丁寧に熱を入れると、本来の性能を発揮しやすいことを知っておこう!
ある程度キャラクターを掴めた3本目は、最初からアベレージを上げてみた。レースモードでも電子制御の介入が自然なのは、やっぱりタイヤがきちんとグリップしている証拠。クワトロ・コルサは大半のスーパーコルサSP〜ディアブロロッソIIまでのユーザーをカバーしていると言えるだろう。
ドゥカティは他のメーカーと比較すると指定空気圧は低め。試しに前後2.5キロでも公道や高速道路を走行してみたが、しなやかな乗り心地は健在だった。
どんどんペースを上げていくと、低いギヤにもなっていくが、そこでもダイナミックな加速を披露。ストレートではハイグリップタイヤ特有のラインを描きながら立ち上がっていく。
面白いようにペースが上がっていくが、少しリヤからの挙動が大きくなってきたのでピットイン。
再び空気圧をチェックしにいくとタイヤサービスの岡谷さんから「ちょっと急激にペース上げすぎですね。リヤタイヤ、75度超えてますよ。ピレリのコルサ系は少しずつ熱を入れていった方が性能を発揮できるんです。タイヤウォーマーで温めるのがベストですが、そうもいかないので丁寧に熱を入れることを意識して走るといいかもしれませんね」とアドバイスをいただいた。
なるほど……と反省。
ちなみに岡谷さんは、現在WSSで活躍する岡谷雄太選手の父上。岡谷選手はずっとピレリを使っていることもあり、岡谷さんは「どうするとピレリタイヤの性能を100%フルに発揮できるかを常に考えていますね」と語る。
その岡谷さんの経験値によって導き出されたアドバイスはとても的確なので、色々と相談すると走りの幅が確実に広がるはず。岡谷さんは様々なイベントでピレリのタイヤサービスを担当しているので、ぜひ気軽に話しかけてみていただきたい。
フロントのカーカスは、ピレリ伝統の0°スチールベルトに加えて、その下層にレーヨンコードを配置。そのレーヨンコードの配置を左の標準的なタイヤと比較すると、右のクワトロ・コルサ(クワトロも同様)はコード間を広くし、柔軟さを追求。これがタイヤにとってもっとも大切な優れた減衰特性を生み出す。レーヨンコードは、従来よりも強化され、コード間の密度を20%も低くしている。
リヤのカーカスには、レース用のディアブロ・スーパーバイクが採用する、自然由来の高剛性素材であるリヨセルを全サイズに採用する。フロントのレーヨンは石油由来の化学製品だが、リヨセルはユーカリの木のパルプが原材料。リヨセルは薄くて軽くてしなやかな素材。また、熱の影響を受けにくいレーヨンと同等の性質を持つ。ネックはコスト高で、ごく一部の市販タイヤにのみ使用されている。
乗り味が、新しくて楽しい。それが「悪魔のようなグリップ」の正体⁉︎
実は今回試乗でいちばん感じたかったのは、クワトロ・コルサのリリース内にあった「INFERNAL GRIP」だ。これは日本語にすると「悪魔のようなグリップ」という意味。
試乗して、高いグリップにはもちろん感心させられたが、それ以上に『さすがピレリ!』と痛感したのは、乗り味がとても新鮮に感じられたことだ。確かにスーパーコルサSPの方が限界グリップは若干高いかもしれないが、乗り味が新しいのは断然クワトロ・コルサ。このタイヤは確実にスポーツライディングの楽しさを大きくしてくれる。
走り出しは馴染みやすい安定感と乗り心地の良さがあり、それも相まってペースを上げやすい。そしてペースを上げると、ハイグリップタイヤに負けないパフォーマンスを披露。僕がこれまで経験した限り、ここまでのしなやかさとグリップを両立していたタイヤはなかった。この相反する2つの特性を見事に調和させて生まれたのが『悪魔のようなグリップ』なのかもしれないと思った。
この『悪魔のようなグリップ』を多くのスポーツライディングファンに体感してほしい!
ロッソ・クワトロのさらに詳しい情報は、ピレリファンサイトでもチェックできるので見てみよう!
スーパーコルサSPと比較すると、ウエットに強く、ライフも長いことがわかる。ツーリング先の雨や、寒い季節の安心感も大きく変わるはず。
●フロント
110/70ZR17 M/C 54WTL・23年以降
120/70ZR17 M/C(58W)TL・22年夏
●リヤ
150/60ZR17 M/C 66WTL・23年以降
180/55ZR17 M/C(73W)TL・22年夏
180/60ZR17 M/C(75W)TL・22年秋以降
190/50ZR17 M/C(73W)TL・22年秋以降
190/55ZR17 M/C(75W)TL・22年夏
200/55ZR17 M/C(78W)TL・22年秋以降
200/60ZR17 M/C(80W)TL・22年秋以降
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