
●文:ライドハイ編集部(根本健)
ホンダやヤマハに続き小排気量で世界GP制覇したスズキ、後発だった海外SS進出では大型指向を目指す
ホンダやヤマハと同様に浜松を本拠とするスズキは、国内向け小排気量実用車が得意で、世界GPチャレンジも50ccや125ccがメイン。本格的な海外SS進出は1965年のT20(250cc)からと遅かったが、初の6速ミッションやクランク軸へ直接給油する斬新な分離給油など、クオリティと最新技術のアピールが強い路線だった。
ただ海外スポーツバイク市場進出が後発だったため、欧州車の大型クラスを目指すのも早く、1968年には2ストローク2気筒のT500を投入。日本車にはなかったハイクオリティ感を重視しながら、タイタン(巨人)の名で市販レーサーも準備し、アメリカを中心に2ストロークでは珍しい世界の大型クラス進出へ、一気にアピールを強めようとしていた。
しかし、このタイミングでホンダから量産車で初の4スト4気筒・CB750フォアがデビュー。世界の注目を一身に集め、カワサキもマッハIIIの2スト500cc3気筒で追随するなど、流れはパフォーマンス一辺倒へ急激に舵が切られた。
この大型車での競争には4ストロークエンジンが必要と水面下で模索を進めながら、スズキは優位だった2ストローク技術と、他と一線を画していた豪華な上位路線とのコンビネーションで、1971年に市販ロードスポーツ初の水冷3気筒・GT750を投入。GTのネーミングは、SSを越える豪華装備のまさしくGTカーの位置づけでファン獲得を狙ったのだった。
GT380:ラムエアで3気筒に4本マフラー。重量車イメージと強烈なサウンドで熱いファンを獲得!
続いてスズキが1972年に投入したのは、GT750譲りの2ストローク3気筒ながら、水冷ではなくラムエア冷却のGT380。120°クランクの2ストローク3気筒は、4ストロークの直列6気筒にも似たシルキーで吹け上がり感が心地よい、斬新でゴージャスなエンジンと注目を浴びた……
※本記事は2022年10月14日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
マイノリティ好きにはたまらない2スト250で3気筒、走りに刺激はなかったけれど海外でもファンが少なくなかった! カワサキが世界進出の勝負球として、500ccで2ストローク3気筒のマッハIIIをリリース[…]
Zを知り尽くしたエンジニアならではの勘ドコロを押えた絶品設計! 1989年のゼファー(400)が巻き起こしたネイキッド・ブーム。 カワサキはこの勢いをビッグバイクでもと、1990年にゼファー750と1[…]
ヤマハ・ハンドリングの真骨頂、パイプ構成では得られないデルタ形状アルミ鋼板フレーム! 1980年に2スト復活を世界にアピールしたヤマハRZ250の衝撃的なデビューに続き、1983年にはRZ250Rで可[…]
RZ250を上回る新テクノロジー満載! 1979年にホンダがリリースした、まさかの2ストローク50ccスポーツのMB50(広告なでの名称はMB-5)。 250ccやビッグバイクのスケールダウン・デザイ[…]
ヤマハ・ハンドリングのこだわりを400レプリカ路線へ融合! 1980年にRZ250をリリース、レプリカの時代に先鞭をつけたヤマハも、4ストのスポーツバイクXJ400系ではツーリングユースを前提とした、[…]
最新の関連記事(ネモケンのこのバイクに注目)
新型4気筒を待ち焦がれていたホンダファン CBにXが加わった車名のCBX400Fは、1981年10月にデビュー。バイクブーム真っ只中で爆発的な人気を誇ったホンダの切り札となったマシンだ。 実はカワサキ[…]
ボクサーエンジンの誕生、最強バイクとして世界中でコピー BMWといえば、2輪メーカーとしてスーパーバイクS1000系からボクサーのRシリーズなど、スポーツバイクで世界トップに位置づけられるメーカーだ。[…]
特別な存在をアピールする“衝撃”=IMPULSEと名付けたバイク スズキには、1982年から400ccネイキッドのシリーズに「IMPULSE(インパルス)」と銘打ったバイクが存在した。 IMPULSE[…]
250ccの4気筒はパフォーマンスで不利。それでも届けたかった4気筒の贅沢な快適さ 250ccで4気筒…。1982年当時、それは国産ライバルメーカーが手をつけていないカテゴリーだった。 1976年にD[…]
一般公道は乗りやすさ最優先、そのコンセプトを後方排気でピュアレーシーへ ヤマハは、1980年にレーサーレプリカ時代の幕開けともいうべきRZ250を発売。一躍250ccをビッグバイクを凌ぐパフォーマンス[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車 | スズキ [SUZUKI])
