![[バイク雑学] カワサキのライムグリーンはいつ生まれた?〈“不吉な色”は1969年のデイトナで仰天デビュー〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/attachmentfile-file-22300.webp)
●文:ライドハイ編集部(根本健)
どのメーカーにもない鮮烈なカラーとして“ライムグリーン”に着目!
カワサキといえばライムグリーンがブランドのイメージカラー。なんと50年以上もの長きにわたり、変わらず定着しているのだが、なぜこの色だったのだろうか?
実は1968年以前のカワサキのイメージカラーは、モトクロスは赤、ロードレースは赤みを帯びたマルーンとアイボリーのツートーンだった。アメリカ市場へ殴り込みをかけた2スト2気筒250cc、GPマシン直系のロータリーバルブ吸入のA1を追うカタチで、1966年セールスプロモーションを兼ねアマチュアレースでの活躍を期したA1Rを投入。このカラーリングがGPマシンと同じツートーンだった。
カワサキは世界GPでは後発メーカーで、125cc2気筒KA-1で同クラスの先行メーカー・スズキやヤマハへ徐々に追いつきつつあったが、1967年に先行2社と同じ2気筒をギヤ連結した125cc4気筒で12段ミッションを装備したKA-2(ボア×ストローク:34×34.3mm、40ps/17,250rpm)で日本GPに参戦した。
ただ世界GPは日本メーカーだけの闘いに終始したため、欧米メーカーの参戦を促そうと、1969年から気筒数や変速機の段数を制限。日本のワークスマシンは撤退せざるを得なくなった。
そこでアメリカでのレース挑戦に積極的だったカワサキは、主力をこのAMA(全米モーターサイクル協会)レースへスイッチ。市販レーサーをベースとしたワークスマシンの投入を始めたのだ。
その1969年、注目のシーズンオープニングのデイトナに、カワサキは市販レーサーA1R(250cc)のワークスマシン・A1RSと、350ccのA7RSを引っ提げてきたが、そのカラーリングがなんと、ライムグリーンと白のツートーン! これにはファンも度肝を抜かれた。
西欧のホラー映画をはじめ、死が漂う描写にはグリーン系を象徴的に使う。不吉を予感させる色だ
カワサキは勝負に出たレースにおいて、赤や黄色に青など原色系は先行するメーカーに近いため、そのどれにも似ていない、しかも強烈なインパクトのあるカラーリングを求めていた。
切れ味鋭い、危なっかしいパフォーマンス……縁起をかつぐほど絶対に使わないこのライムグリーンに、自らを奮い立たせていたのだ。
こんなところにも、カワサキの独創性というか、我が道を行くフィロソフィを感じさせる。
折りしもこの1969年、カワサキは500cc2スト3気筒のマッハIIIが、世界最速マシンを謳い文句にデビュー。このH1でも市販レーサーH1Rを製品化させ、ワークスマシンと同じライムグリーンを纏っていた。
ヨーロッパで世界GPを制したKRワークスマシンの凄まじいオリジナリティ
センセーショナルなウイリーマシン・H1マッハIIIに続き、1974年にはご存じの切り札・900cc4ストDOHC4気筒のZ1で世界を席巻。この頂点マシンに続く中間排気量へと裾野を拡げ、世界でスポーツバイクの一角を築く存在として急速な成長を遂げていた……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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