ビッグバイクに軽さとスポーツ性を融合!

さらばトップパフォーマー!【スズキGSX-Rを振り返る パート1】大排気量レプリカの先駆け!

2022年、スズキGSX-R1000Rが生産を終了した(国内および欧州モデル)。かつてアルミフレームや独自の油冷エンジンで大排気量レーサーレプリカを築き、新世紀の1000ccスーパースポーツ時代を果敢に戦ってきたGSX-Rが姿を消してしまうのか……。寂しいけれど、今だから知っておきたいGSX-Rの歴史を振り返ってみよう!


●文:伊藤康司 ●写真:長谷川徹、スズキ

レプリカの一時代を築いたGSX-R

令和2年排出ガス規制≒ユーロ5に未対応のGSX-R1000Rが生産終了(国内および欧州モデル)。このニュースに衝撃を受けたライダーは少なくないだろう。モデルチェンジによって「新型GSX-R1000」が登場する可能性はゼロではないが、MotoGPや世界耐久選手権からのファクトリー参戦撤退もあり、現時点では望みが薄いのが実情だ。

そこでGSX-R1000Rに哀悼の意を表すのは時期尚早かもしれないが、かつてビッグバイクの世界に「軽さ」と「スポーツ性」の新風を吹き込んだGSX-Rシリーズの足跡を追ってみよう。GSX-Rと共に青春を謳歌したライダー、レースで活躍するGSX-Rに憧れを抱いたライダーは数知れず。今回はGSX-Rの誕生から1999年までを振り返る。

※文中の最高出力は国内モデルを除き、基本的に欧州向けモデルの数値を表記するが、最高出力は仕向け地によって異なる。

すべてはGSX-R750から始まった

かつてのビッグバイク、中でも1970年代に世界を席巻した4気筒エンジンを抱く日本製の大型バイクは、豪快なパワーが大きな魅力。しかし、大きくて重い車体は威風堂々の走りを演出するものの、俊敏なスポーツ性とは距離があった。1980年代初頭のバイクブームや、それに続くレプリカブームも、軽量でレースライクなバイクはミドルクラスまでに限られていた。

その常識を一気に覆したのがスズキのGSX-R750。シャシーは世界耐久レースのワークスマシンGS1000Rの超軽量なアルミフレームを参考にした。そしてエンジンはスズキ独自の油冷方式を採用。当時はすでに出力的には絶対に有利な水冷エンジンが登場していた。

しかし重量やサイズにおいて水冷エンジンは途上であり、スズキの考える超軽量で高いスポーツ性を備えるビッグバイクには不向きと判断。とはいえ従来の空冷方式では、軽く作ることはできても100psオーバーやレース用のチューンナップには熱的に耐えられない。そこで幾多のトライ&エラーの末に生まれたのが、軽さと冷却性を両立したSACS(Suzuki Advanced Cooling System)エンジンだった。

1983年 GS1000R
GP500ワークスマシンRGΓのテクノロジーを投入したアルミ製のダブルクレードルフレームにヨシムラがチューンしたGS1000の4気筒DOHC2バルブエンジンを搭載した耐久レーサー。83年のシルバーストーン6時間、ハラマ6時間、鈴鹿8時間の3戦で優勝し、スズキに初の世界耐久のタイトルをもたらした。

油冷エンジン
冷却用のオイルポンプで圧送したエンジンオイルを、シリンダーヘッドから燃焼室の上面に向けて噴射ノズルから大量に吹き付けることで熱境界層を破ってエンジンを効率的に冷却するSACS(スズキ・アドバンスド・クーリング・システム)を持つ油冷エンジン。前世代のGSX750Eの空冷エンジンより単体重量で7.7kgも軽量で、サイズもコンパクト。

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