常温自然乾燥ではなく、加熱による強制乾燥で塗膜硬度を高めるペイントを「焼き付けペイント」と呼ぶ。ガンコートやパウダー塗装とは違う、風合いや強度をもつ新塗料が登場し人気を博している。焼き付けペイントの世界に新風を吹き込んでいるのが、カーベックが取り扱うアクリル樹脂塗料の「アレックスコート」だ。
●文/写真:モトメカニック編集部(田口勝己) ●外部リンク:カーベック
ホイール/エンジンカバー/金属部品への施工に特化。熱硬化性一液ペイントの決定版「アレックスコート」
ディープなサンデーメカニックの中には、DIYペイント作業にこだわり、焼き付け乾燥が可能な高温乾燥機を所有する者もいる。そんな“焼き付け塗装”を身近に楽しむためのペイントとしてお勧めしたいのが、カーベックから発売されたアレックスコート(Alex Kote)だ。
高機能ペイントで知られるガンコートや、強靭で厚い塗膜を誇るパウダーコートを取り扱うカーベックだが、その中間的な塗膜厚を持ち、使い勝手に優れたペイントが欲しいとのプロショップからの声に応えたのが、ズバリこの商品だ。発売に至るまでには当然ながらハードルも高かったが、数年に及ぶ開発期間を経て発売開始された商品でもある。
ガンコートペイントでは塗膜が薄く、パウダーコートでは厚く感じるようなとき、たとえばポリッシュ済みアルミホイールの一部分をペイントしたいようなときに、ガンコートでは塗膜が薄いため、何度も重ね塗りしなくてはいけないケースがある。
一方、パウダーコートだとマスキングが不向きで、作業性が今ひとつ良くない。そんな時に、特にアレックスコートがお勧めで、仕上がりが良いそうだ。
金属部品に対する密着性が高く、ペイント後の完全乾燥後なら、耐ガソリン性や溶剤性(パーツクリーナー等)にも対応。バイクの場合なら、フレームやスイングアームなどの大物部品はプロショップに任せ、小物部品はDIYで仕上げたい=“自分自身の手でペイントを楽しみたい!!”と考えるユーザーも数多くいる。そんな状況でお勧めできるペイントが、このアレックスコートなのだ。
今回は、エンジン分解のタイミングが一致した、スーパーカブ用の鉄シリンダーとクランクケースのアルミ製カバー類を、調色なし/専用シンナーによる希釈のみでペイントしてみることにした。果たして、どのような仕上がりになるのか!?
たいへんにワクワク感を楽しめる作業になりました。
薄すぎず、ボテっと厚くならない塗膜厚に注目! アルミホイールやエンジンカバーのペイントに最適
商品性を大きく左右するのがペイントの仕上がり。見た目にもピカピカと輝き、ツルッとした艶感を求められる部品はなおさらだが、そんな仕上がりも可能にしたのがアレックスコートのようだ。’80sカワサキのエンジンカバーは、まさにそんな仕上がりだった。
自家製DIYペイントを長年楽しんでいる筆者にとっても、アレックスコートは待望の登場。ペイント技術の難しさは理解しているが、特に外装ペイントやフレーム本体などは、ペイント技術だけではなく“インフラ”もしっかりしていないと満足な仕上がりは期待できない。
筆者自身の腕前とインフラ環境の現実は、自分自身が一番理解しているつもりなので、ガソリンタンクや外装パーツのペイントにはとても手を出す気になれず、その都度プロに依頼している。
しかしながら、自身の手でDIYペイントしたいことはよくある。たとえばブラケットやステーなどを自作した際には、状況によってはアルミ製部品でも防錆目的だけではなく、見た目のためにペイント仕上げにしたいことが多い。
つまり大物部品ではなく小物部品だ。具体例には、エンジンハンガーブラケットにカウリング用ステーを溶接したときなどは、間違いなくペイント仕上げにするだろう。缶スプレーでプシューっと済ませてしまうこともあるが、ここはしっかり塗っておきたいと思った際は、歩留まりが良く使いやすい1液の熱硬化性樹脂塗料があれば、タイムリーなペイント仕上げが可能になる。アルミ製のクランクケースカバーなどがそれだ。
今回、アレックスコートを利用して感じたことは、もう少しだけ大きな焼き付け用高温乾燥機、たとえばCVセニア!? 的なサイズがあると、ペイントを楽しめる幅がさらに広がるのではないかと感じられた。塗料そのものに対する不満やリクエストなどは一切なかった。ぼくレベルのDIYペインターなら、おそらく同じ考えですかね!?
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