![極寒ツーリング|使い捨てカイロの貼り方](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
極寒のツーリングシーンにおける防寒法は、古今東西さまざまな工夫/画期的なアイテムや使用法が試され進化を遂げてきた。その中で生まれた最強の防寒が、”熱源を身につけ暖をとる”方法だ。今回は日本の大発明品のひとつである「使い捨てカイロ」に注目。極寒シーズンでのツーリングにおける有用性を、1年を通して長丁場で林道ツーリングを敢行するオフロードマシン総合誌『ゴーライド』編集部が紹介しよう。
●文/写真:ゴーライド編集部(小泉裕子)
最強の防寒とは:熱源を身につける+保温する防寒法
ピンと張りつめた独特の清廉な空気に霞みなく澄んだ視界など、1年を通してもっともクリアな景色を楽しませてくれる冬のツーリング。あえて極寒の中を走る気持ち良さは、夏とはまた違った格別な時間をライダーに与えてくれる。
だが、それに比例するように、耐えがたき寒さの洗礼もまた大きく受ける。
もちろんその寒さを防ぐべく、防寒技術も進化を遂げてきた。発汗発熱作用/光電子やアルミ蒸着シート/ダウン/ダウンに換わる新素材など、さまざまな素材の開発や進化。そしてベース/ミドル/アウターというレイヤリング概念の提唱などは、いわゆる“身体の温度を下げないようにする防寒”だ。だがこれは寒さを防いでいるだけで、外気温や走行時に当たる風に応じて身体の熱は緩やかに奪われていく。
ここで重要になるのが、“熱源を身につける防寒”だ。江戸時代まで人々は石を暖めて懐に入れた“温石(おんじゃく)”で暖を取った。明治時代には炭粉などを容器の中で燃やす灰式カイロが生まれ、大正末期にはプラチナ触媒作用を利用しベンジンを気化させて燃やす、今も人気の「ハクキンカイロ」が登場。そして1975年にはついに世界初の「使い捨てカイロ」が日本で生まれた。
この“身体の温度を下げないようにする防寒”+“熱源を身につける防寒”が、現在のライダーの快適で安全な極寒ツーリングを大きく支えている。
近年台頭している電熱ウエア&グッズもそう。マシンから直接電力を取る電熱ウエアを初体験した時はド肝を抜かれたが、今では軽量モバイルバッテリーにつなぐだけでしっかり暖めてくれるものなど、数多くの製品が次々と登場しているのだから、防寒はやはりいつの時代でも重要な課題なのだろう。
熱源を身につける防寒の種類
電熱ウエア&グッズ
〈メリット〉素早く身体を暖めることができる/重ね着することなく防寒できる/温度を段階的に調整可能
〈デメリット〉バッテリーが切れると使用不可/配線またはバッテリーがジャマ
使い捨てカイロ
〈メリット〉お手軽に身体を暖めることができる/かさばらない、つけていて気にならない/半日(約12時間)ほど温度が持続する
〈デメリット〉一度貼ると温度調整ができない/頻繁に使い過ぎると逆にコストがかかる
ハクキンカイロ
〈メリット〉マイナス40℃まで使用可能/24時間温度が持続する/発熱量がケタ違い
〈デメリット〉使用にひと手間+点火が必要/独特のニオイがある
林道ツーリングなどイレギュラーが発生しやすい状況下に合う使い捨てカイロ
“熱源を身につける防寒”で、林道ツーリングにおいて一番ラクで適した方法は何か…と考えてみたところ、使い捨てカイロが使い勝手や安全/安定性において優れているのではないかと思い至った。
林道ツーリングでは、林道に入るまでは高速道路や舗装路などオンロード走行とほぼ変わらないが、林道に入ってしまうと、ダートの路面状況によっては転倒のリスクもあり、マシントラブル時などに容易に周囲に助けを求められないことのほうが多い。
