
日本バイクオブザイヤー2024大賞を受賞したことも記憶に新しい、2025年1月現在ニーハン唯一の4気筒スーパースポーツZX-25R。そんな、ただでさえ速い一台にターボを装着し「250cc車で250km/hを出す」という目標を掲げたプロジェクトが、2022年にあったのをご存知だろうか。やや荒唐無稽にも思えるチャレンジの結果はどうなったのか、その模様をプレイバック!
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:トリックスター
エンジントラブル発生も…大記録達成!
2021年から、トリックスターがチャレンジを続けてきたZX-25Rターボによる最高速アタック。代表の鶴田竜二氏が「250cc車で実測250km/h!」を掲げて進めてきたこのプロジェクトが、ついにその目標を達成した。
その様子はトリックスター製作の動画に詳しいが、日本自動車研究所(JARI)のオーバルコースでのアタックにて、開発ライダーを務めている山本剛大選手が駆るZX-25Rターボは、今までより明らかに速いスピードでスタッフの前を通過していく。
「これは実測250km/h出てるかも…?!」とスタッフの期待が高まったその直後、直線区間を駆け抜けたZX-25Rターボにトラブル発生! エンジントラブルでストップしてしまったものの、装着されたGps速度計にはしっかりと「250km/h」の文字が刻まれていたのだ!! ドラマチックなその様子は以下の動画に収められているので、ぜひご覧いただきたい。
残り数km/hの壁が高かった
トリックスターのターボプロジェクトは、ヤングマシンでも数回にわたり追いかけてきたが、そもそも専用パーツも何もない中で、トライ&エラーを何度も繰り返し、本当に手探りで作り上げてきた…という印象がとても強い。
とにかく前例のないチャレンジだけに、同社の担当メカニック・中村公次さんはかなり大変な思いをしたようだし、パワーを狙うとどうしてもシビアになってしまうセッティングをものともせず、記録達成に向けて奮戦する山本選手の姿も目撃してきた。
そんな中、2022年3月にはメーター読みで252km/h(実測243km/h)を達成していたのだが、ここからが苦しかったようだ。エンジンとタービン(軽自動車アフターパーツを転用)のマッチングなのか、ブースト圧を安定させることが難しかったようで、過去のテストではエンジンブローにも見舞われている。
今回も記録達成直後にトラブルに見舞われたが、ノーマルの約2.7倍となる103psを絞り出していたというから、さすがに限界だったのだろう。ちなみに、ZX-25Rノーマル車の最高速度は実測で約180km/h。プラス70km/hの上乗せはすさまじいの一言だし、さまざまな苦労を重ねただけにチームの喜びもひとしおだろう。
これから開発を進めるという市販仕様ターボキットでは、パワーを60ps程度として耐久性に配慮しつつ、ノーマルZX-25Rとは明らかに違う速さと痛快さを味わえる仕様になる。市販仕様のプロト車に試乗したヤングマシンのメインテスター・丸山浩氏はそのフィーリングを「2ストみたい!」と表現しているのだ。
トリックスター代表の鶴田氏はZX-25Rの登場時に「このバイクは2輪業界の起爆剤になる可能性がある」と語り、超積極的にパーツ展開を進めてきた。その集大成が250km/hへの挑戦と、そのノウハウをフィードバックしたZX-25R用ターボキットとなるわけだ。まずはトリックスターの皆様、おめでとうございます、そして大変お疲れさまでした!
2022年3月にはメーター読みで252km/h(実測243km/h)を達成。これでも十分だと思うのだが…山本選手の「やはり実測250km/hを目指したい!」との想いで開発は続行。時間はかかったが見事に目標を達成した!
