
世界最古のバイクメーカーのひとつであるロイヤルエンフィールドが、滋賀県を拠点とするビルダー「CUSTOM WORKS ZON(カスタム・ワークス・ゾン、以下ZON)」とタッグを組み、ミドルクラスのクルーザー「クラシック650」をベースとしたカスタムバイクを横浜HRCSで展示すると発表した。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:ロイヤルエンフィールド,BMW Motorrad
世界に羽ばたくカスタムビルダー「CUSTOM WORKS ZON」
ZONは、吉澤雄一氏と植田良和氏によって2003年に設立されたカスタムファクトリーだ。彼らの真骨頂は、他に類を見ない高いデザイン力と、それを寸分の狂いなく具現化する圧倒的な車両製作技術にある。生み出されるマシンはどれも個性的で、もはやカスタムバイクという枠を超え、走る芸術品と呼ぶにふさわしいオーラを放つ。
その実力は国内に留まらず、世界中のカスタムショーで数多の賞を獲得していることからも明らかだ。アメリカの「ママ・トライド・ショー」や「ハンドビルト・モーターショー」といった著名なイベントにも定期的に招待される常連であり、彼らのワークショップにはその栄光を物語るトロフィーがずらりと並ぶ。
もちろん、日本最大級のカスタムの祭典「ヨコハマ ホット ロッド カスタム ショー(HRCS)」においても、過去3度にわたり二輪車部門の最優秀賞に輝いている。
ZONの名を世界に轟かせた伝説的なプロジェクトのひとつが、2018年に発表されたBMW Motorradとのコラボレーションだ。彼らは当時まだプロトタイプだったBMWの次世代ボクサーエンジンを託され、「Departed」と名付けられた唯一無二のカスタムバイクを製作。
【BMW Motorrad×CUSTOM WORKS ZON “Departed“】
同年のHRCSでアンベールされたこのマシンは、世界中のバイクファンに衝撃を与えた。1920年代から30年代にかけて最高速記録に挑んだ“レコード・ブレイカー”を彷彿とさせる、低く流麗なシルエット。フロント21インチ、リア26インチという異次元の大径ホイールはアルミの塊からの削り出し。
さらに驚くべきは、スイングアームやフロントフォークといった足まわりの主要パーツまで無垢材から削り出して製作されている点だった。
公開当時、代表の吉澤氏は「業界でも輝かしい伝統をもつブランドの、画期的な新型フラット・ツイン・エンジンのプロトタイプを使用して、カスタム・バイクを作り上げることができることは大変な名誉であり、大きな挑戦でもありました」とコメントしていた。
彼らのクリエイティビティはバイク製作だけにとどまらない。現在は古民家をリノベーションしたショールームやカフェ「Cafe ZON」も展開し、バイクカルチャーを軸にしながら、他文化とのミックスにも力を入れている。
ロイヤルエンフィールドとの邂逅、舞台は再び横浜へ
そんな世界屈指のビルダーであるZONが、ロイヤルエンフィールドの公式カスタムプログラム「Custom World」の最新プロジェクトを手がけることになった。このプログラムは、世界の名だたるビルダーとコラボレーションするもので、日本においても過去にAN-BU custommotors(名古屋)、CHERRY’S COMPANY(東京)、SURESHOT(千葉)といった実力派ビルダーが参加し、HRCSで発表されたマシンは世界的な話題を呼んだ。
今回のプロジェクトでZONがベース車両としたのは、ロイヤルエンフィールドの新型車「CLASSIC 650」。熟成を重ねた排気量648ccの並列2気筒エンジンを搭載する、CLASSICシリーズのフラッグシップモデルである。この伝統的なスタイリングを持つマシンを、ZONがどう解釈し、どう再構築するのか注目したい。
そして、このカスタムバイクがベールを脱ぐ舞台は、2025年12月7日(日)にパシフィコ横浜で開催されるカスタムバイクの祭典「第33回ヨコハマ ホット ロッド カスタム ショー2025」だ。ロイヤルエンフィールドCLASSIC 650という新たなキャンバスに、彼らが一体どんなアートを描き出すのか。2025年の冬、横浜の地で目撃しよう。
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