
ニッポンがもっとも熱かった“昭和”という時代。奇跡の復興を遂げつつある国で陣頭指揮を取っていたのは「命がけ」という言葉の意味をリアルに知る男たちだった。彼らの新たな戦いはやがて、日本を世界一の産業国へと導いていく。その熱き魂が生み出した名機たちに、いま一度触れてみよう。この記事ではカワサキZ650から始まったザッパーシリーズの系譜について解説する。
●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:YMARCHIVES
ザッパーシリーズの多種多様な展開
トータルでの歴史は30年以上に及ぶザッパーシリーズだが、その存在意義は’80年代以前と’90年代以降で大きく異なっている。まず’80年代以前の主力機種は、クラストップの性能を追求していたのだが、GPz750Fで空冷の限界を感じたカワサキは、ミドルとナナハンの水冷化を決意。
以後はGPZ600RやGPX750Rなどがザッパーシリーズの役割を引き継いでいくこととなった。では’90年代以降はどうかと言うと、ゼファー750はネオクラシック、ZR-7はベーシックモデルという位置づけで、開発陣にクラストップという意識はなかった。
もっとも、ゼファーが日本で大人気を獲得し、ZR-7が海外で高評価を獲得したことを考えれば、カワサキの判断は正しかったのだろう。
1977 Z650:新しい時代を切り開いたカワサキ製ミドルの基盤
現役時代は、“ナナハンキラー”、“4サイクルマッハ”などと呼ばれたZ650だが、650ccバーチカルツインのW1シリーズを長らく生産していたカワサキとしては、“伝統の650cc”という意識もあったらしい。開発時の社内呼称はサーロインステーキ。
【KAWASAKI Z650】
1980 Z750FX-II:750らしからぬ軽さと小ささ
’79年に登場した初代Z750FXが既存のZ2系の発展型だったのに対し、2代目はZ650のバージョンアップ仕様。210kgの乾燥重量は、当時のナナハン4気筒ではダントツの軽さだった。最高出力はZ650+3psの67ps。
【KAWASAKI Z750FX-II】
1981 Z750FX-III:角型デザインで外装部品を統一
丸と角が混在したデザインが不評だったため、セールスがあまり芳しくなかったZ750FX-IIは、’81モデルで角に統一したIIIに進化。なおFX-IIIの海外仕様として販売されたZ750は、日本仕様+8psとなる74psをマーク。
【KAWASAKI Z750FX-III】
1982 Z750GP:兄貴分譲りの燃料噴射を導入
Z1000HやZ1100GPで実績を積んだ電子制御式燃料噴射・DFIを導入し、日本仕様:70ps、海外仕様:80psを発揮。もっともコストや信頼性を考慮した結果、以後のザッパーシリーズは再びキャブを採用している。
【KAWASAKI Z750GP】
1983 GPz750:大幅な仕様変更で戦闘力が向上
流麗なカウルとリヤのユニトラックサスが目を引くGPz750だが、フレームの全面刷新や負圧式キャブの導入など、実際の改良点は多岐に及んでいた。当初の日本仕様の最高出力は72psで、’85年型Fでは77psに向上。
【KAWASAKI GPz750】
1984 750TURBO:過給器の導入で112psの最高出力を獲得
シリーズ唯一の過給器装着車である750ターボは、GPz750のフルパワー仕様を25ps上回る112psを発揮。エンジンの主要部品の大半は既存のザッパーシリーズ用をそのまま転用しながら、駆動系部品は専用設計。
【KAWASAKI 750TURBO】
1990 ZEPHYR750:ネイキッドブームを牽引
’80年代中盤で途絶えたザッパーの系譜(ただし海外では、’80年代後半もZ750GTを継続販売)は、’90年型ゼファー750で復活。最高出力は68psに抑えられていたものの、乾燥重量はシリーズ最軽量となる201kgだった。
【KAWASAKI ZEPHYR750】
1999 ZR-7:ザッパー系の最終仕様
ザッパーシリーズの最終進化形となったZR-7は、GPz750/Fの乗り味を’90年代の技術で再構築したと言うべきモデル。シャーシは専用設計で、エンジンの最高出力は72ps。’01年にはハーフカウル仕様のSが追加された。
【KAWASAKI ZR-7】
【KAWASAKI ZR-7S】
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
