バイクの「安全」に関する課題を多角的に解説! 警察・高校・ホンダ・JAFの取り組み【日本二普協 第4回シンポジウム】

バイクの「安全」に関する課題を多角的に解説! 警察・高校・ホンダ・JAFの取り組み【日本二普協 第4回シンポジウム】

日本二輪車普及安全協会が実施した、第4回シンポジウム。警察本部の警視や高等学校教頭、ホンダの開発者からJAFの技術課まで、さまざまな専門家が「安全」に対する取り組みについて報告、ディスカッションをおこなった。


●文:ヤングマシン編集部(ヤマ) ●写真:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:日本二輪車普及安全協会

バイクを取りまく、さまざまな環境の向上を目指す

バイク(二輪車)ユーザーがより安全で快適なバイクライフを過ごせる社会をめざし、二輪車を取りまく環境の向上のために活動している日本二普協。

同協会安全本部長の荒井龍介氏によれば「若年層のほか、相変わらず中高年層の事故も多い」という二輪車。

その第4回となるシンポジウムが開催され、専務理事の髙橋亮氏が「よりよい安全活動に向け話し合えるよう」開会を宣言。各方面のプロフェッショナルが報告・議論をおこなった。

日本二輪車普及安全協会 第4回シンポジウム

特定小型原付に対する千葉県警の取り組み

まずは千葉県警警察本部の警視、石山孝明講師により電動モビリティに関わる交通安全対策、とくに最近注目を集めている「特定小型原付」に対しての千葉県警の取り組みが説明された。

16歳以上であれば免許不要、ヘルメットも努力義務となる特定小型原付は「当たり前のことながら、飲酒運転は絶対ダメ、など中高生から教育していくことが必要」

若年層だけでなく「(技能実習生などを含む)外国人に対しても活動中で、各国語のビラを用意し渡す、など分かりやすい工夫をしている」とのこと。

「新規販売事業者の把握、指導もおこなっている」とのことで、比較的新しい乗り物に対して販売現場〜乗る側まで、幅広く指導していることが分かった。

特定小型原付に関する取り組みを報告した千葉県警察本部 交通部理事官 兼 交通部交通総務課付 千葉県 警視 石山孝明講師。

バイク通学者も多い高等学校における安全運転教育

続いて、高等学校における二輪車安全運転教育指導の現状について報告をおこなった山梨県立北杜高等学校 教頭の坂本篤講師。

山梨県立笛吹高等学校の教頭を務めていたが、 2025年より北杜高等学校へ異動。

「通学範囲が広く、高低差もある」地域柄、「40%以上の生徒が原付免許を保有している」という同高校。

坂本篤講師はホンダライディングシミュレーターなどを用いながら、笛吹高等学校時代から二輪車交通安全の教育指導に注力。

「彼らは大人と違う見え方や、見方をしていることもある」「高校生ならではの特性を知って、指導することが大切」と、教育指導する場合の要点を話した。

実技講習などの紹介のほか、生徒が制作した動画も紹介。友人と原付で出かけソフトクリームを楽しむなど「バイクを楽しんでいる様子」が伝わってきた。「最高ー!」という生徒の声も。

ホンダの「先進ブレーキ」への取り組みと開発

3番目に登壇した、本田技研工業 エキスパートエンジニアの谷一彦講師。ABSを始め「ホンダ二輪車の先進ブレーキと言ったら谷氏」と言われるほど、開発に長く関わってきた重要人物。

「ホンダが掲げている、2030年までに交通事故死者を半減、2050年までにゼロへ、という目標。これに、先進ブレーキという領域で取り組んでいる」と述べた谷一彦講師。

ちなみに初期のABS開発現場においては、業務で使用することとなる「白バイ」を考慮しABSをチューニングしていったという。

「ABSはスポーティーではないといったイメージを払拭するため、レースに参戦」していくなどして、その認知を広めていったそう。

「今後は路車間通信、車車間通信などITSの技術を用いながら、事故を減らしていきたい」と語った。

事故死者数ゼロに向けた、ITSを用いた取り組みを紹介する本田技研工業株式会社 二輪・パワープロダクツ電動事業統括部 エキスパートエンジニア 谷一彦講師。

ありがたい! JAFが開発した二輪車用アタッチメント

最後の講師は、日本自動車連盟(JAF)のロードサービス部 技術課 菅原一樹講師。

バイクのバッテリー上がりやパンク等だけではなく、「引き起こし」の要請にも対応しているというJAF。二輪車へのサービスは、2005年に開始されている。

2006年に入社した菅原一樹講師は、17年に渡ってロードサービスの出動業務に従事。

「2020年と2024年の要請数を比べると、クルマでは7.6%増に対し、バイクは31.2%も増加している」「ちなみに一般道ではバッテリー上がりが1位だが、高速では燃料切れが1位。みなさん、きちんと乗車前にバイクの点検をしましょう」と乗車前点検の重要さを説いた。

そんなJAFが、2022年に導入したのが二輪アタッチメント。それまでは、サービスカーの約17%がバイクに対応。

しかし上記の通り、バイクに関する要請はどんどん増えてきている。そこで開発されたのがアタッチメントであり、いわゆるレッカー車の後部に取り付けることでバイク対応サービスカーが約2.5倍に増加。

住宅密集地など、路地にもレッカー車なら入っていけるメリットがあるという。

こちらがアタッチメント。約20分で運ぶ用意が完了するとのこと。

パネルディスカッションでは4名の講師が話し合う

シンポジウムの最後にはは4名の講師が、本日の各報告・議題に対してディスカッションを実施。

講師は互いに異なる業種だけに、率直な意見からシンプルな質問、核心を突くような発言まで活発に意見が交換された。

二輪車を取りまく、様々な環境や安全問題。われわれバイクユーザーも、それらがよりよいものとなるよう、積極的にこれらの問題について考えていきたい。

パネルディスカッションの様子。

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