![[バイクの仕組み] なぜ前輪が勝手に切れ込もうとするのか?【ネモケンのライドナレッジ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/attachmentfile-file-22233.webp)
●文:ライドハイ編集部(根本健) ●写真:藤原らんか Shutterstock(OlegRi)
低速で曲がるとき、思ったより内側へ前輪が切れ込んでいく
小さなターン/ヘアピンコーナー/交差点の右左折など、前輪がイン側へ切れ込もうとして、ハンドルをもってかれそうになることがある。
いつもの愛車/いつもの近所と、ふだんは気にも留めずに曲がれていた箇所で、いきなりこんな目に遭うと、ビックリというか疑心暗鬼の塊に陥って当然だろう。
これはバイクの不具合も考えられるが、低速で前輪が安定しにくくなっている状況に、ライダーのある種の勘違いの感覚と操作をしてしまうところに原因がある場合も少なくないのだ。
まずは前輪の空気圧を疑ってみる
この前輪の切れ込みが、異様にハンドルを重く感じたなら、まずは躊躇せず道端へバイクを止め、降りてフロントタイヤを手の指で押してみよう。規定の空気圧であれば簡単に凹んだりしないはずで、少しでもたわんだ場合は、一番近くのガソリンスタンドまでゆっくり走り、空気圧をチェック。1kPa(kg/cm3)以下なら、そのままの走行はNG。フロントタイヤが凹み過ぎて変形すると、本来のアライメントが機能する直進を保つ復元力や旋回に従って曲がるセルフステア効果も働かないので、危険きわまりない。
タイヤは1ヶ月以上乗らないと20%ほど空気圧は自然に抜けるものの、ここまで減っているのはパンクを疑ったほうがイイ。釘などが刺さっていれば外から見てわかりやすいが、小さな金属片などが食い込んでいるとほぼ目立たない。空気圧を1.7~2.2kPaのそれぞれ指定されているところまで充塡して、タイヤに耳を当てて小さな空気が漏れている音が聞こえないか確認するぐらい、慎重になるべきだ。
曲がろうと思う旋回に、バンク角が深すぎる!?
前輪の空気圧が何でもなかったら、次に考えられるのがライダー側の問題。曲がろうとしている旋回に対し、車体を傾け過ぎている可能性が濃厚だからだ。
バイクは、通常の速度域では後輪の旋回する軌跡の外側を前輪が追随して同心円を描くのが基本原理。この後輪との関係が従順であるほど、ライダーは違和感なく乗れる。
そもそもフロントのアライメントは、フォークを斜めに設定する効果で直進する復元力と、ちょっとでも傾くと曲がりやすく前輪がステア追従する特性とを併せ持つのが基本原理。この前輪の追従性をセルフステアといって、基本原理に逆らわないバランスとなるよう、フロントフォークの傾斜角やブラケットのオフセット量を設定してあるのだ。
ただ、前輪がフラつくまで速度が下がると、このセルフステアの原理は働かなくなる。そこで低速では、ライダーがハンドルを左右へ舵取りする操作でフラつかないようバランスをとっているのはご存じのとおり。
これが切り替わる15~20km/hあたりで、ついライダーがいつもの安定した感覚のまま勘違いしてバイクを寝かせ過ぎると、前輪が倒れ込むように内側へ切れていこうとするのだ。
この予想外の反応に、ライダーは驚いてハンドルを押さえ、“信用ならない不安”を抱くことになる。前回のツーリングでもこんな違和感はまるでなかったのに、ナゼ? と混乱するかも知れない。
が、ライダーの感覚が日によって違ったりするのはよくあること。エッ、昨日乗ったばかりなのに、そんなに簡単に馴染んだ感覚を忘れてしまうなんて…そう思われるのもムリないが、ベテランでも頻繁に起きることで、人間はしょっちゅう変わるモノと思うほかなさそうだ。
ということで、落ち着いて低速のターンを車体を傾け過ぎていないか、ハンドルを押したり引いたりしていないか等々を確かめながら、フツーの走れるバランスへ自分の感覚を戻していこう。
セルフステアをどれだけ妨げているか、確認しておこう!
