
ライディングの悩みは人それぞれ。だからアオキファクトリーコーチングにカリキュラムはない。サーキットを貸し切り、マンツーマンで青木宣篤さんが各自の悩みや不安を解消していくのだ。今回はテクニカルガレージRUNのユーザーである市原さんと亀井さんが参加。2人ともみるみると上達していくのが伝わってきた。
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:テクニカルガレージRUN
青木宣篤さん
世界GP、鈴鹿8耐、MotoGPと世界のトップカテゴリーのレースに長年参戦。2022年の8耐で現役を引退。これまでに培ってきた経験を多くのライダーに伝えるべく、今後はアオキファクトリーコーチング(以下AFC)を積極的に展開していく。
バイクと仲良くなるためのコーチングを実施
「市原さんや亀井さんのように社会的地位のある大人は、転んだらダメ。絶対にダメなんです。僕らプロライダーは怖くないと思っている方も多いのですが、そうじゃない。怖いと感じるのは一般の方と同じです。怖さや不安をひとつずつクリアして、それを積み重ねてきて今がある。でも人によって走りの課題や怖いと思うところは様々。だからアオキファクトリーコーチング(以下AFC)にプログラムはありません。参加された方に合わせたプログラムをその場で組んでいきます」と青木宣篤さん。
今野由寛選手もアドバイザーとして参加
基本は宣篤さんとマンツーマンの AFC だが、オプションで今野選手を呼ぶこともできる。市原さんと亀井さんの会ではレギュラーメンバーとのこと。
AFCは、宣篤さんによるマンツーマンのコーチング。今回は、千葉のバイクショップ、テクニカルガレージRUN(以下TG–RU )のユーザーである市原さんと亀井さんが参加。袖ヶ浦フォレストレースウェイを占有し、20分×5本の枠を走行する。ちなみに市原さんは3回目、亀井さんは2回目の参加だ。
「弊社のユーザーは、もう50名近くの方が参加しています。リピーターの方も多く、バイクに長く乗りたい、一生乗り続けたいというユーザーに参加してもらっています」とTG–RUN代表の杉本卓弥さん。
元世界GPライダーであり、2022年の鈴鹿8耐で現役引退を発表した宣篤さんのコーチングと聞くと、さぞかしレーシーな内容を想像するが、そんなことはない。AFCはオーダーメイドのコーチングだから、その人に今必要なことは何か? を見出し、まず直さないといけないことを優先してレクチャーが行われる。
朝一、軽くブリーフィングを行い、走行前にフォームチェック。「市原さんカッコいい! 亀井さん以前言ったこと忘れちゃってますね〜。厳しくいきますよ〜」と言いつつ、ピット内は笑いが絶えない。走行は、宣篤さんと今野選手が前と後ろから終始2人の走りをチェック。そこに杉本さんも加わって2人を見守る。
そして走行が終わると、宣篤さんと今野選手からアドバイスをもらえる。これを繰り返すのだ。少しずつペースを上げ、後半はインカムを繋いだり、走行動画を見ながらのコーチングが展開される。
TG-RUN代表の杉本さんもユーザーを全力サポート!
きちんと整備したバイクしか参加できないAFC 。杉本さんは整備やセットアップを担当しつつ、一緒に走ってユーザーをサポートする。興味のある方はTG-RUNに問い合わせを。メーカーを問わず、対応してくれる。
「亀井さん、ラクしちゃダメ。疲れるとタンクにお腹を預けがちになる。不安になるとバイクと身体の接点を増やしたくなるけれど、それは外足のホールドが足りないから。市原さんはカッコいい。カッコ大事です。ペースも速いですね」と宣篤さん。
「あのペースで走っているのにミラーの中で全部見ているのが凄い。何事もそうですがプロに教わるのが一番。ライダーとして様々な経験をしてきた宣篤さんに教わることができるのが凄いこと。コストがかかるのは当然です」と市原さん。
「プロが前を走ってくれるだけで安心。何度かに一回上手く曲がれるようになってきました。今日は、今までに使ったことのない筋肉を使った気がします(笑)」と亀井さん。
AFCはプロライダーとマンツーマン、さらにコース占有という贅沢なコーチング。きちんと理解して磨いた技術は、新しい自分に出会えるという悦びを約束し、それは公道からサーキットまで長くバイクを楽しむための財産になっていくのだ。
前後から走りをチェック!
