
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
花粉の種類もスギからヒノキに切り替わり、冬用ライディングジャケットの出番も少なくなってきました。
暖かい時期に使い勝手の良いスポーツジェットヘルメットを紹介してほしいという読者、視聴者のリクエストにお答えするレビュー企画第二弾は、KabutoのEXCEED(以下エクシード)です。
前回紹介したAraiのVZ-RAMに比べると手を出しやすい価格設定ですが性能をチェックしてみました。
エクシードの付属品・カラーバリエーション

エクシードの付属品はヘルメット収納用の袋と取扱説明書というシンプルなもの。
収納用の袋は入り口から左右それぞれ2本ずつ紐が出ており、肩掛け、リュックスタイルのどちらでも持ち運ぶことが可能。

袋の内側は肌触りの良い裏起毛でヘルメットの塗装やシールドを傷つけません。

いつも感心させられるのがKabutoの説明書です。初めてヘルメットを買ったユーザーが見たとしても写真やイラストでわかりやすくなっています。
内装の互換性、補修パーツや修理の価格なども書かれているのも良心的です。
なお説明書はKabutoのホームページからPDFでダウンロードもできます。

2022年4月現在のカラーバリエーションは単色が5色で価格は3万5200円。

グラフィックモデルは8色展開されています。こちらは3万8500円です。
KabutoはAraiやSHOEIと比べると単色とグラフィックモデルの価格差が小さいのも魅力の一つ。差額が小さいのでお気に入りのグラフィックモデルがあったなら選んでおきたいところ。

認証はPSCとSG認証を取得しています。
エクシードの見ため

全体的にはエッジの効いたデザインを採用しており、特に頭頂部左右から後頭部のアウトレットに続くラインが特徴。

アウトレット左右にはKabutoが長年の空洞実験などで開発した、気流をコントロールするウェイクスタビライザーが採用されています。
スタビライザーはわかりやすいエアロパーツ部分だけでなく後頭部左右の部分まで広がっており、サイド部分に比べて一段くぼんでいるようなデザインは帽体をコンパクトに感じさせます。
帽体はXS・S・MとL・XL用に分かれており軽量でコンパクトにすることを実現していて、身長の低い筆者のようなライダーにとっては頭が小さく見えるのが嬉しいポイント。

以前紹介したKabutoのシステムヘルメットRYUKIにも採用されていましたが、樹脂パーツの多くにカーボンプリントを使っているのも見逃せません。

Kabutoのロゴは額と後頭部に一か所ずつ入っており、いずれもステッカーの上からクリア塗装されているので剥がすことは不可。
エクシードの機能性

ベンチレーションは頭頂部の左右に一か所ずつ、アウトレットは後頭部センターに一か所あります。
頭頂部はベンチレーションのパーツ自体が開閉する形になっており、グローブをつけていても操作はしやすそう。

後頭部のアウトレットは常時開放のヘルメットも増えてきていますが、エクシードは開閉することができるので、雨の日などは閉めておくことで頭が濡れてしまうのを防げます。

メインシールドは曇り止めのピンロックシートの取り付けに対応しており、お値段は3300円。
ピンロックシートの曇り止め効果は素晴らしいので、お値段以上の価値はあります。

形状としては縦に長く、下淵にリブを設けることで風を左右に分散する設計を採用しており、この点は後ほど試乗しつつ性能をチェックしたいと思います。

シールドの脱着はシングルアクションを採用しており、説明書を参考にしつつやってみたところ驚くほど簡単に外れました。
取り付けに関しては5分ぐらい要領がわからず苦戦しましたが、説明書をきちんと見直して再度やってみたところスムーズに完了。

左耳のあたりにはインナーバイザーの操作ノブがあり、下淵にあるのと比べるとインカム装着の自由度がアップします。実際にインナーバイザーを出してみると長さは充分です。

インカムに関してはクリップタイプが差し込みやすいように帽体と衝撃吸収ライナーの間に差し込めるスペースが用意されています。

サイド下淵の部分に関してはエッジもたっていないので、両面テープでの取り付けも問題ありません。

顎紐に関しては脱着が手軽なマイクロラチェット式。ヘルメットホルダー用にDリングも装備しています。
エクシードの内装

内装はトップ、チークパッド左右、顎紐カバー、それとインカム未装着時用にイヤーカップが用意されています。
取り付けはトップ、チークパッドがスナップボタンと差し込み式、顎紐カバーとイヤーカップはマジックテープを採用。

