MOTO HIMALAYA 2022に参加! 様々なインド事情に困惑……

【いざ、インドへ! 標高5000 mを走破する旅に参加】バイクでヒマラヤを登る!Vol.1「モト・ヒマラヤ2022 Day1〜4」

2022年の頭に、先のことを考えずに会社員を辞めた……。多くの方々に迷惑をかけてしまったけれど、人生の転機だと思うことにして、色々なことに挑戦しようと思った。そのひとつが、ロイヤルエンフィールドでヒマラヤを走るツアー『MOTO HIMALAYA 2022』に参加することだ。というわけで2年半ぶりの海外はインド! ただし、バイクに試乗する前から波乱の連続……。このツアー、一筋縄ではいかなさそうだ。


●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:河野正士、長谷川徹、小川勤 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド東京ショールーム

最新技術で昔ながらのバイクらしさを追求するロイヤルエンフィールド

僕は最新バイクでサーキットを攻めるもの大好きだし、ツーリングも好き。最近はオフロードも経験している。色々なバイクに乗るたびに「やっぱりバイクはいい」「バイクを通じて出会う人々は本当にいい」と思うのだ。この楽しさを伝えていくために何ができるのか……そう考え、今は「MIGLIORE」でひたすら記事を書いている。

最近は世界の何もかもがデジタル化されつつあるが、それはバイクにもいえること。最新バイクは電子制御のおかげで昔では考えられなかった走りが可能となり、それは本当に素晴らしい。その一方で、最新技術を使って昔ながらのバイクらしさを追求するメーカーがひとつだけある。それがロイヤルエンフィールドだ。

ラインナップするエンジンは空冷のみ。そしてその完成度はとても高く、走り出すと温もりを感じさせてくれる。バイクの性能が人の感性を超えていない官能的な部分があり、現在ラインナップされるバイクはどれも本当に素晴らしい。国産メーカーはこのカテゴリーをエントリーモデルとして安くしか作れないが、ロイヤルエンフィールドのつくり込みは真剣だ。多くのバイクが失ってしまった鼓動や脈動を持ち、それは実に昔ながらのバイクらしさに溢れている。

数年前からロイヤルエンフィールドには大注目していたのだが、ミリオーレ営業の村田が今年はじめにヒマラヤを購入。Web MIGLIOREで連載を開始し、彼女のインスタグラム『with_himalayan Insta』の文末には、いつか夢を叶えるために「I want to go to the Himalayas someday with Himalayan!」の1文が決まり文句。

僕らは『ヒマラヤでヒマラヤに行く! 』を夢見つつ、ロイヤルエンフィールド本国のYouTube「Moto HYMALAYAN」の動画を見ながら、日本ではまだまだマイナーなヒマラヤの世界観に魅了されていった。

その後、ロイヤルエンフィールドのディストリビューターであるPCIの面々に「ヒマラヤでヒマラヤに行きたいです」と打診。結果、今回のツアーが実現し、日本人はジャーナリストと一般参加者を合わせて計14人の大所帯となったというわけ。

Moto Himalaya(モト・ヒマラヤ)2022は、標高5000m超えの山々を走るツアー。レーという標高3500mの街を起点に大自然を6日間で巡る。以前はビュレットなどが使われていたが、近年使われるのはもちろんヒマラヤだ。今回のツアーは、すべて新色のバイクが導入された。

ロイヤルエンフィールドのヒマラヤ。2022年モデルよりユーロ5規制に対応。エンジンは低速から扱いやすくなり、シートも上質になった。写真は営業村田のヒマラヤ。ハンドルガードやパニアケースはオプション。

エンジンはロングストロークの411cc。フロントは本格的な21インチ。乗ると大きなセローといった雰囲気で、とてもフレンドリー。気軽に乗れるコンパクトアドベンチャーだ。

インドに行く準備が大変。そして入国に2時間……その後も波乱の展開

いざ、「行きたい!」と言ってみたものの、インドに行く準備は意外と大変だった。ビザの取得は当然だが、A型肝炎、破傷風、腸チフスの予防注射(必須ではない)も打ち、その際に訪れた病院で高山病の薬も処方してもらった。そして出国72時間前のコロナウイルス陰性証明書など、時間的にも金銭的にも準備が大変だった。

ツアー参加にあたって、本国側からは体力を作ってからくるようにと言われていた。50回の腕立て後、5km走るメニューを30分以内でこなせればベスト、とのこと。このノルマは最初の1回でクリアできたのだが、気が向いた時に走るようにして、約3カ月でこのくらいの距離を走ってみた。後半は身体が筋肉の使い方を思い出している感覚になり楽しみながら走れた。