AFCは、プロライダーが終日参加者の走りをチェック。なので『何がわからないかわからない』という方も参加できる。宣篤さんがアナタの苦手を探してくれる。
市原さん
初めてサーキットに行った際に『杉本さんのように走りたい』と思い、そこから3年で加速的にサーキット走行に没頭。「言われたことをやっているんです」と市原さんが言うと「普通、それがなかなかできないんですよ(笑)」と宣篤さん。この日は、スロットルを開けるタイミングをレクチャーしてもらい飛躍的にスキルアップ!
亀井さん
「最初は怖かったんです。でもAFCを受けた今は楽しくて仕方ない」という亀井さん。AFCはコースが貸し切りのため、周りを気にしなくて良いのも安心だという。コーチング中は何度もフォームを矯正。外足ホールドができてくるとフォームがどんどん変わってきた。
宣篤さんと今野選手が2人の走りをチェック
サーキットで反復練習しながらスキルアップ。速さよりも上手さを重視し、走行を重ねる度に2人の走りのリズムが良くなっていくのがわかる。
オンボード動画やコース図を見ながらアドバイス
ペースが上がってきたところで映像を見ながらライン取りなど様々なことを確認していく。ここで培った技術は、サーキットだけでなく一般道でも役立つものばかり。また後半はインカムであるB+COMを使用して走りながらアドバイスを行うことも。
アオキ ファクトリー コーチングって?
エントリーは、「アオキ ファクトリー コーチング」のWebサイト内の取次店から可能。TG-RUN からエントリーの場合は、事前のマシンと装備のチェックをかねて、ショップで杉本さんとの面談が必要。費用は内容やカリキュラムにより応相談。問い合わせはTG-RUNまで。TEL043-309-5189(担当:杉本)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
レプリカの一時代を築いたGSX-R 令和2年排出ガス規制≒ユーロ5に未対応のGSX-R1000Rが生産終了(国内および欧州モデル)。このニュースに衝撃を受けたライダーは少なくないだろう。モデルチェンジ[…]
大鶴義丹(おおつる・ぎたん)/1968年4月24日生まれ。俳優、作家、映画監督など幅広いジャンルで活躍。バイクは10代の頃からモトクロスに没頭。その後、ハヤブサやGSX-Rシリーズでカスタム&サーキッ[…]
俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.1 ホンダ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.2 ヤマハ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.[…]
大鶴義丹(おおつる・ぎたん)/1968年4月24日生まれ。俳優、作家、映画監督など幅広いジャンルで活躍。バイクは10代の頃からモトクロスに没頭。その後、ハヤブサやGSX-Rシリーズでカスタム&サーキッ[…]
新しいタイヤはナニがいい? 新車時に装着されているタイヤは、バイクメーカーとタイヤメーカーが共同で開発したり、バイクのキャラクターや性能に合ったタイヤを選定している。だからタイヤ交換の際に「間違いのな[…]
最新の関連記事(ミリオーレ)
孤高のパニガーレV4Sと友好的なパニガーレV2S パニガーレV4Sでサーキットを3本ほど走ると、強烈な疲労感が僕の身体を襲う。汗は止まらず、足腰に力が入らなくなる。試乗直後は格闘技を終えたような感じだ[…]
ファッションからスポーツまで。現代のバイクライフにフィット このバイクは只者じゃない−−。僕はマヨルカ島のリゾートホテルのエントランスに鎮座するトライアンフの「スピードツイン1200RS」に初対面した[…]
ライダーを様々な驚きで包み込む、パニガーレV4S 5速、270km/hからフルブレーキングしながら2速までシフトダウン。驚くほどの減速率でNEWパニガーレV4Sは、クリッピングポイントへと向かっていく[…]
駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間[…]
駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間[…]
最新の関連記事(青木宣篤[ヤングマシン])
バニャイアにとって「新しいモノはいいモノ」じゃなかった MotoGPマシンがあまりにも速くなりすぎたこともあって、再来年にはレギュレーションが大きく改定されることになった。 エンジンは850ccに、空[…]
KTMの進化ポイントを推測する 第17戦日本GPでマルク・マルケスがチャンピオンを獲得した。ウイニングランとセレブレーションは感動的で、場内放送で解説をしていたワタシも言葉が出なかった。何度もタイトル[…]
大自然の中で大型バイクにも試乗できる バイクの聖地阿蘇・産山村の大自然の中で、バイクイベント「UBUYAMA RIDE MEET」が開催される。 このイベントは、うぶやま未来ラボが主催し、『入場無料』[…]
エンジニアもバイクに乗る、それがボッシュの面白さ ボッシュが二輪車向けABSを世に出してから今年で30周年を迎えた。ボッシュといえばドイツのメーカーだが、バイク部門の開発拠点が日本の横浜にあることはご[…]
本物のMotoGPパーツに触れ、スペシャリストの話を聞く 「MOTUL日本GPテクニカルパドックトーク」と名付けられるこの企画は、青木宣篤さんがナビゲーターを務め、日本GP開催期間にパドック内で、Mo[…]
人気記事ランキング(全体)
経済性と耐久性に優れた素性はそのままに、ブレーキ性能を向上 ホンダはタイで、日本仕様のキャストホイール+ABSとは別ラインになっているスーパーカブ110(現地名:スーパーカブ)をマイナーチェンジ。新た[…]
※走行写真は欧州仕様 航続距離はなんと362km! ヤマハは、2025春に開催された大阪モーターサイクルショーにて「オフロードカスタマイズコンセプト」なる謎のコンセプトモデルをサプライズ展示。従来型の[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転可 バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原[…]
500km/hの速度の鉛玉も防ぐ! SHOEIがキャリーケース事業をスタートする。これまでに培ってきたヘルメット製造技術を活かした新規事業で、GFRPを用いた質感と堅牢性、強固なフレーム構造による防犯[…]
充実してきた普通二輪クラスの輸入モデル この記事で取り上げるのは、日本に本格上陸を果たす注目の輸入ネオクラシックモデルばかりだ。それが、中国のVツインクルーザー「ベンダ ナポレオンボブ250」、英国老[…]
最新の投稿記事(全体)
何でもありルールに世界のメーカーが飛びついた WRCグループBカテゴリーは1982〜86年まで続いたラリー競技。レース好きならご存じの通り、レギュレーションはほぼ「何でもあり」的なニュアンスでした。レ[…]
レーサーポジションでもツーリングするカルチャーを育んだGSX-R1100! 1985年、サーキット最速を目指した新世代の油冷エンジンに超軽量なアルミ製ダブルクレードルのスーパースポーツ・GSX-R75[…]
タフネスと優しさを両立した水冷エンジン「シェルパ450」 インド北部にそびえるヒマラヤ山脈は、ロイヤルエンフィールドにとって、ひいてはインド人にとって、いつでも憧れの旅路だ。そんな憧憬が表れているモデ[…]
16日間で211万着の「メディヒール」が物量攻勢で復活 ワークマンが展開するPBリカバリーウェア「MEDIHEAL(メディヒール)」シリーズが、いま爆発的なヒットを記録している。2026年、秋冬商戦に[…]
同時代の旗艦とは異なる改革の旗手としての資質 新技術はビッグバイクから。昨今の2輪業界ではそれが常識になっているけれど、’80年代は400ccが改革の旗手となるケースが珍しくなかった。CB[…]
- 1
- 2



























































