【2ストは特に注意】エンジンを壊してしまう!? エアクリーナーエレメントがコチラです

拝啓。古いバイク、それも2サイクルバイクに乗っている読者諸兄へ。ぜひとも貴殿の愛車のエアクリーナーエレメントにご注意ください・・・という話でピンと来る方には無用な話かもしれませんが、もし「なんのこと?」と思った方は、今すぐチェックすることを強くおすすめします。いやマジで、ヤバいんですって!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
エアクリーナーエレメントがエンジンをぶっ壊す可能性
これはつい先日、筆者が実際に体験したノンフィクションです。
これはスズキRG400ガンマ。1985年製、すっかりレトロになってしまった2ストロークマシンです。そしてこれがエアクリーナーエレメント。
スポンジ部分に傷がついてるけどパッと見は普通に見えますよね?
しかし、指を当てて押し込むと・・・
「お前はもう◯んでいる(ケンシロウ風)」
すぼっ。ほとんど抵抗もなく、反発もなく、指がそのままめり込みました。
低反発じゃない。スポンジの柔軟性がゼロでボソボソ状態。指で摘まめばご覧の通り!
何がどうしてこなってしまったのでしょうか・・・??
エアクリーナーエレメントについて:乾式と湿式の違い
4サイクルエンジンしか触れたことがない方には、馴染みがないかもしれませんが、これは「湿式エアクリーナーエレメント」です。
エアクリーナーエレメントには、乾式と湿式の2種類があります。乾式は紙や不織布のフィルターが使われていて、基本的に使い捨てて交換が基本です。一方、湿式はフィルターに少量のオイルを含ませて使うもので、汚れても洗浄が可能で、何度も使えるフィルターなのです。
染み込ませているオイルの効果で、より多くのホコリを捕集できる上に、空気抵抗が少ないのが特徴です。2サイクルエンジンでは、同じ回転数でも爆発の回数が4サイクルの倍になるため、より多くの空気を吸い込む必要があります。このため、空気抵抗が少ない湿式エアクリーナーが選ばれることが多かったのです。
劣化した湿式エアクリーナーエレメントは危険
しかし、この湿式エアクリーナーエレメントには、注意が必要だったりします。洗って再利用できるというメリットがある一方で、経年劣化によって柔軟性を失い、ある時期を境に、いきなりポロポロと崩れはじめるのですよ。
先ほどのRG400ガンマのエアクリーナーエレメントも、まさにこの経年劣化の典型的な例です。
もし、このエアクリーナーを取り付けたままでエンジンをかけていたら・・・エアクリーナーの破片がエンジン内に吸い込まれ、最悪の場合、エンジンが破損する危険性があります。
埃を取るはずのエアクリーナーが埃を大量生産地になるなんて洒落にならない。想像するだけでも恐ろしいですよね。
といっても、これは昭和生まれのライダーにとってはメジャーなトラブルで、灯油でフィルターを洗いながら「あっ、そろそろ交換時期かな」とか判断していたものでした。
注意! 2サイクルマシンは要チェック
現在は2サイクルも希少なバイクとなり、同時に湿式エアエレメントもその数が減ってきているので、オークションなどで、古い2ストバイクを買った新米ライダーが、エンジンをかけた瞬間にとんでもない事態を引き起こしてしまう可能性があるのです。
これも実際にあったことなのですが、友人の古い2サイクルマシンの調子が悪いからというので、エアクリーナーボックスを開けてみたところ、エアクリーナーエレメントがほんのちょっとの破片だけ残して、9割以上がエンジンに吸い込まれた後だったという例もあります・・・!
