マシン・オブ・ザ・イヤー2018
欧州で試乗会が開催

NIKEN=ナイケンの試乗インプレッション

トリシティに次ぐヤマハ3輪の本命がついに走り出した。2018年5月中旬からオーストリアで実施されている試乗会に英「MOTORCYCLE SPORT & LEISURE」誌が参加し、本誌にレポートを提供してくれた。その内容をお届けしよう。

実用的で楽しい! 賞賛に値する技術革新

磐田を拠点とするヤマハ発動機は1955年に設立されて以来、最も革新的で影響力のあるバイクやスクーターの開発を行ってきた。 そして2015年、ヤマハは東京モーターショーで3輪のコンセプトモデルであるMWT-9を出展し、そのわずか2年後にリーニングマルチホイール初の大型車として全く新しいNIKEN=ナイケンを発表した。
これは、過去10年間のモーターサイクルの最大の革新の一つだろう。Leaning Multi Wheel(リーニングマルチホイール=LMW)テクノロジーと2つの前輪で実現できることの可能性を広げ、グリップを気にせず自信を持ってコーナリングを楽しめるようにしてくれた。そして、我々MSL(MOTORCYCLE SPORT & LEISURE誌のこと)は実際に走って確かめるためにオーストリアにやってきた。タイトなつづら折りや高速コーナー、片側一車線の酷道が混在した山道を走ること260km、コーナーでひたすらバンクセンサーを擦りながら美しい山道を丸一日駆け抜けた。今、私はヤマハのリーニングマルチホイールをただただ賞賛している。それは信頼と実用性を備え、偉大でとても楽しいものだったのだ。
確かに、ナイケンは定義が難しい。それは2つではなく3つのホイールで構成されているので、バイクとは言えないかも知れない。しかし、トライクとは異なり傾いて曲がる。基本的には、特殊性は走り以外にありそうだ。正面からは筋肉質なボディーと攻撃的なLEDライトの目つきで近寄りがたく感じる。しかし、初めてワインディングを駆け抜けて、ナイケンは見た目ほど風変りなものには感じられなかった。ビッグスクーターや大陸ツアラーと似通ったイメージなのだ。

【YAMAHA NIKEN 2018年型欧州仕様 価格:1万3499ポンド(約202万円)】イタリアでは1万4990ユーロ(約202万円)で発売する。

グリップに不安を覚えることはない

ナイケンはとても快適でもある。シートの上で6時間過ごした後でも私はまだ疲れていなかった。もっと走れそうだ。シート高は820mmで決して低くはないが、身長185cmで81cmの股下で立っていても全く問題ない。また、車重は263kgだがバランスが取れているのでそれほど重さを心配することはない。私は比較的容易に駐車場でトコトコと押し歩くことができた。興味深いことに、前後50:50の重量配分を実現するため、デュアルステアリングアクスルによってハンドルバーがシートに近づけられているのだ。
まずは、ナイケンの画期的なLMW技術と2つの前輪について話そう。ナイケンは私が今まで乗ったどのバイクよりタイヤが地面に張り付くような感じだ。 そして、260kmのテストルートでフロントのグリップが失われることは一度もなかった。また雨が降ってきた時でも、不安を覚えることもなかったのだ。
フロントサスペンションは、LMWシステムと一貫して機能し同様に印象的だった。それは標準的な設定で硬くはない。しかし、ツインフォークシステムと2つの前輪のおかげで、ナイケンは荒い路面でもスムーズにラインを描いて行く。まるで電車のレールのようなものだ。私は何度も轍を跨いだり岩や砂利に乗り越えたが、落ち着いてマシンを操作することができた。リヤサスはMT-09と同じプリロードと伸び側ダンパーが調整可能な一般的なモノショックで、これも不安を感じさせることなくギャップをよく吸収してくれた。
ブレーキも標準以上。あなたは素早く安全にマシンを止めることができるだろう。通常、重い車重を止めるためにはかなり頑張らなくてならないが、2つの前輪とLMWシステムのおかげで、コーナーでは正確なブレーキングが可能となっており、ラインをトレースすることができた。
エンジンもいい感じだ。これはMT-09やトレーサー900がベースでナイケンの車重に対応するために調整されている。だが実際にはMT-09と同レベルのパフォーマンス(10,000rpmで115ps、8,500rpmで8.92kg-m)を発揮するのだ。

ヤマハの努力は価値あるものだった

ブリヂストンと共同開発のフロントタイヤは、ナイケンの特徴に合わせて高いグリップを確保する。フロントには、特別に開発された15インチ/120サイズのタイヤのペアがあり、前例のない粘着力を発揮する。興味深いことに、リヤにはアドベンチャー向けのA41が装着されており、フロントよりもグリップが低い。あまり褒められた行為ではないが、アクセルひとひねりでリヤを簡単に空転させることもできる。
もう1つの素晴らしいディテールは、YZF-R1やYZF-R6と同じ高度な生産技術を採用した軽量なアルミ製の燃料タンクで、容量は18Lを確保し航続距離は300km以上を実現している。他にも視認性のいいLCDディスプレイや前後LEDライト、YCC-T、D-MODE、クルーズコントロール、トラクションコントロール、 アシスト&スリッパ-クラッチ、クイックシフトシステムなどが装備されている。
正直なところ、私は決して最も速く能力のあるライダーとは言えない。だが、 初めて走る道では通常の2輪のバイクよりナイケンの方がもっと攻められるのは間違いない。 そして、攻めるほどナイケンは有効になる。あなたはやすやすと右に左にコーナーを駆け抜けることができるだろう。そして、自信は決して失われることがない。
最後に、ヤマハの優れた頭脳、細心の注意、努力がナイケンを完成させたことは明らかだ。そして、ナイケンのシートの上で一日を過ごした後、私はそれらがすべてが価値あるものと確信するに至った。 実際、私はジャーナリストのグループが何かのモデルを全面的に肯定するということは聞いたことがなく、それはナイケンがどれだけ優れているかを証明するだろう。 まずは乗ってみるべき。きっとナイケンはあなたを驚かせるはずだ。

国内での発売時期は秋頃と予想されるが、価格はまだ決まっていないとの情報。現状はっきりしているのは、200万円を切りそうというざっくりとした価格帯のみ。カラーバリエーションはこの1色のみとなる見込みだ。

主要諸元■全長2150 全幅885 全高1250 シート高820 軸距1510 最低地上高150(各mm) キャスター/トレール=20°/74mm 車重263㎏(装備)■水冷4スト並列3気筒DOHC4バルブ847cc 115ps/10000rpm 8.9㎏-m/8500rpm 燃料タンク容量18L■タイヤF=120/70R15 R=190/55R17

ニュース提供:MOTORCYCLE SPORT & LEISURE誌/MOREBIKES(イギリス)
テスター:Ross Mowbray
「NIKEN=ナイケンはアッカーマンステアで旋回」記事はこちら
「【第2弾】NIKEN=ナイケンの試乗インプレッション」記事はこちら

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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