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
2ストロークで大型フラッグシップの高級路線へ挑戦! ホンダが1968年にCB750フォアで世界の大型バイク・メーカーに挑戦を開始すると、スズキも高価格で利益の大きなビッグバイクへのチャレンジを急いだ。[…]
「世界初の量産250ccDOHC水冷4気筒エンジン」が生み出す最上の乗り味 1983年3月。デビューしたてのGS250FWに乗った印象といえば「速い!というよりすべてがスムーズ。鋭い加速感はないけど必[…]
アンダー400並列二気筒の代表モデル 第一世代 GSと他3車は異なるモデルだった とりあえず第一世代としたけれど、’70年代中盤に登場した400ccクラスの4スト並列2気筒車の中で、日本の中型限定免許[…]
人気記事ランキング(全体)
プロテクター標準装備の冬用ライディングジャケット 一見するとカジュアルなパーカスタイルだが、中身は本格的なウインタージャケットである。本商品は、胸/肩/ひじ/背中の4部位にプロテクターを標準装備してお[…]
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
Eクラッチと電子制御スロットルが初めて連携する750シリーズ ホンダが欧州2026年モデルの5車にEクラッチを新搭載。これまでにミドル4気筒の「CBR650R」「CB650R」、250cc単気筒の「レ[…]
着る季節を選ばない設計と、高速走行を意識したディテール 春から冬まで対応できる点が、このモデルの大きな魅力だ。表地には防風性とストレッチ性を備えたソフトシェル素材を使用しており、ライディング時の冷たい[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
最新の投稿記事(全体)
アプリリアの伝統を受け継ぐ、全ルート走破型スクーター SR GT 400は、ミドルクラスながらマルチパーパスを意識したアドベンチャースクーターだ。街中での俊敏なレスポンスはもちろん、林道ツーリングでも[…]
生活に根ざしたモビリティを模索する スズキがジャパンモビリティショー2023(JMS2023)で提案した「SUZU-RIDE(スズライド)」は、特定原付区分ながら、広く普及している電動キックボードとは[…]
関東のおすすめバイク神社一覧 ライダーのセーフティライドを支えるのは、交通ルールを遵守した適切なオートバイの乗り方と、愛車への深い理解、周囲の交通環境を確認して事故を未然に防ぐ観察眼などがあります。 […]
出力調整を極限まで最適化&他技術との連携で相乗効果 キャブやFIスロットルボディの吸気量を決めるバタフライの開閉をワイヤーで繋がったスロットルグリップで人間が直接調整していたのが旧来の方式。これに対し[…]
商品ではなく「こんなこと、できたらいいな」を描く 今回は見た瞬間にハートを鷲掴みにされてしまったモトクロス系のお気に入りバイクカタログをご覧になっていただきたい。 まずはアメリカホンダ製作によるモトク[…]


![1965 SUZUKI T20|スズキGT380[名車バイクレビュー] 1970年代に一世を風靡したラムエア3気筒エンジン](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/02/suzuki_gt380_20220907_03-768x432.jpg)
![1968 SUZUKI T500|スズキGT380[名車バイクレビュー] 1970年代に一世を風靡したラムエア3気筒エンジン](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/02/suzuki_gt380_20220907_04-768x432.jpg)
![1971 SUZUKI GT750|スズキGT380[名車バイクレビュー] 1970年代に一世を風靡したラムエア3気筒エンジン](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/02/suzuki_gt380_20220907_02-768x432.jpg)
![1974 SUZUKI GT380|スズキGT380[名車バイクレビュー] 1970年代に一世を風靡したラムエア3気筒エンジン](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2024/02/suzuki_gt380_20220907_06-768x432.jpg)







































