
スピードメーターやタコメーターの“動きの良し悪し”を左右する部品のひとつに、メーターケーブルがある。モトメカニック編集部への修理依頼で長期入庫中のカワサキ バリオス。フロントホイールの装着されたメーターギヤ部分を見ると、ケーブルの取り出し方向がヘンだったので、向きを直そうとしてみた。本来はメーターギヤボックスにある凸形状突起がボトムケース側の定位置に引っかかる、もしくは収まるはずだが、その位置で固定できない。これではケーブルに負荷がかかり、メーター故障の原因になってしまう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:NTB 丸中洋行
ケーブルレイアウトが変な感じ!? だったら修正
このカワサキ バリオス、モトメカニック編集部ガレージにやって来るかなり前、メーターギヤが壊れて交換した際に、適合する純正部品ではなく、おそらく適合外モデルのギヤボックスを流用していたのだと思われる。当初はメーターギヤの固定突起位置がズレているのかと思ったが、凸凹を組み合わせるとケーブルの取り出し角度が真上に向かい、アンマッチになってしまった。
アクスルシャフトとナットを締め付ける際に“取り付け角度を合わせて締め付ければ問題ない”と言われればそれまでだが、ケーブルに強い屈曲ポイントがあると、実はメーター故障の原因になってしまう。
メーター故障の原因には、大きく2つの問題がある。そのひとつがメーターを固定するマウントラバーのヘタリだ。ゴムがヘタると走行振動を緩和できなくなってしまい、簡単に故障してしまうのだ。また、ケーブルの取り付け状況が良くないと、回転するケーブルから不規則な振動が伝わり、それがメーター故障の原因になってしまうこともある。要注意!!
メーカー純正部品と同等のクオリティを持つNTBブランドのメーターケーブル。バイクオーナーにとっては、欲しいときに即購入できる販売体制が何よりも嬉しい。量販店などでも在庫例がある部品のひとつ。
メインスタンドを装備しないバイクのメンテナンスは大変だ。だからこそメンテナンス不備になってしまう可能性もある。ダウンチューブで車体を持ち上げられるタイプのジャッキがあると作業性が良い。
ギヤボックスの凸ストッパーはすでに摩耗しているが、位置を合致させると、ケーブルは“あさっての方角(!?)”を向いてしまう。おそらく過去に他モデル用を取り付けたのだと思われる。
本来ならケーブルの取り出し向きに合致するように“回り止め”の凸部分がボトムケースに引っかかるのだが、凸の位置は一致しなかった。写真の位置だとメーターケーブルの取り回しが急すぎて、メーターに負荷をかけ破損させる原因となってしまう。
仕方ないので、メーターケーブルが自然な取り回しになるように、ちょうど良い位置にギアボックスを回転し、アクスル締め付け時にギヤボックスが供回りしないように固定した。アクスルシャフトを締め付け固定する際には、ケーブルの向きを合わせて固定し、ギヤボックスが回らないよう気遣う必要がある。旧車のメーターギヤはこのようにアクスルを締め付ける例が多い。
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