インプレッション」記事はこちら
「NIKEN=ナイケンはアッカーマンステアで旋回」記事はこちら
「ダブルウィッシュボーンに死角なし?」記事はこちら

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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