
現在の国産車では、いつしか主流となり当たり前になったメカニズムは数多い。だが、そのいずれにも「初めて」がある。戦後から目覚ましい成長を遂げて世界に羽ばたいた日本の2輪メーカーは、海外の技術から倣いつつ、独自に技術を進化させていったことを忘れちゃいけない。ここでは、そうした苦心の中から生まれ、今や当たり前となった機構の初採用モデルを紹介。まずは、エンジン関係にまつわる「お初モデル」から。なお、当記事で扱うのは公道用の量産市販車で、レーシングマシンはまた別の機会に──。
●記事提供:モーサイ
並列4気筒エンジン:ホンダ ドリームCB750Four(1969年)
イタリアのOPRAというメーカーの空冷OHCが並列フォアの始まり。この技術の権利を同じイタリアのジレラが購入して、空冷&水冷DOHCフォアのマシンが1930年代にGPや絶対速度記録に挑戦。1965年以降ではイタリア・MVアグスタでMV600や750Sが生産されたが、これらは受注生産車の扱いだった。国産車ではもちろん1969年発売のCB750Four(K0)が初。登場から間もなく世界市場を席捲してバイクの王者になった。
ドリームCB750Four
威風堂々としたCB750Fourの並列4気筒OHCエンジン
■ホンダ ドリームCB750Four主要諸元
エンジン:空冷4サイクル並列4気筒OHC2バルブ ボア・ストローク61.0×63.0mm 総排気量736cc
性能:最高出力67ps/8000rpm 最大トルク6.1kgm/7000rpm
変速機:5段リターン
車重:235kg
発売当時価格:38万5000円
DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カム)エンジン:ホンダ ドリームCB450(1965年)
世界初のDOHCエンジンはフランスのプジョー製ワークスマシンで、1913年にカムギヤトレインの500cc並列ツインで15psを発揮した。国産では1957年の浅間レース500ccクラスで1-2位になったメグロの単気筒ワークスレーサー・RZのカムチェーン駆動DOHCが最初。
1959年に世界GPに参戦したホンダのRC系ワークスレーサーより技術的には先行していたことになるが、量産車では1965年のドリームCB450が最初だった。その高性能ぶりに、当時のイギリスではプロダクションレースのホモロゲマシンに関し、DOHC車出場禁止の規則ができたほどだった。
ドリームCB450
1965年の第12回東京モーターショーに出展されたドリームCB450 。「オートバイの王様」「初めての方にはおすすめできません」と、その高性能を誇示している
■ホンダ ドリームCB450主要諸元
エンジン:空冷4サイクル並列2気筒DOHC2バルブ ボア・ストローク70.0×57.8mm 総排気量444cc
性能:最高出力43ps/8500rpm 最大トルク3.82kgm/7250rpm
変速機:4段リターン
車重:187kg
発売当時価格:26万8000円
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