
カワサキは欧州と北米で、1000ccクラスの新型スーパースポーツ「ニンジャZX-10R」および「ニンジャZX-10RR」を発表した。10Rについては日本でも2026年夏頃の国内導入に向けて準備を進めると明らかにされた。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
新しい顔にウイングレットも装備!
カワサキは欧州と北米で「ニンジャZX-10R」と「ニンジャZX-10RR」の新型モデルを発表した。サーキットパフォーマンスとこうどうでの 実用性を両立するスーパースポーツがさらなる進化を遂げている。
新しい顔と大型ウイングレット。
なんといっても目に付くのは大型ウイングレットを装備したことだろう。従来はヘッドライトの横に空洞を作り、ボックス型ウイングのような形になっていたが、新型ではガッツリとウイングレット形状になっており、非常に目立つ形でペイントされている。
これにより、従来よりもダウンフォースを25%向上したといい、コーナリング時のフロントエンドの接地感とコントロール性が高められた。
また、マシンの“顔”となるヘッドライトまわりを中心にボディワークのデザインも変更され、前作のようなアクの強さはやや鳴りを潜めたかもしれないものの、次世代“スーパースポーツ Ninja”のフラッグシップモデルとしての存在感を強めている。
シャシーとサスペンションは、向上した空力性能に合わせてジオメトリーとセッティングが最適かされ、運動性と安定性を維持。またエンジンは、従来のパフォーマンスを維持しながらユーロ5+規制に適合している。
メーターが新たに5インチTFTフルカラーディスプレイに変更されたのも朗報だ。スマートフォン連携機能「RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE」を介したターンバイターンナビゲーションや各種設定の遠隔操作が可能になったほか、従来通りクルーズコントロールも標準装備する。
北米のみ発表されたニンジャZX-10RRは、サーキット走行に特化したシングルシートモデルで、Pankl製のチタンコンロッドや軽量ピストン、可変ファンネルなどの専用パーツを装備する。
空力性能とスタイリングの刷新
2026年モデルでは、前述のとおりスタイリングと空力性能を刷新。これがもっとも重要な変更点と言えるだろう。
ウイングレットは従来のフロントカウルと一体化したデザインからより突出した形状に変更され、前面投影面積の増加によるドラッグの上昇は0.3%に抑えつつ、ダウンフォースを約25%向上することに成功したという。
この強力なダウンフォースにより、コーナリング時のフロントエンドの接地感を高め、ライダーがより自信を持ってコーナーに進入することを可能にし、ラップライムの短縮に貢献する。また、加速時のフロント荷重抜けを抑制することで安定性を保ち、より効率的な加速にも貢献。ライダーはより安定感を得ながらライディングに没頭することができる。
前年モデルと比較すると変化がよくわかる。
フロントフェイスのみならず、ボディワークのフェアリングデザインは全面的に再設計され、フロントからリヤにかけて流れるようなウェッジ(クサビ)形状を描く。サイドカウルは面積を拡大してフロントのボリューム感を増し、スーパースポーツのパフォーマンスをデザイン面からも強調する。
コーナリング中のエアロダイナミクス。
ヘッドライト下のチンスポイラーと大型ウイングレットは連続したデザインになっており、カワサキのスーパースポーツスタイルを次世代へと進化させた。うこれらは高品質なABS樹脂製で、耐久性と艶のある高級感を両立する。
ヘッドライトはコンパクトなプロジェクター/リフレクターハイブリッドタイプで、ラムエアインテークはその中央上に再配置。ロービームにはモノフォーカスLEDプロジェクター、ハイビームにリフレクタータイプを採用し、消灯時には深く窪んだリフレクターが鋭い表情を演出する。
車体の最適化とエンジンのパフォーマンス維持
新しいウイングレットによって増加したダウンフォースを最大限に活かすだめ、シャシーとサスペンションには調整が加えられた。
ヘッドパイプからスイングアームピボットまで直線的につながるアルミ製ツインスパーフレームは従来を踏襲しながら、フォークオフセットを変更(数値は未発表)してトレールを短縮して素早い方向転換を可能に。またスイングアームピボット位置は2mm高くなり、加速時の後輪トラクションを向上した。特にフルバンク後のリヤからマシンを操る「セカンダリーコーナリングフォース」が強化されているという。
フォークは突き出し量を変更。リヤサスペンションのリンクも新作された。スタンダードモデルであるZX-10Rにはブリヂストンから発表されたばかりのバトラックスレーシングストリートR12を装着。
サスペンションはスーパーバイク世界選手権のファクトリーレーサーからフィードバックを受け、フロントにはφ43mmのSHOWA製BFF(バランスフリーフロントフォーク)を採用。フォークの突き出しを従来の3mmから1mmに変更し、前車高をやや上げることでライダーの前傾を緩和。もちろん減衰力の設定も最適化されている。
リヤはホリゾンタルバックリンク式のサスペンションにSHOWA製BFRC(バランスフリーリアクッション)ショックを組み合わせ、スプリングレートは従来の95M/mmから92.5N/mmに変更することでピッチングモーションをより有効に使いやすくなった。