この記事を読んでいる2サイクル好きのみなさん、もしエアクリーナーエレメントを長い間交換していないのなら、今すぐ愛車をチェックすることを強くおすすめします。エアクリーナーエレメントのトラブルが少しでも減ることを祈っております~!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「[…]
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。 そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替[…]
新品タイヤが滑るその理由 新しいタイヤは滑ります。 滑りたくないから新しいタイヤに交換したというのに、なぜか新しいタイヤはマジで滑るんです(経験者は語る)。 なぜ滑るかというと、それはタイヤの製造過程[…]
場所によっては恒例行事なバイクの冬眠(長期保管) 「バイクの冬眠」…雪が多い地域の皆様にとっては、冬から春にかけて毎年恒例の行事かもしれませんね。また、雪国じゃなかったとしても、諸事情により長期間バイ[…]
燃料コックにも涙? それはある日の出来事。バイクで走り出そうとガソリンタンクの燃料コックをオンにした時、指先に冷たいものを感じました。 何があるのかと覗き込んでみると・・・燃料コックが泣いているぅ~![…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむホンダのモンキー&ゴリラ シフトアップ製88ccキットを組み込み、ノーマルキャブのままでセッティング変更せずに普通に走ることができた、6ボルト仕様の初期型黄色ゴリ[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
前後バランス配分が崩れてしまったフロントまわりを構築 フロントフォークの動き云々もあるが、動き以前に長さが違って前後バランス配分が崩れてしまうと、まともに走れなくなってしまうのがバイクだと思う。とりわ[…]
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
最新の関連記事(工具)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
動きが渋い鍵穴に潤滑剤はNG! ・・・の前に ちょっと前に「キーの回りが渋くなってきた鍵穴に、潤滑剤を吹きつける(注入する)のはNG!」という情報がネット上で広く流れました。その理由は一時的に動きが滑[…]
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる 向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前[…]
人気記事ランキング(全体)
情熱は昔も今も変わらず 「土日ともなると、ヘルメットとその周辺パーツだけで1日の売り上げが200万円、それに加えて革ツナギやグローブ、ブーツなどの用品関係だけで1日に500万円とか600万円とかの売り[…]
正式発表が待たれる400ccオフロード/スーパーモト スズキは、昨秋のEICMA(ミラノショー)にて、新型400ccデュアルパーパスモデル「DR-Z4S」およびスーパーモトモデル「DR-Z4SM」を発[…]
660ccの3気筒エンジンを搭載するトライアンフ「デイトナ660」 イギリスのバイクメーカー・トライアンフから新型車「デイトナ660」が発表された際、クルマ好きの中でも話題となったことをご存知でしょう[…]
カワサキUSAが予告動画を公開!!! カワサキUSAがXで『We Heard You. #2Stroke #GoodTimes #Kawasaki』なるポストを短い動画とともに投稿した。動画は「カワサ[…]
止められても切符処理されないことも。そこにはどんな弁明があったのか? 交通取り締まりをしている警察官に停止を求められて「違反ですよ」と告げられ、アレコレと説明をしたところ…、「まぁ今回は切符を切らない[…]
最新の投稿記事(全体)
専用ロゴがファン心をくすぐる 1975年に初代GL1000が誕生してから50年が経つホンダのプレミアムツアラー、ゴールドウイング。2018年のフルモデルチェンジでは、フロントにダブルウィッシュボーンサ[…]
電子の力で瞬時に冷却する「ペルチェ素子」を採用 このベスト最大の売りは、その冷却システムに「ペルチェ素子」を採用していること。これは、半導体の一種で、電気を流すと素子の片面が熱を吸収(冷却)、もう片面[…]
凛としたトラディショナルをカジュアルクラシックで訴求! ヤマハが1992年にリリースしたSRV250は、1988年のXV250Viragoで開発した空冷250Vツインを搭載、感度の高いトラディショナル[…]
着脱の快感を生む「ピタッ」&「カチッ」を実現する独創的なデュアルロック 今や街乗りでもツーリングでも、すべてのバイクの必須アクセサリーといっても過言ではないスマートフォンホルダー。バイク用ナビやスマー[…]
ホンダCBR600RR(2020) 試乗レビュー 排気量も気筒数も関係ない、コイツがいい! 仕事柄、しばしば「スーパースポーツが欲しいんですけど、リッタークラスとミドルクラスのどっちがいいと思います?[…]