空冷ビッグネイキッドをヤマハらしく時間を費やす! 1998年、ヤマハは空冷ビッグネイキッドで好調だったXJR1200に、ライバルのホンダCB1000(Big1)が対抗措置としてCB1300を投入した直[…]
400で初のV4でもホンダ・ファンは躊躇なく殺到! 1982年12月にリリースされたVF400Fは、このクラスでは12,500rpmの未経験な超高回転域と0-400mを13.1secという俊足ぶりもさ[…]
商品ではなく「こんなこと、できたらいいな」を描く 今回は見た瞬間にハートを鷲掴みにされてしまったモトクロス系のお気に入りバイクカタログをご覧になっていただきたい。 まずはアメリカホンダ製作によるモトク[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
大型ウイングレット装備とともに戦闘力を向上! カワサキは欧州と北米で「ニンジャZX-10R」シリーズの2026年モデルを発表。サーキットパフォーマンスと公道での実用性を両立するスーパースポーツがさらな[…]
最新4気筒エンジンにクイックシフターなど先進の電脳装備 前後17インチホイールを採用し、高速道路から荒れた田舎道まで快適に走破できる新型アドベンチャークロスオーバー「ヴェルシス1100 SE」の202[…]
「伝統と革新」をテーマに、カワサキの原点たるモデルと水素エンジンバイクを展示 10月30日(木)から11月9日の会期中に、101万にも及ぶ来場者を記録して閉幕した「ジャパンモビリティショー2025」。[…]
全身ブラックアウト! 国内ではスタンダード的な位置づけに 「Z900RSブラックボールエディション(Black Ball Edition)」を初生撮り! カワサキがジャパンモビリティショー2025で展[…]
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
人気記事ランキング(全体)
全身ブラックアウト! 国内ではスタンダード的な位置づけに 「Z900RSブラックボールエディション(Black Ball Edition)」を初生撮り! カワサキがジャパンモビリティショー2025で展[…]
世界のバイクメーカーをビビらせた初のアドベンチャーモデル オールドファンならご存じのBSAはかつてイギリスで旋風を巻き起こしたバイクメーカー。ですが、1973年には一旦その幕を下ろし、2016年にイン[…]
400で初のV4でもホンダ・ファンは躊躇なく殺到! 1982年12月にリリースされたVF400Fは、このクラスでは12,500rpmの未経験な超高回転域と0-400mを13.1secという俊足ぶりもさ[…]
【ハイパーモタードV2/SP】史上最高のパワーと速さを身につけた新型ハイパーモタード 新型ハイパーモタードは、先代950からフルモデルチェンジがなされ、最新スペックのV2エンジン、そして新設計のモノコ[…]
幅広いライダーを満足させる扱いやすさと優れた旋回性 日本では2025年4月に発売となった’25年型のヤマハYZF-R25は、デザイン刷新と機能充実化を中心とした変更を受けています。 外観上の大きな特徴[…]
最新の投稿記事(全体)
大自然の中で大型バイクにも試乗できる バイクの聖地阿蘇・産山村の大自然の中で、バイクイベント「UBUYAMA RIDE MEET」が開催される。 このイベントは、うぶやま未来ラボが主催し、『入場無料』[…]
大型ウイングレット装備とともに戦闘力を向上! カワサキは欧州と北米で「ニンジャZX-10R」シリーズの2026年モデルを発表。サーキットパフォーマンスと公道での実用性を両立するスーパースポーツがさらな[…]
シンプル操作で立体音響を楽しめる! オートバイ用インカム「MIDLAND」の日本総代理店・株式会社LINKSが、劇的な進化を遂げたニューモデル「BT R1 X (アールワンエックス)」を、2025年1[…]
高機能なウィンタージャケットを手に! 今だけ34%OFF コミネの「JK-603」は、どんなバイクにも合わせやすいシンプルなデザインのショート丈ウィンタージャケットである。 見た目の汎用性の高さに加え[…]
ツーリング中もファッションを楽しめる、デイトナのインナーが27%オフに! 本商品の最大の魅力は、「普段着をバイクウェアにする」という新しい選択肢を提供してくれることである。従来のプロテクター入りライデ[…]
- 1
- 2









