エンジンは先代モデルから基本を継承しながら、最新の排出ガス規制に適合するアップデートが施された。触媒の上流センサーに加え、下流にもO2センサーを1つ追加したが、触媒自体をより小型軽量な部材とすることで重量増は最小限に抑えている。
先進の電子制御とライダー支援技術
ボッシュ製のIMU(慣性計測ユニット)を搭載し、高精度な電子制御パッケージを提供するのは従来通り。IPS液晶技術を組み合わせた新しい5インチTFTフルカラーディスプレイを採用し、映り込みの低減による視認性向上を果たしたほか、さまざまな表示モードや、スマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE」と連携することで車両情報やGPS連動のライディングログ、電話やメッセージなどの通知機能、ライディングモードなどのリモート設定、そして新機能としてターンバイターンナビゲーション表示や音声コマンド(別途ライセンス購入が必要)に対応し、利便性が向上している。
ライダー支援パッケージは以下のとおりだ。
5.3 ライダーエイドパッケージ
| システム名 | 略称 | 機能概要 |
| カワサキ・コーナリング・マネジメント・ファンクション | KCMF | IMUからのフィードバックを基に、コーナー進入から脱出までエンジンとシャシーのパラメーターを監視・制御し、ライダーが狙ったラインをトレースできるよう支援する統合システム。 |
| スポーツ・カワサキ・トラクション・コントロール | S-KTRC | 5つのモードから選択可能。IMUからの入力を活用し、幅広いライディングコンディションで最適なパフォーマンスを発揮できるよう精密に後輪のスリップを制御する。 |
| カワサキ・ローンチ・コントロール・モード | KLCM | 停止状態からの加速を最適化するシステム。3つのモードがあり、ホイールスピンを最小限に抑え、フロントのリフトを防ぐ。 |
| カワサキ・インテリジェント・アンチロック・ブレーキ・システム | KIBS | スーパースポーツグレードの高精度ブレーキ制御システム。急ブレーキ時のリアリフトを抑制し、スムーズなABS作動を実現する。 |
| カワサキ・エンジン・ブレーキ・コントロール | KEBC | ライダーが好みのエンジンブレーキ量を選択できるシステム。サーキット走行時の介入を低減する。 |
| パワーモード | – | フル、ミドル、ローの3段階からエンジン出力を選択可能。 |
| カワサキ・クイック・シフター | KQS | クラッチ操作なしで迅速なシフトアップ/ダウンが可能(エンジン回転数2500rpm以上で作動)。 |
| 統合ライディングモード | – | S-KTRCとパワーモードを連動させたプリセットモード(スポーツ、ロード、レイン)と、個別設定が可能なマニュアルモード(ライダー1〜4)を提供する。 |
| エレクトロニック・クルーズ・コントロール | – | ボタン一つで設定した速度を維持し、長距離走行時の右手の疲労を軽減する。 |
サーキット志向の“RR”
北米のみ発表されたニンジャZX-10RRは、スーパーバイク世界選手権でのレース活動で得たノウハウを投入したサーキット特化型のシングルシートモデルだ。従来はスーパーバイク世界選手権のホモロゲーションモデルという扱いだったが、世界最高峰はビモータのKM998リミニにその立場を譲っており、北米でレース活動するライダーに向けたモデルということになるだろう。
エンジンはPankl製のチタンコンロッドと、ピストンリングが1つ少ない軽量ピストンを採用。ピストンピンにはDLCコートが施される。吸気系でも吸気量を増大する変更が(Rに対し)加えられている。
サスペンションはフロントフォークのインナーチューブに特殊な超硬質チタンコーティングを施し、サスペンション設定も1人乗りの車体に合わせて独自に設定。タイヤはピレリ製ディアブロスーパーコルサSP V3を標準採用する。このほかフロントブレーキホースにはステンレスメッシュタイプも採用。
KAWASAKI Ninja ZX-10R / 10RR[2026 export model]
主要諸元は欧州/北米とも998ccの並列4気筒エンジン+6速MTと言うこと以外、未発表だ。※写真は一部を除き北米仕様
KAWASAKI Ninja ZX-10R[2026 U.S. model]Lime Green/Blue 24
KAWASAKI Ninja ZX-10R[2026 U.S. model]Metallic Matte Graphenesteel Gray / Metallic Spark Black / Lime Green
KAWASAKI Ninja ZX-10R[2026 U.S. model]Metallic Matte Graphenesteel Gray/Metallic Spark Black
KAWASAKI Ninja ZX-10RR[2026 U.S. model]Lime Green
Ninja ZX-10Rのディテール
欧州仕様
欧州仕様
欧州仕様
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