トリックスター・ZX-25Rターボのエンジン部。ワンオフのエキマニを介して軽自動車用タービンを装着し、サブコンのラピッドバイクで燃調を、4輪用チューニングパーツのブーストコントローラーでブースト圧をコントロールする。インタークーラーもテストされたが、実測250km/hはナシの状態で記録された。
2022年10月には市販仕様のプロトタイプを丸山テスターが袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗。このときは63.3ps仕様(ターボなしのノーマル実測値は37ps前後)で、1万2000rpmからブーストがかかりトップエンドまで伸びる様子を「現代に蘇る2スト」と表現!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(トリックスター)
目指すはボンネビルの最高速度記録! 前回はエンジンブローで力尽きたが…… 2024年4月の名古屋モーターサイクルショーで初お披露目されたトリックスター「ZX-4ターボ」は、2024年11月に日本自動車[…]
STD比で約7psの向上&-6.2kgの軽量化を達成 待ち望まれていた「Ninja 1000SX政府認証フルエキゾーストマフラーIKAZUCHI」がついに販売を開始した。 幾度となく設計を見直し、試験[…]
製品開発の様子をYoutubeにて公開! ZX-25R政府認証ダウンフルエキゾーストマフラーを発売後、多くのユーザーに待望視されていたZX-4Rダウンフルエキゾーストマフラーの開発が決定した! そして[…]
トルクアップし、ノーマルより乗りやすい心地に変化 KawasakiのZ650RS(2024-2025)モデルに適合する政府認証フルエキゾーストマフラーが遂に発売開始!2023年モデルから仕様変更があっ[…]
ZX-25Rターボの250km/hチャレンジに続くZX-4Rターボ トリックスターが製作したZX-4Rターボは、2024年4月の名古屋モーターサイクルショーで初披露された。すでにZX-25Rのターボ化[…]
最新の関連記事(カスタム&パーツ)
ロングツーリングでも聴き疲れしないサウンド 数あるアドベンチャーモデルの中で、草分け的存在といえるのがBMWモトラッドのGSシリーズ。中でもフラッグシップモデルのR1300GSは2024年に国内導入さ[…]
筑波サーキットにH-D Xたちが集合 H-D Xでのサーキット走行をおすすめしたい。X350はあきらかにXR750をモチーフとしたデザイン。「スポーツライディングを楽しんでほしい」というメーカーからの[…]
走り続けるため、戦い続けるためのエンジンカバーセット 「F.C.C./TSR エンジンカバーセット CBR1000RR-R(SC82)」は、世界耐久選手権(EWC)で戦い続けてきたTSRならではの製品[…]
重厚感とユーザー寄りのデザインと扱いやすさが魅力本物のクラシックテイストがロイヤルエンフィールドの特長 1901年にイギリスで創業したロイヤルエンフィールドは、世界最古のバイクブランドとして長い歴史の[…]
SHOWAハイパフォーマンスシリーズキット体感試乗キャンペーン 東京都練馬区のK’s STYLE(ケイズ・スタイル)では、カワサキZ900/Z900RS用の高性能サスペンション「SHOWAハイパフォー[…]
人気記事ランキング(全体)
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
最新の投稿記事(全体)
2ストレプリカの原点にして、TZRへの橋渡し役だったRZシリーズ 最後の2ストロードスポーツを作るという情熱が込められ、1980年に登場したRZ250。同車が「最後」と言われたのは、環境問題も絡めて今[…]
ライディングポジション関連を変更。実用性もアリ!! 基本構成はCB1000ホーネット譲りだが、各部のパーツは専用品が多い。とくに注目すべきはスマートキーだ。ホーネットでは物理キーを鍵穴に挿し込む一般的[…]
“グリーン”と“無事かえる”で繋がる両者の魅力 「かえるのピクルス」は、ナカジマコーポレーションが生み出したオリジナルキャラクターで、1994年の誕生以来、その愛らしい姿と「always smile」[…]
スポーティ&ファッショナブルなブルー系が登場 ヤマハのスポーツ・ヘリテイジ(伝統・遺産)を標榜するXSRシリーズ。スーパースポーツやネイキッド」といった従来のカテゴリーを越え、レトロな外観やその背景の[…]
250A1、350A7に続く最速チャレンジャー真打ち登場!! 1966年に250ccA1サムライで、先行していたホンダCB72、ヤマハYDS3、スズキT20の性能を上回り、次いでボアアップした338c[…]
- 1
- 2