出発当日は羽田空港からフライト。免税エリアもまだまだ空きが多く、インバウンドは戻っていないことを痛感。台風の影響で通常より1時間ほど早い8時間ほどでデリーに到着した。到着した瞬間に思ったのは「日本の方が暑い」だった。

そして入国ラインに並びひたすら待つ。特に何かを聞かれるわけではないが、ビザ、コロナウイルスの陰性証明書などを見せ、両手の指紋をスキャンして無事入国。しかし、ここまでに2時間経過。

無事入国し、タクシーで空港近くのホテルに向かうが、驚いたのはクラクションの途切れる時間が1秒たりともないことと、走っている車のほとんどがスズキであることだ。クラクションは、まるでそれで何か会話をしているかのように常に鳴り響いている(後日、僕自身もクラクションを鳴らしまくるようになるのだが……)。

インド2日目となる翌朝、7時のフライトでレーという標高3500mの街に向かうため5時に出発。朝5時なのにクラクションが鳴り響く……。空港に入るのに、パスポートとエアチケットの確認が必要なため長蛇の列。

そして、チェックインカウンターでもハプニングがあり、なんと2名がダブルブッキングで飛行機に乗れないというのだ。空港職員の言い分としては、前日までにwebチェックインをしていない方が悪い的な感じで、とにかく話が進まず、時間だけが過ぎていった。

手荷物チェックも厳重。電子機器をとても細かく見られる。周りには銃を持った兵士が多数いるので緊張感も高い。様々なトラブルによりボーディングタイムからかなり遅れて搭乗……。しかし、レーに到着すると荷物が1つ来ない……。

とにかく次から次へと問題勃発。

結局、残りの2名は翌朝の便に。届かなかった荷物も試行錯誤の後、その2人に持ってきてもらえることになった。

レーの空港に到着した直後の写真。空港を降りた瞬間、3000m超えという違和感が身体を緊張させる。レーの街で見かけるバイクの8割がヒマラヤ。レンタルバイクも大半がヒマラヤで、観光客も多い。

食事は、朝から夜まで大半がカレー、もしくはカレー味。ホテルのスタッフに「この料理はスパイシー?」と常に確認していたからだろうか、料理は日々辛さが和らいでいき、日本人好みにアジャストしていってくれた。ありがたい。緑色の粒状の食べ物はデザートでミント味。料理は日本の出汁や味噌のような感覚でスパイスが使われていて、様々なカレーを食した。

標高3500mに街並みがあり、人々が暮らす

ホテル到着後すぐに記念撮影。明らかに空気が薄い感じがして、ゆっくりしか動けない。

レーに到着すると猛烈な紫外線が肌と頭皮を焼く。それは目を開けていられないほどで、すぐにサングラスを装着。急激に動くと気持ち立ちくらみする感じ。小走りすると息も切れやすい。富士山にすら登ったことのない僕にとって高地は初めての経験。すでに高山病の気配がする。こ、怖い。

急なアクションは危険だということを、身体が直感的に感じている。ホテルに到着して昼食を済ませ、しばらくするとコメカミを押されているような頭痛がしてきた。高山病対策は、水分をマメに摂取することと身体を休めること。まずはホテルで48時間休息を取り、身体を高地に慣らしていく。

ロイヤルエンフィールドのスタッフからは「ゆっくり動け、階段を使うな、喫煙やアルコールはやめておいた方がいい」とアドバイスをもらう。

ちなみに食事の際に辛いものを食べ、全身から汗が噴き出すと、その瞬間血管が広がり、脳に酸素が届く感覚があり、頭痛が軽減したような気がした。しかし、こんな状況でバイクに乗れるんだろうか? 周りには僕よりも症状がひどい日本人メンバーもたくさんいる。

頭痛や嘔吐、お腹を下している方も多数。なんとなく怠く動きたくないような感じの症状の方も多かった。薬や日本から持ってきた食料を分けあったり、それぞれが仲間のケアをするチームワークが大切な旅になりそうだ。

レーではヒマラヤがもっともメジャーなバイク

夕方になり少し体調が戻ってきたので、レーの街を散策。すると、見かけるバイクのほとんどがロイヤルエンフィールドのヒマラヤだということに驚く。物凄い台数のヒマラヤがクラクションを鳴らしながら縦横無尽に走り回る。1日に100台以上のヒマラヤを見る日がくるなんて……。インドのライダーにとってヒマラヤはステータスで、他のバイクではこの山を楽に登れないのだという。

所々で犬が昼寝をし、牛が練り歩く。車やバイクの動きをまったくみていない人も多く3500mの高地でもクラクションが鳴り響く。ちなみにブラインドカーブの手前では常にクラクションを鳴らしている感じだ。

