
DIYペインターの中には、フレームや足まわり部品まで自家塗装で行う猛者もいる。だが跳ね石や衝撃が加わる部分であることを考えると、プロに任せてパウダーコート塗装を施すのが、長い目で見て間違いのない選択である。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:パウダーコーティング・カトー
フレームを塗装する際にパウダーコートがおすすめな理由
外装部品をどれだけ磨き上げていても、フレームや足まわりが錆びたり塗装がヤレていると、バイク全体の印象は悪くなる。逆に外装がくたびれていても、黒いパーツがしっとり輝いているだけで見栄えがよくなるもの。
ステアリングヘッドパイプやスイングアームピボット周辺など、外から見える部分だけを缶スプレーで塗ったり、もっと大がかりにフレーム単体の塗装を剥離剤で落として自家塗装する器用なサンメカもいる。
ウレタン缶スプレーのブラックを使えば、ツヤも耐ガソリン性も得られる。だが、エンジンを積む際に傷つけたりワイヤーが擦れて剥がれたりするなど、自家塗装の限界に直面することも多い。
「餅は餅屋」の喩えどおり、外装部品よりシビアな環境にある骨格部品に関しては、溶剤系のペイントより粉体塗装=パウダーコートの方が一段も二段も上であることは確かだ。塗膜が厚く衝撃に強く強靱で、なおかつ形状が複雑でも静電気の力で塗料がまとわりつくパウダーコートは、粉体塗料を焼き付ける乾燥器を持っていないかぎり、プロにしかできない塗装方法である。
この分野で全国のレストア好きや旧車絶版車好きから頼りにされているのが、パウダーコーティング・カトー(愛知県)だ。工業用サンドブラストによる塗装剥離から粉体塗装/焼付乾燥まですべて社内で行うのはもちろん、なによりバイクを知り尽くした加藤金親氏のテクニックはバイクの骨格部品のリフレッシュに欠かせないもので、絶大な安心感がある。
フレーム単品まで分解する自信がないなら、手初めてにスイングアームとスタンドだけでも依頼してみては? その仕上がりを見ればきっと「次はフレームを!!」という気持ちになるだろう。
日本全国のカスタムショップや絶版車専門店、サンデーメカニックからの依頼で大忙しのパウダーコーティング・カトーの加藤金親代表。パウダー以外にガンコートやアクリル焼付塗装も好評だ。
バイク1台を分解してフレームのパウダーコーティングをオーダーする際は、スイングアームや3つ叉などのパーツも合わせて発送するのが一般的。念のためスマホで写真を撮っておくのが良いだろう。写真は仕上がってきたGB250クラブマンのフレーム一式。
塗装済みフレームは丁寧に梱包されてユーザーの手元に返ってくる。新聞紙を剥がして生まれ変わったパーツを見れば、誰もが素晴らしい仕上がりに感動するはず。溶剤系のペイントでツヤを出すには、サフェーサーを厚く塗って入念に研磨した後に上塗りしなくてはならず、均質に仕上げるのは至難の業。だがパウダーコーティングは、金属への密着力が強く塗膜が厚いからヌルテカに仕上がる。右の写真は塗装前。カサカサだったヘッドパイプが嘘のようだ。
フレーム以外も走行中や組み上げ工程で傷がつきやすいパーツもパウダーコーティングした。メインスタンド/3つ又/トップブリッジ/エンジンハンガーなどなど。
絶版車や旧車の鉄製スイングアームやスタンドは錆びて当然で、スプレーペイントではサビの痕跡を消しきれないことも多い。また厚塗りしすぎると跳ね石などで塗膜が割れてしまうことも。パウダーコーティングに使用する粉体塗料は、高強度で耐衝撃性に優れており、塗膜割れのリスクが低いのが特色だ。スタンドのストッパーが曲がったり接地面が破損している場合、修正後に塗装を依頼しよう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
前後バランス配分が崩れてしまったフロントまわりを構築 フロントフォークの動き云々もあるが、動き以前に長さが違って前後バランス配分が崩れてしまうと、まともに走れなくなってしまうのがバイクだと思う。とりわ[…]
歴史的な価値のあるパーツに使われることが多いマグリコート ホイールやエンジンカバー、といっても一般的な市販モデルではなく、アフターマーケットパーツやレース用のホイールやカバー類に使われることの多い、マ[…]
走行回数の多さと模擬レースのセットでコストパフォーマンスの高さは折り紙付き 絶版車やクラシックマシンでサーキットを走行してみたいが、レースに参戦するほどではない。あるいはクラシックレースにエントリーし[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
前後バランス配分が崩れてしまったフロントまわりを構築 フロントフォークの動き云々もあるが、動き以前に長さが違って前後バランス配分が崩れてしまうと、まともに走れなくなってしまうのがバイクだと思う。とりわ[…]
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」、今回は大ヒット街道まっしぐら、女性人気も高いホンダ「レブル250(S[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかって[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
ネオクラシックながら”新しさ”で対抗 ヘリテージやネオクラシックと呼ばれるカテゴリーで、登場以来絶対的な人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズ。現代スポーツネイキッドをベースに、名車Z1を絶妙にアレ[…]
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
◆今回のPRO解説者:以前にはネオクラ車の解説記事もお願いしたバイクデザインのプロフェッショナル。1980年代前半に某社に入社したベテランで、オンロード系をメインに排気量の大小を問わずさまざまな機種を[…]
最新の投稿記事(全体)
2023年モデル概要:400クラス唯一のクルーザーとして登場 カワサキ「エリミネーター/SE」の初公開は、2023年3月17日に開催された大阪モーターサイクルショーでのこと。発売はその約1ヶ月後となる[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
※価格や発売時期は独自の情報に基づく本紙予想です。販売店へのお問い合わせはご遠慮ください。 ターゲットはZ900RS。プライスも真っ向勝負?! 5年前に「CB-Fコンセプト」を目にした時の歓喜は忘れら[…]
CB1300SF/SB“ファイナルエディション”としての存在感をもっと強く! 今回、CB1300SF/SBファイナルエディション向けにラインナップされたマフラー/ステップ/ドレスアップパーツなどには、[…]
シート&タンクが単色化。フレーム色も独自設定 発売は2024年7月25日。主要諸元に変更はなかったものの、カラーリングが変化。2023年モデルよりも、初期のモンキー125に近い、シンプルなカラーリング[…]
- 1
- 2