●文:ライドハイ編集部(根本健)
どのメーカーにもない鮮烈なカラーとして“ライムグリーン”に着目!
カワサキといえばライムグリーンがブランドのイメージカラー。なんと50年以上もの長きにわたり、変わらず定着しているのだが、なぜこの色だったのだろうか?
実は1968年以前のカワサキのイメージカラーは、モトクロスは赤、ロードレースは赤みを帯びたマルーンとアイボリーのツートーンだった。アメリカ市場へ殴り込みをかけた2スト2気筒250cc、GPマシン直系のロータリーバルブ吸入のA1を追うカタチで、1966年セールスプロモーションを兼ねアマチュアレースでの活躍を期したA1Rを投入。このカラーリングがGPマシンと同じツートーンだった。
カワサキは世界GPでは後発メーカーで、125cc2気筒KA-1で同クラスの先行メーカー・スズキやヤマハへ徐々に追いつきつつあったが、1967年に先行2社と同じ2気筒をギヤ連結した125cc4気筒で12段ミッションを装備したKA-2(ボア×ストローク:34×34.3mm、40ps/17,250rpm)で日本GPに参戦した。
ただ世界GPは日本メーカーだけの闘いに終始したため、欧米メーカーの参戦を促そうと、1969年から気筒数や変速機の段数を制限。日本のワークスマシンは撤退せざるを得なくなった。
そこでアメリカでのレース挑戦に積極的だったカワサキは、主力をこのAMA(全米モーターサイクル協会)レースへスイッチ。市販レーサーをベースとしたワークスマシンの投入を始めたのだ。
その1969年、注目のシーズンオープニングのデイトナに、カワサキは市販レーサーA1R(250cc)のワークスマシン・A1RSと、350ccのA7RSを引っ提げてきたが、そのカラーリングがなんと、ライムグリーンと白のツートーン! これにはファンも度肝を抜かれた。
西欧のホラー映画をはじめ、死が漂う描写にはグリーン系を象徴的に使う。不吉を予感させる色だ
カワサキは勝負に出たレースにおいて、赤や黄色に青など原色系は先行するメーカーに近いため、そのどれにも似ていない、しかも強烈なインパクトのあるカラーリングを求めていた。
切れ味鋭い、危なっかしいパフォーマンス……縁起をかつぐほど絶対に使わないこのライムグリーンに、自らを奮い立たせていたのだ。
こんなところにも、カワサキの独創性というか、我が道を行くフィロソフィを感じさせる。
折りしもこの1969年、カワサキは500cc2スト3気筒のマッハIIIが、世界最速マシンを謳い文句にデビュー。このH1でも市販レーサーH1Rを製品化させ、ワークスマシンと同じライムグリーンを纏っていた。
ヨーロッパで世界GPを制したKRワークスマシンの凄まじいオリジナリティ
センセーショナルなウイリーマシン・H1マッハIIIに続き、1974年にはご存じの切り札・900cc4ストDOHC4気筒のZ1で世界を席巻。この頂点マシンに続く中間排気量へと裾野を拡げ、世界でスポーツバイクの一角を築く存在として急速な成長を遂げていた……
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