高地のお約束ではあるがポテトチップはパンパン。パンパンだと少量しか置けないからか、パッケージに穴を開けているシーンも……。

インド3日目の朝、体調はほぼ戻っていたので、元気なメンバーで散策の範囲を広げ、近くでいちばん高く見える寺院を目指してみる。3500mから少しずつ登るだけでもかなりキツイ。身体が重く、息が切れる。

でも少し休んで体内の酸素濃度が戻ってくるとまた動けるようになるイメージだ。寺院に到着し、iphoneのGPSを見ると標高は3680m。

眺めると富士山の山頂と変わらないような場所にこれほどの大きな街があり、人々が暮らしていることがとても不思議になる。下る際は酸素が濃くなっていく実感があり、とても楽だった。

夜になってもバイクや車のクラクションは容赦なく鳴り、夜行性なのか犬は吠え続け、さらに犬同士の激しい喧嘩が絶えない。どうやら窓を閉めないと寝れそうにない。

翌朝、みんなと合流すると、高地2日目から高山病の症状が悪化する方も多く、こればかりは本当に読めない。

インド3日目、レー2日目は体調がかなり戻ったので、元気なメンバーと街を散策。歩いていると上の方に寺院のようなものが見えたので目指してみる。

街中には牛と犬がとにかくたくさんいる。朝は犬の吠える声で起きることになる。

寺院を目指すため、路地に入っていく。1本路地に入ると1人で歩くには少し怖い雰囲気。

この斜面を登らないと寺院には行けない。右は途中まで登ったところ。かなりしんどく、頂上まで行くか悩み中。

休憩しながら頂上まで行く。3500mの場所にこんなに大きな街があることに感動する。

インド3日目の夕方にツアーに参加するメンバーが勢揃いしてミーティングが行われた。高地はとにかく乾燥しているため、口の中はもちろん鼻の奥などがとても乾燥する。リップクリームは必須。ツーリング時用の水分補給にステンレスボトルが支給された。毎朝、このステンレスボトルに水を入れて持っていく。

モトヒマラヤ2022の取りまとめるアルジェイさん(39歳)からバイクやヘルメットに貼るステッカーとTシャツなどを受け取る。そして同行してくれるドクターに血中酸素濃度と血圧を測定してもらう。速攻で「ベーリーグッド」の一言をいただいた。

縦横無尽に走り回るインドの交通事情に混乱

インド4日目。日々身体は楽になっていく印象。ようやくバイクに乗る日がやってきた。ホテルの駐車場にはヒマラヤがズラリと並ぶ。この日は約70kmを走りインドの交通事情に慣れることが目的。

出発前に「ホーンは相手への敬意。追い越し時は必ず鳴らすこと。車やバイクをまったく見ていない人も多いから、積極的に使うように」との説明がある。

20台以上のヒマラヤが一斉に走り出す。ちなみにこのツアーは1000kmほど走るのだが、信号は一箇所もなかった。

空気が薄い(酸素量が少ないため)ため、スロットルはいつもより大きく開けていく。回転も思いっきり引っ張る。しっかり開けるとヒマラヤは力強く加速していく。遅い車やバイクはバンバン右から抜いていくのインドのルール。聞くところによると免許を持っていない人も多いらしく、決してマナーはよくない。

そして道中は、ものすごい数のバイク(ほとんどがロイヤルエンフィールド)と遭遇する。なんて世界だろう。すれ違うライダーは手を降ったり、ピースをしてくるため、それに応える。

目指すのはIndas & Zanskar River Sangan(インダス川とザンカール川の合流地点)。道中は不思議なほど赤い山や緑の山、その間にある砂漠のような場所。人の手が到底入りようがない自然の数々に圧倒される。右にも左にも見たことがない世界が広がる。リアルナショナルジオグラフィックだ。現地に到着しても圧倒的な水量(水は綺麗ではないが……)に驚く。

3500mの素晴らしい景観の中をこれほど自由に走り回ることができるなんて……と感動していると。ロイヤルエンフィールドのスタッフの方からは「今日はインドの交通事情とホーンの使い方に慣れてもらっただけだからね。本番は明日から」と……。

5日目からは、いよいよ標高5000m超えを目指す旅が始まる。どんな世界が待っているのだろう。

【標高5000mの山々を何度も越え、何本もの川を渡り、宿泊は標高4350m】バイクでヒマラヤに登る!Vol.2「DAY5〜7」に続く。

営業・村田のレポートはこちら

見たことがないような景色の中をひたすら走る。走っている時も深呼吸を忘れずに、積極的に酸素を身体に取り入れる。

いつまでも眺めていたくなる風景の連続に感動する。空は抜群に美しいが、水はあまり綺麗ではない。


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