
MVアグスタは、EICMAで5気筒「クアドラート」エンジンコンセプトを発表した。技術的な詳細は発表されていないが、850~1150ccを想定したモジュール式を採用し、最高出力は240ps以上/1万6000rpm以上を主張する。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
3気筒と変わらない幅を実現した5気筒エンジンは単体重量60kg未満!
MVアグスタはEICMAでいくつかの2026年モデルを発表したが、何の予告もなく新型5気筒エンジンを電撃発表した。その名も「クアドラート(quadrato)」というエンジンコンセプトは、前3気筒/後2気筒というレイアウトで、前後シリンダーの吸気バルブを1本のカムシャフトで駆動し、前/後シリンダーそれぞれに排気側カムシャフトを配置するという、3本カムシャフトの構造が特徴になっている。
技術的な発表は限られているものの、独特のクランクレイアウトで前3気筒のクランクシャフトと後2気筒クランクシャフトを備え、「U」字型の構成にしているという。前後シリンダー配置も平行に見えるので、かつてのスズキ「RG400/500Γ」が採用していたようなスクエア4のクランクレイアウトに似たものを5気筒化し、シリンダーを互い違いに配置することで前後シリンダーを接近させ(融合させているともいえる?)ているのは間違いないだろう。
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
3本構成のカムシャフトは狭角のV型エンジン、たとえばフォルクスワーゲンのVR6型エンジン(6気筒)やHOREXのVR6エンジン(6気筒)のような挟み角10.6度~15度のエンジンで採用されていたが、クアドラート・エンジンコンセプトをではこれを直列クランク×2本で構成している(とみられる)のが技術的な面白さだ。
この新しいプラットフォームは、スーパースポーツからネイキッド、ツーリングモデルなど複数のセグメントに展開することを想定しており、排気量は850cc~1150ccというモジュラー構成を想定。最高出力は240以上/1万6000rom以上、最大トルクは135Nm(13.77kg-m)/8500rpmとし、効率とレスポンスを高めるべく、ウォーターポンプとオイルポンプは電動で駆動する。
前後のシリンダーがヘッドなどを共有することにより部品点数や重量を削減しており、エンジン単体重量は驚異の60kg未満。エンジン幅は並列4気筒よりも狭く、前後長はV型4気筒よりも短い。
5気筒は独自の点火順序を持つとしていることから、特異な位相角を設定している可能性も。可変バルブ機構を必要とせずに、低速域での扱いやすさと高回転域の最高出力を両立するという。また、前述の「U」字型クランクレイアウトにより、振動も劇的に低減し、滑らかなトルクデリバリーを達成したとしている。
このまったく新しいエンジンの開発はイタリアのシランナにあるMVアグスタ本社内のR&D部門で進行中であり、今後数年以内に市販モデルが発表されるという。続報が楽しみだ!
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
MV AGUSTA 5-CYLINDER ENGINE CONCEPT “QUADRATO”
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(MVアグスタ)
F1の英雄アイルトン・セナとドゥカティから続く熱い絆 セナとバイクのつながりが最初に報道されたのは、おそらく1990年のことでしょう。当時、ドゥカティのオーナーだったクラウディオ・カスティリオーニが8[…]
2025年6月16日に83歳になったアゴスティーニのスペシャル仕様 MVアグスタは欧州で、同ブランドが2025年で創立80周年を迎えるとともに、Agoことジャコモ・アゴスティーニ氏が83歳の誕生日を迎[…]
MVアグスタ(イタリア、ヴァレーゼ)は2025年1月31日、サルダロフ家が経営するアート オブ モビリティがMVアグスタの完全な経営権を取り戻し、正式にKTMから分離することを発表した。 KTMを経営[…]
998cc・並列4気筒のスーパーヴェローチェ1000セリエオロ爆誕!! MVアグスタ スーパーヴェローチェシリーズの最新作、208psを発揮する998cc並列4気筒エンジン搭載の「Superveloc[…]
オフロード走破性を向上させたMVアグスタのアドベンチャー登場! ’23年のEICMA(ミラノショー)で、MVアグスタが世界初公開して話題となった『LXPオリオリ』は、パリ=ダカールラリーで4度の優勝を[…]
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
いまや攻めにも安全にも効く! かつてはABS(アンチロックブレーキシステム)といえば「安全装備」、トラクションコントロールといえば「スポーツ装備」というイメージを持っただろう。もちろん概念的にはその通[…]
油圧ディスクブレーキだけど、“油(オイル)”じゃない いまや原付のスクーターからビッグバイクまで、ブレーキ(少なくともフロントブレーキ)はすべて油圧式ディスクブレーキを装備している。 厳密な構造はとも[…]
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
ミリ波レーダーと各種電制の賜物! 本当に”使えるクルコン” ロングツーリングや高速道路の巡航に便利なクルーズコントロール機能。…と思いきや、従来型のクルコンだと前方のクルマに追いついたり他車に割り込ま[…]
出力調整を極限まで最適化&他技術との連携で相乗効果 キャブやFIスロットルボディの吸気量を決めるバタフライの開閉をワイヤーで繋がったスロットルグリップで人間が直接調整していたのが旧来の方式。これに対し[…]
人気記事ランキング(全体)
KTMの進化ポイントを推測する 第17戦日本GPでマルク・マルケスがチャンピオンを獲得した。ウイニングランとセレブレーションは感動的で、場内放送で解説をしていたワタシも言葉が出なかった。何度もタイトル[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
前バンクはクランクリードバルブ、後バンクにピストンリードバルブの異なるエンジンを連結! ヤマハは1984年、2ストロークのレプリカの頂点、RZシリーズのフラッグシップとしてRZV500Rをリリースした[…]
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
超高回転型4ストローク・マルチのパイオニアはケニー・ロバーツもお気に入り 今回ご紹介するバイクは1985年春に登場した超高回転型エンジンを持つヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)です。 フェー[…]
最新の投稿記事(全体)
ダートや自然や冒険も気軽に楽しめる秀逸作! 1960年代から展開されてきたハンターカブの発展形として、日本では1981年10月から約2年間販売されたのがホンダのCT110。このモデルをモチーフとしなが[…]
箱根の賑わいに背を向けて、ハードすぎる箱根外輪山の懐へ 秋の箱根、いいですよね。湯本から宮ノ下や強羅を経由して芦ノ湖で遊覧船とか。箱根の秋といえばこんな観光ルートを思い浮かべるだろう。しかし、ツーリン[…]
新しい時代を切り開いたヤマハならではの技術 現代の目で見れば、至ってオーソドックスなネイキッドと思えるものの、’79年のパリ/東京モーターショーでプロトタイプが公開され、翌’80年から発売が始まったR[…]
GSX-S1000GT 2026年モデルは新色投入、より鮮やかに! スズキはスポーツツアラー「GSX-S1000GT」の2026年モデルを発表した。新色としてブリリアントホワイト(ブロンズホイール)と[…]
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
- 1
- 2












