内装の素材には吸湿速乾性と通気性に優れたクールマックスを採用しています。汗ばむ夏場に使うには最高の素材ですが、実は保温性にも優れているので冬場も使うことができます。
一言でいえば夏は涼しく、冬は暖かい素材なのでオールシーズン快適に過ごせます。

トップ内装はベンチレーションから導入した外気で効率的に頭が冷やせるような形になっており、肌に触れる側はクールマックスのサラサラとした感触、外側はしっかりとクッションが貼られています。

チークパッドは頬の部分のパットが厚くなっており、後ろの方は若干薄めの形状ですが、被ってみたところ頬に沿うようにしっかりフィット。

こめかみの部分はクッションがかなり薄くなっていて眼鏡のツルが入りやすいように配慮されています。

被り口の部分は合皮を採用するなど見た目もしっかり意識しているのは好印象。

細かいところですが、顎紐カバーにはKabutoのロゴが入っている点も見過ごせません。
イヤーカップに関してはインカムを使わない時には装着しておくことで、巻き上げの風が耳の方に流れて風切り音を防ぐ役割もありますが、被った時に耳の痛みを感じる時などには外してしまっても良いでしょう。
エクシードの重さ

今回はKabutoのエクシードMサイズ、カラーはクールガンメタの重さを測定してみました。
結果は1478g。
以前レビューしたARAIのVZ-RAMも1400g代でしたが、エクシードはラチェットバックルやインナーシールドなどを採用しているので、装備のわりに軽量と言えるでしょう。
※ヘルメットの重さは個体差があり、グラフィックモデルは単色に比べて塗料やステッカーの量が多くなるため重くなる傾向があります。
エクシードのサイズ・フィット感

筆者の頭はKabuto、SHOEI、ARAIのいずれもMサイズでピッタリ。
普段はパーソナルフィッティングでSHOEIの内装にパットを足してもらっているので実質S~Mサイズの間といった感じなので、エクシードも問題なしです。
ただチークパッドはスポーツジェットヘルメットのわりに圧迫感がありません。
しっかりと頬を包むようにフィットしていますが、圧迫されることがないのでインカム通話などをしていても喋りにくい事はないはずです。
CBR250RRで走行してみた

インプレッション用にお借りしていたCBR250RRに乗って性能をチェックしてみました。
直前にお借りしていたARAIのVZ-RAMと比べて数値的には少々重いのですが大差ないように感じます。いずれも軽量で首や肩に負担が少ない印象です。
VZ-RAMに比べてエクシードの方が少々重心が高いような感じましたが重量バランスは良好。
スポーツジェットヘルメットなので視界は良好で、インナーバイザーを出してみると縦に長いので眩しさをしっかりとカットします。
インナーバイザーの出し入れは走行しながらでも違和感なくできるので、トンネルの直前などで慌てることもないでしょう。
しばらく走って頭が蒸れてきたタイミングでベンチレーションを開けてみましたが、パーツが大きいので操作に迷う事はありませんでした。
ベンチレーションの効果は時速40キロぐらいから徐々に体感でき、低速時の効果は限定される印象を受けました。
ただ高速道路ではしっかりと流入量が増えるので夏場のロングツーリングなどでも頭が蒸れることはなさそうです。

法定速度内では風の抵抗を感じることもなく空力は良好。
レーンチェンジの際などに首を振っても問題なしです。
エクシードは風切り音がうるさい?
エクシードというキーワードをyoutubeの検索窓に入れると「風切り音」や「風切り音対策」といった関連ワードが表示されました。
しかしCBR250RRで下道を走ってみたところ風切り音は発生せず、巻き上げの風も顎をかすめていく感じでした。
ところが高速道路で70km/hを超えると顔のあたりまで巻き上げの風が入ってくるようになり、次第に風切り音が大きくなってきました。
そこで着座位置をシートの後ろにずらし、前傾を強くしてみると下道と同じように顎下を風がかすめていくような感じになり風切り音も小さくなりました。
前掲のバイクとの相性が良さそう
ヘルメットの体感は乗っているバイクやライダーの体格などによって変わってきますが、前傾姿勢のCBR250RRとの相性は良好で、静粛性を重視したいときは前傾をきつめに、暑い時は少し状態を起こすなどコントロールもしやすく感じました。
インナーシールド+ラチェットバックルを採用しているわりに軽量なので、インナーシールドは欲しいけど重いヘルメットは嫌だという方にはピッタリではないでしょうか。
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