
ホンダは、2023年にスーパーカブなどで利用できる特許を出願し、2025年3月に登録&公開された。自動遠心クラッチとフットブレーキを組み合わせた車両ならではの機構で、ブレーキペダルひとつでパーキングブレーキを兼ねる構造だ。※この情報は公開特許に基づいていますが、本田技研工業や販売店への問い合わせはご遠慮ください
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
誤操作が少なくシンプルな構造で実現するという
もう何十年も前から完成形に至っているような印象を受けるホンダ「スーパーカブ」シリーズだが、ホンダは今も改良の手を緩めているわけではない──。そんな気概を感じさせる特許情報が登録&公開されていた。
はじめにお断りしておくと、けっこう地味な部分の特許ではある。しかし、こうした開発の積み重ねが、累計生産台数1億台を超える名車を、現代においてもある意味でフラッグシップモデルたらしめているのだ。
この特許は、駐車時に使うパーキングブレーキの操作を簡単にする工夫がなされているというもの。自動遠心クラッチを採用するスーパーカブやスクーターなどは、ギヤを入れても(スクーターはそもそも入らないが)坂道などで動き出してしまい、サイドスタンドが外れて転倒する恐れがある。そのため駐車用にブレーキがかかりっぱなしになる機構を採用(もしくはセンタースタンドを採用)することが多いが、走行用のブレーキレバーと離れたところに専用レバーあるいはロック機構を設けるなどしていて、誤操作の恐れは少ないものの操作にひと手間必要だったのも確か。
これを解決すべく、新特許ではブレーキペダルをかき上げることでリヤブレーキをロックする機構を採用している。
特許図にはスーパーカブPROと思われる車両を使用。
ブレーキペダルは、通常は踏むことでリヤブレーキを操作するが、駐車後にこれをかき上げることで独自のリンク機構が働き、山型のカムでブレーキロッドを引いた状態のまま固定することより、パーキングブレーキとしての役割を兼ねることになる。
さらに、パーキングブレーキを解除するにはペダルを踏むだけという簡単さ。リヤブレーキを大きくかき上げる操作というのは通常走行での扱いからかなりかけ離れていて、誤操作の心配も少なそうだ。また、特許の説明によれば部品点数の増加も最小限で、コンパクトな設計が可能だという。
こうした特許の機構は、実際に製品に採用されることもあれば、そのまま消えていくこともあるので、今後市販に結び付くのかはなんとも言えないが、新聞配達など頻繁なストップ&ゴーをさまざまな路面状況で行う使い方においては、歓迎するユーザーも少なくないのでは。
ドラムブレーキのレバーを引くためのロッドが2本あるのが特徴だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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