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ロイヤルエンフィールドはSNSで、突如発表されたゲリラ450。そして発表直後には、スペインのバルセロナでワールドローンチを開催。日本への導入は2025年とされる、ヒマラヤと同じプラットフォームを持つロードスターを小川勤さんが堪能してきた。
●文:ヤングマシン編集部(小川勤) ●写真:ロイヤルエンフィールド、小川勤 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド
要大型二輪免許の超個性派! 日本導入は2025年
ロイヤルエンフィールドのゲリラ450は、同社のアドベンチャーモデルであるヒマラヤと同じ452ccの水冷DOHC単気筒エンジンを搭載するロードスター。日本への導入は2025年を予定している。
スペインのバルセロナでワールドローンチを開催!
欧州やアジア圏ではKTMの390やハスクバーナの401、トライアンフの400シリーズをライバルに想定して開発。これらのモデルは総じて高スペックなだけに、そのつくりこみはとても真剣だ。
スタイルはネイキッドやスクランブラー的。日本では免許を考慮するとライバルは他国と同じにはならないが、そのパッケージは新しさに溢れている。前途した外車400シリーズとゲリラ450の最高出力は、すべて40ps。しかし、ゲリラ450は様々なシーンで『ライバル比+50cc』の優位性を披露。その排気量をアドバンテージとするトルクフルなエンジン特性が魅力だ。
車体はホイールベースが長く大柄だが、シート高はライバルよりも低く設定。この独特のバランスが、ロイヤルエンフィールド全車に共通する「アクセシビリティ(とっつきやすいバイク。乗ってみたいと思うバイク)」、「ピュアモーターサイクリング(バイク本来の楽しさ)」といったメーカーのスローガンをわかりやすく感じさせてくれる。
TESTER 小川 勤
様々な二輪専門誌の編集長を経てフリーランスのジャーナリストに。今シーズンは海外の試乗会やイベントに参加することが多い。
小柄な僕でもフィット感が良く、スタンドを上げた瞬間からホイールベースの長さによる安定感を感じられ、足着き性も良好。オプションでハイシートも用意されているので、大柄な方はそちらを試してみると、さらに軽快感を得られるはず。【身長165cm/体重68kg】
ゲリラ450の開発は、ヒマラヤと同じ2019年からスタート。シェルパと呼ばれるメーカー初の水冷単気筒エンジンは、時間をかけて育まれ、海抜5000m以上のヒマラヤ山脈でもテストを敢行。ヒマラヤとは燃調や点火、ファイナルなどを変更することで、ロードスターに合わせたセットアップを施す。
ヒマラヤと同時開発されたことで、そのタフさは折り紙つき。フレームは、懸架部分をヒマラヤと共通とするものの、ロードスターというキャラクターに合わせてキャスター角を立たせている。前後ホイールに17インチを採用し、スイングアームやシートレール、サスペンション、タイヤなどは専用品を採用する。
’70~’80年代からインスピレーションを受けたという超個性的なカラーリングも印象的。これがどのメーカーにも似ていないロイヤルエンフィールドだけの個性を発揮する。メインカラーとなるのは試乗している『イエローリボン』で、黄×黒×紫はかなり攻めた配色。しかし、バルセロナの美しい街並みや、夏の山々の緑や青空の景色に佇む『イエローリボン』はどのバイクよりも存在感を発揮する。ちょっとトレンドを先行しすぎている感じはするものの、一目でゲリラ450とわかる個性は、チャレンジングで面白い。
実際に目の前にしたゲリラ450は、17インチ採用モデルにしては少し大柄。しかし跨るとフィット感が抜群に良い。理想的といえる位置にハンドルとステップがあり、それは高いホールド性と安心感を約束。単気筒エンジン特有のスリムさもあり、どこか懐かしい感じもある。引き起こす際は、重量感があるものの、足着き性は良好。この時点で乗りやすそうなことが伝わってくる。
他の400ccクラスにない安定感の高さと余裕
バルセロナには建築士であるガウディの建造物がたくさんある。上は現在も建設中のサグラダファミリア、下はカサミラという直線部分がない賃貸マンション。ゲリラ450の独特のカラーリングが美しい街並みに映える。
試乗日は真夏。出発する頃には渋滞が始まっていた。ゲリラ450をゆっくりスタートさせると、各操作系は過度なタッチがなく好印象。サスペンションはコシがあり、車体剛性は高め。市街地でも国産車のこのクラスにはない応答性の良さがあり、少し大柄な車体は安定感に寄与。だからといって重さはない。
出力モードは「エコ」を選択。市街地では扱いやすさだけでなく十分な速さも披露。回転を上げなくてもスピードを乗せていく。そのフィーリングは、空冷時代から続くロイヤルエンフィールドらしい気持ち良さと、水冷ならではのレスポンスがバランスよく混ざった感じだ。
峠では出力モードを「パフォーマンス」に変更。すると3000rpm辺りに元気さが加わり、スポーティに。ただし予想以上にレスポンスするため、何となくスロットルを開けると驚く方もいると思う。
ハンドリングは穏やかだ。例えば390デュークと比較するとホイールベースは83mmも長いのだが、それが扱いやすさに貢献。また、シート高の低さはバイクの重心であるエンジンの近くに座っている感覚が強く、コーナリングのすべてでバイクとの一体感を得やすい。ライダーを急かさないし、難しさを感じさせにくい絶妙なバランスがある。
もちろんゲリラ450はスポーティな走りも大得意。車体サイズの割にポジションはコンパクトで、シートも自由度が高いからライダーが荷重バランスを変えやすい。フレームやサスペンションは、ライダーの積極的な操作を瞬時に理解してくれ、高荷重時もニュートラルという表現が相応しいハンドリングを見せる。タイヤは深いバンクも許容。立ち上がりでトラクションをかけた時の挙動は、スポーツバイクそのものだ。
市街地ではジェントルに、ワインディングではスポーティに!