マシンから直接電源を取る電熱ウエアの場合、スタンディングとシッティングを繰り返すオフ走行ではジャマのひと言に尽きる。また、モバイルバッテリーを内蔵させるとゴワついたり、転倒時に身体に刺さって危険でもある。さらにトラブル時にすぐ助けを呼べるとは限らず、バッテリー容量が弱点に。時間を気にしなくていいという点ではハクキンカイロもいいが、手間とまんべんなく身体を温められないという点でイマイチ。
貼ってしまうと温度調整ができない使い捨てカイロではあるが、ライディングに一切影響しない/必要十分な持続時間/熱ければ剥がして別部位でキープできる/予備を気軽に携帯できるという点で、安心して林道走行を楽しめるのだ。
というわけで、これまでお医者さんや整体師さんに教わった、使い捨てカイロで生物的に暖まる方法をご紹介しよう。これらを参考に、自分だけの最強防寒スタイルを作ってみて!! 実際に筆者も、この熱源方法+レイヤリング保温で、毎年真冬の林道内撮影(外気温0〜6度/高速&ダート走行往復でトータル16時間ほど)では使い捨てカイロの恩恵を受けまくっているのだが、家に着くまで感動的にポカポカだ。
血液を効果的に暖めよう:血液は時速200km/h以上で身体中を巡る
血液が心臓を出発して、毛細血管を含む身体中の血管を巡り再び戻ってくるまで約15〜30秒。つまり、血を温めると即暖効果抜群なのだ♪
カイロ貼りの注意点:低温ヤケドに気をつけよう!
- カイロは直接肌に当てちゃダメ!
- カイロの当たる場所は圧迫しない
- 暖かいより熱いと感じたらはがす
前面:お腹
おへそから指2〜3本くらい下あたりにペタ。身体が冷えるとココで血流が滞りやすくなる。温めることで腹部大動脈の血流も良くなり、身体全体に温かい血液をスムーズに送り出せる。
前面:胸
単純に走行時一番風が当たり冷える場所なので、貼ることで物理的にも暖まる。実際ココが冷えると、底冷えに似た寒気を全身に感じる。ただ暖めすぎると逆に身体の負担になるので、少しでも暑いと感じたら他に移そう。
背面:首から肩甲骨の間
首から肩甲骨の間にかけてペタ。首まわりにある太い血管と首から肩/背中にかけて広がる僧帽筋を同時に暖められる。血流も良くなるので疲労軽減効果も大。
背面:腰
両手を背中に回し、伸びる時に押さえる腰骨の上あたりにペタリ。外腹斜筋から脊柱起立筋周辺が暖まり、身体ポカポカ&背中と腰の疲れにも効く。雪山テント泊で使えるレベルの効果。
下半身:太ももor内もも
太ももには血流豊富な筋肉が多いので、太ももに貼ることで血行が促進し、全身の血行がよくなる。またさらに寒い時には、太い血管のある内もも(ももの内側)に貼ると血液が暖まりポカポカに。
長距離走行時はヒザ貼りも効果大!!
長距離走行時にはヒザにペタリ。物理的に走行風を防いでくれる&同じ体勢で畳まれたまま冷え切ったヒザが暖められることで、ヒザが固まって痛くなる状態を緩和してくれる。
真なる極寒時のプラス暖
真なる極寒時に限りワキの下
太い血管があり暖めやすいワキの下には、本当に極寒時のみペタリ(ワキは本来、身体から熱を逃がす場所なので、熱がこもりやすい。暖めすぎると気分が悪くなる場合もあるので、注意)。
それでも寒い時には、走行時にワキをキュッと締めればポカポカ(ワキは本来、身体から熱を逃がす場所なので、熱がこもりやすい。暖めすぎると気分が悪くなる場合もあるので、注意)。
同じくカカト上の足首
太い血管のある足首のくびれにペタリ。足がどうしても寒い時オススメ。この場に貼っても、ブーツがきつくなる等の足のサイズ感にはあまり変化がないので、オフロードブーツでもOK。
※本記事は2022年1月10日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
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