毎年のように新技術が投入され、日本の4メーカーが世界4大メーカーとして覇権を争っていた時代。フルカウルとセパレートハンドルが認可され、レーサ―レプリカ大航海時代が幕を開けた1983年、時を同じくして隆盛へと向かったのが50cc原付や250cc軽二輪クラスのオフロード車だった。
●文:ヤングマシン編集部
レーサーレプリカだけじゃない
レプリカブームと同時代に熱かったのはスクーター。奇想天外な排気バルブシステムや軽量ハイパワーの追求などにより、爆発的なヒットを飛ばして空前のバイクブームにおける販売台数のかなり大きな部分を担った。現代へと続くロングセラー・セローが登場したのもこの頃だ。
HONDA BEAT──初物尽くしの最強スクーター
水冷2ストローク単気筒をはじめ、密閉型のMFバッテリー、2灯式ハロゲンライトなどバイクで世界初の機構を満載したビート。当時の自主規制値上限である7.2psを叩き出し、ヒーローメカ然としたデザインも斬新だ。最大の特徴は、排気デバイスのV-TACS。ペダルを踏むと、サブチャンバーへの排気経路が閉鎖され、高回転パワーを促進する。
YAMAHA JOG──軽量ハイパワーで大ヒット
従来のスクーターとは一味違うスポーティな樹脂製ボディに、4.5psの強心臓を搭載したジョグ。乾燥重量49kgと軽量だった上に、発売当時はリミッターが非採用で、スピードメーターも70km/hまで刻まれるなどストリートで猛威を奮った。しかも10万円を切る価格だったため、1年半で約30万台という爆発的ヒットを記録したのだ。そのモデル名は現在も受け継がれている。
HONDA DJ-1──打倒ジョグNo.1でDJ-1?!
ジョグ登場から2年後、ライバルの打倒を目指してホンダが投入した意欲作。前輪を覆う大型のフロントカバーやウインカー一体型のヘッドライトなど、洗練されたデザインが特徴だ。さらに出力もジョグを上回る5.2psを発揮。前後タイヤもワンサイズ大きく、安定感に優れていた。車名は「打倒ジョグ1号機」が由来との噂も!
YAMAHA SEROW225──2021年まで続いたヤマハの良心、ベストセラートレール
’80年代中盤、オフロードでも高性能化が進む中、大自然を満喫できる走破性を狙ってリリース。エンジンはXT200の196cc単気筒をベースに223ccまで拡大。これは物理的な限界に加え、バランスを追求した結果、生まれた排気量だ。左右51度の大きなハンドル切れ角や良好な足着き性が好評で、都会のライダーからも人気を得た。
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