確かにゲリラ450には、大型免許という壁がある。大型を取得したら大排気量に乗りたい気持ちもわかる。しかし、排気量ヒエラルキーから離れた方が幸せなバイクライフを送れる可能性もある。走り込むほどに、ゲリラ450なら頻繁にバイクに乗りたい気持ちにさせてくれるだろうし、走り出せば楽しいし、だからこそ上手くなるのも早いのでは? と思う。また、ベテランのダウンサイジングにもフィットするだろう。ゲリラ450だけの高バランス
が、色々なことを考えさせてくれる。
誰もが「ピュアモーターサイクリング」を感じられる1台。それがゲリラ450だ。
ゲリラ450は景色を見ながらクルージングすることもできるし、連続するカーブに没頭することもできる。ライバルの外車400ccのような鋭さはないものの、「ピュアモーターサイクリング」や「ピュアライド」を常に味わえるのだ。
ロイヤルエンフィールド ゲリラ450
主要諸元■ホイールベース1440mm シート高780mm 車重185kg(燃料90%)■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 452cc ボア×ストローク84×81.5mm 圧縮比11.5対1 40.02ps/8000rpm 4.08kg-m/5500rpm 変速機6速リターン 燃料タンク容量11L■ブレーキ形式(前・後)φ310mmシングルディスク×2ピストンキャリパー・φ270mmシングルディスク×1ピストンキャリパー■タイヤF=120/70 R17 R=160/60 R17
ゲリラ450は、新規カスタマーを獲得するためのロードスターとして誕生。開発においてはバイク業界や若い世代の市場調査はもちろん、ファッショントレンドも研究したという。ヒマラヤのタフさにカジュアルさをプラスしたネイキッドは、様々なバイクライフに応えてくれるはず。
ROYAL ENFIELD GUERRILLA450[2025 model]
3種類のグレードをラインナップカラーは’70-80年代からインスピレーションを得た5色
ゲリラ450は「アナログ」「ダッシュ」「フラッシュ」の3グレードを用意。アナログは針式メーターを採用し、カラーはスモークシルバーとプラヤブラック。ダッシュはTFTメーターを採用し、カラーはゴールドディップとプラヤブラック。フラッシュはTFTメーターを含めた多くの装備を採用し、カラーはイエローリボンとブラバブルーを展開する。そのカラーはかなり斬新! 日本導入は2025年の予定だ。
GOLD DIP
ゲリラ450・ディテール詳細
前後ショックはショーワ製&タイヤはシアット製
グレードによってメーターが異なる
ゲリラ450 は「アナログ」「ダッシュ」「フラッシュ」の3グレードを用意。「ダッシュ」と「フラッシュ」はトリッパーというスマホと同期させて使う簡易ナビを内蔵する液晶メーター(右)を装備。
フィット感の良いタンク&シート
ロイヤルエンフィールドのシートはとても考えられていて、ライダーが荷重を強めたい動きなどをレスポンスよく感じとってくれる。スチール製の燃料タンクの容量は11ℓ。バッグなども装着しやすそう。
灯火類はLED&USB-Cのソケットを装備
サイレンサーは超コンパクト
サイレンサーは超コンパクトでスリム。この手前にボックス形状の触媒を設けている。マスの集中を促進させた設計で、これがハンドリングを向上させる。
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