
ウイングフットが国内への導入を決めたベンダ・ナポレオンボブ250に試乗した。2025 年度中と見られる発売に先立ち、テスト的に導入したという車両は、塗装などのクオリティが予想以上に高く、ロー&ロングのスタイリングに目を奪われる。都内を中心に100kmほど走ってみた。
●文/写真:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ウイングフット
低く長いデザインが個性マシマシ! レトロモダンなボバークルーザー
中国から新たな刺客がやってきた! ベンダは2016年設立の新興メーカーで、独自設計のエンジンを搭載したクルーザーを中心に、ネイキッドなどラインナップを拡大中だ。
待望の日本導入ファーストモデルは、ナポレオンボブ250という水冷Vツインエンジン搭載のクルーザーだ。今回は未発売のテスト導入車に試乗させていただく機会を得たので、レポートをお届けしたい。
BENDA NAPOLEONBOB 250 主要諸元■全長2333 全幅838 全高1038 軸距1545 シート高748(各mm) 車重182kg(装備)■水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 249cc 25.8ps/9000rpm 2.55kg-m/5500rpm 変速機6段 燃料タンク容量9.5L■タイヤサイズF=130/80-18 R=160/70R18 ●価格:93万5000円 ●色:緑、黒、銀、赤、白 ●発売時期:2025年度中
目の前にすると、デザインに驚かずにはいられない。フロントの特異なサスペンションとV字をモチーフにしたようなシグネチャーライトがイカツイ顔を形作り、足まわりのメカメカしさとV型2気筒エンジンの凝った造形などが“タダモノじゃない感”を醸し出す。
機能部品ごとに個性あるディテールを持たせつつ、全体に調和したボバースタイルを作り上げている。水冷エンジンのシリンダー造形やヘッドの着色なども目を惹く。
艶のある燃料タンクの塗装や短い1人乗り専用のサドルシート、水平基調のロー&ロングな佇まい、前後ブロックタイヤ、極端に短い前後フェンダーなど、置いておくだけで絵になるようなディテールの数々だ。
メーター画面も凝っている。円形TFTディスプレイは速度を針で表現、その内側に小さな玉が移動するように回転計が描かれる。それらの隙間から回転する歯車がチラ見えし、雰囲気は古い時計のようでもスチームパンク的でもある。回転上昇に対し回転計の追従は鈍めだが、実用に困るほどじゃない。
改めてサスペンションを見れば、フロントはテレスコピックフォークをスライドチューブのように使い、リンクを介してショックアブソーバーが減衰力を発生する構造。機構的なメリットはさほどないように見えるが、減衰力の立ち上がりは一般的なフォークよりもレスポンスがよく、真鍮製のように見えるダイヤルで減衰力の調整も可能だ。何よりデザイン性は抜群で、リンクの動きも面白い。
リヤサスはリジッドを模したアームに左右2本のショックを仕込んでいる。リンク構造は複雑だがホイールトラベルは短めだ。
乗り心地はやや硬めで直進安定性は良い。ミラー位置が低いのでクルマのロービームが車両によっては眩しいこともあった。
クラスを超えた存在感と十分なトルク
跨ると、低いハンドルと前方にあるステップ、低いシートという独特の組み合わせは、まるでフルカスタムされたボバークルーザーのよう。足着きはとてもよく、シートはカマボコ断面の形状をしているためセンター付近に面圧が集中しがち。クッション自体に厚みはあるので吸収性はまずまずだ。
Vツインエンジンを始動すると、左右2本出しのショートマフラーからは比較的おとなしめのサウンド。アイドリングは安定していて、スロットルを煽ると吸気音が響き渡る。
節度感のあるクラッチレバーを操作し、発進。エンストにはあまり気を遣う必要がなく、スルスルと前に進んでいく。
6速まであるギヤを使って加速していくと、美味しいのは中速トルクだ。高回転域は惰性で回る感じではあるが、勇ましい吸気音によって“走ってる感”は十分に得られる。
低いハンドルバーと前方のステップ。シート高は748mm でホンダ「レブル250」よりは高いが足着きはいい。体格によってはハンドルを大きく切った際に膝に当たる。【身長183cm】
中速重視のエンジンはボバークルーザーというキャラクターによく合っていると思う。動力まわりの操作フィーリングはいい意味でとても普通だった。ただ、シフトストロークがけっこう長く、また1速からニュートラルには入りにくい傾向(2速→Nは簡単に入る)なのはちょっと惜しいところだ。
ハンドリングも見た目より普通。ブロックパターンの太いフロントタイヤは極低速で切れ込み傾向も見せるが、クルーザーに慣れている方なら問題ないレベルだろう。コーナリングも楽しめるが、低い車高によりバンク角は浅いので無理は禁物だ。
ブレーキは前後ともコントロールしやすく、制動力は必要十分でABSも問題なく作動させられる。フロントサスの減衰力はしっかり感が印象的だ。リヤサスは硬かったが、慣らしとともにそれなりにスムーズになった。
腰で上半身を支えるライポジなので長距離はきつそうだが、クラスを超えた注目度抜群のスタイリングは他にない。『他人と違うものに乗りたい』というライダーにとっては、93万5000円という価格も許容できるだろう。
無理をしなければ走りも楽しめるが、バンク角は浅く、この写真でステップを擦る手前のフルバンクに近い。加速時のエンジンのパルス感はまさしくVツインだ。
まるでフルカスタム! このデザイン性が全て
ナポレオンボブ250 のディテール
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