せっかくの機会なので、ここでセルフステアの機能を妨げやすい左手についておさらいしよう……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
鈴鹿8耐でV4に勝つ750インライン4開発に単を発した操る面白さでライディングする新次元のスーパースポーツFireBlade! 1992年に登場したCBR900RR FireBladeは、それまでトッ[…]
世界をリードしたCB、CBR、VFR、RVFの歴史を積み上げた経験とこだわりのありったけを注ぎ込む! スーパーブラックバード。米空軍で超高々度を偵察飛行する目的で開発された最高速度記録3529.56k[…]
2バルブで半球形燃焼室のツイン点火プラグ! 1989年のゼファー(400)が火をつけたネイキッド・ブーム。 カワサキは1990年にゼファー750、そして1992年にはゼファー1100とビッグバイクでも[…]
不朽の名車KATANAのレプリカで、尖ってないスポーツモデルをリリース! スズキといえばKATANA……国産4メーカーが揃ってビッグバイクへチャレンジして肩を並べた1970年代を過ぎて、スズキはスペッ[…]
ネオレトロなロケットカウルへの郷愁を巧みなグラフィックで新しさへと巧みに演出! 1989年、スズキは1レーサーレプリカ全盛だった頃に感性も価値観も異なる、オトナを意識した都会的な新ネイキッド、BAND[…]
最新の関連記事(ライディングテクニック)
なぜ「舗装路のベテラン」がダートで転ぶのか? アドベンチャーバイクのブームもあり、林道やダートに興味を持つライダーは増えています。しかし、「アスファルトの上なら何万キロも走っている」というベテランであ[…]
ブレーキング:鍵はイニシャルブレーキ 旋回への準備を整える区間で重要となるのが、初期制動=イニシャルブレーキである。コーナーの進入でいきなりガツンッとレバーを握り込むと、前方向へのピッチングが必要以上[…]
はじめに:“速さ”でなく“スムーズさ” 皆さんは、私、フレディ・スペンサーのことをどういうライダーだと思っているだろうか? 前走者のインに飛び込んだり、コーナーの立ち上がりでホイールスピンを続けるなど[…]
どう計算したって同じようにはなれない 2025年のホンダ熊本イベントでフレディ・スペンサーと話せる機会を得て、あらためて彼は「天才」だと感じたね。僕が高校時代にバイクの免許を取った頃には、もうスペンサ[…]
すでに13年も続いている人気イベント 初心者むけと言いつつ、いきなりサーキットが舞台というと「ハードル高くね」と思われがち。ですが、「バイクで遊ぼう」にはツナギのいらない「街乗りクラス」の設定があるの[…]
人気記事ランキング(全体)
激動の物価高を乗り切る「価格据え置き」の価値 世界的なインフレによってあらゆるパーツや原材料が高騰するなか、スズキは2026年8月発売の新型でも、2025年7月18日発売の前年モデルの価格である98万[…]
7.0リッターV8ツインターボ×軽量カーボンボディ まずは、750馬力を絞り出すエンジンこそサリーンの真骨頂かと。フォード製の巨大な7.0リッターV8エンジンに、ギャレット製のターボをツイン装備。しか[…]
350cc単気筒から648cc並列2気筒へ!伝統のファミリーに宿る力強い鼓動 2023年に発表された「BULLET 350」は、350ccのJシリーズ単気筒エンジンを搭載したシンプルな空冷モデルだった[…]
Screenshot 真夏のツーリングを終えて帰宅すると、暑さと疲れから「早くバイクをガレージにしまいたい」と思うものです。しかし、走行直後のバイクには虫汚れが付着していたり、発汗によるヘルメットやジ[…]
軽快さや速さを強調しない従順なグランドツアラー ’71年からスズキが発売を開始した、2スト並列3気筒のGTシリーズを語るうえで、好対照の機種としてよく話題に上るのが、同じ時代に販売され、同様のエンジン[…]
最新の投稿記事(全体)
「バブ」と親しまれた、ホンダ・ホークCB250Tの系譜と魅力 1977年、ホンダが250ccクラスに投入した初代「ホークCB250T」は、空冷4ストローク並列2気筒OHC3バルブエンジンを搭載し、最高[…]
350cc単気筒から648cc並列2気筒へ!伝統のファミリーに宿る力強い鼓動 2023年に発表された「BULLET 350」は、350ccのJシリーズ単気筒エンジンを搭載したシンプルな空冷モデルだった[…]
軽快さや速さを強調しない従順なグランドツアラー ’71年からスズキが発売を開始した、2スト並列3気筒のGTシリーズを語るうえで、好対照の機種としてよく話題に上るのが、同じ時代に販売され、同様のエンジン[…]
7.0リッターV8ツインターボ×軽量カーボンボディ まずは、750馬力を絞り出すエンジンこそサリーンの真骨頂かと。フォード製の巨大な7.0リッターV8エンジンに、ギャレット製のターボをツイン装備。しか[…]
宣伝一流、販売三流で経営が悪化 全日本、そして海外でもモトクロスライダーとして活躍していた吉村太一が、レースを引退してライダーズスポットタイチ(以下アールエスタイチ)を創業したのは1975年のことだ。[…]
- 1
- 2


![低速で曲がるとき、思ったより内側へ前輪が切れ込んでいく|[バイクの仕組み] なぜ前輪が勝手に切れ込もうとするのか?【ネモケンのライドナレッジ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/ride-knowledge_158_01-768x432.jpg)


































