ロイヤルエンフィールドUSツアー・ピーターセンミュージアム訪問記②

「ベース車が何だか全然わからんぞ!!」銀幕に登場した魔改造バイクたち

2023年の末、ロイヤルエンフィールド・ショットガン650の国際試乗会でアメリカ・ロサンゼルスを訪れた編集部マツ。そのツアー中に訪れた「ピーターセン・オートモーティブミュージアム」には、数多くのオモシロ珍しい車両が展示されていたのでこれらを紹介していきたい。第二弾(第一弾はコチラ)は映画の劇中車として活躍した3台をピックアップする


●文と写真:ヤングマシン編集部(マツ) ●取材協力:ピーシーアイ ●外部リンク:PETERSEN AUTOMOTIVE MUSEUM

①バットサイクル【映画「バットマン」劇中車(1966年)】

バットマンシリーズ初の長編映画として1966年に公開された“バットマン”に登場。バットモービルのバイク版として今ではおなじみの存在だが、初登場はこの映画となる。

見ての通りのサイドカーで、コウモリをイメージしたであろうフェアリングやテールカウル、深いフェンダーやサイドカーの造形などには‘60年代らしいパストフューチャー感が漂っていて味わい深い。船側には脱出用?の小型バキーが仕込まれているのもギミック感があってステキである。

ベースとなっているのはヤマハ初のスーパースポーツとして1957年に発売されたYDS1の後継機種・YDS3(1964年)で、2サイクルの空冷2気筒は24psを発生。ヤマハが世界に先駆けて開発した分離給油システム「オートルーブ」の採用などで、速さと扱いやすさを両立させた1台として記憶される。

余談ながら、サイドカー側に3本並んだマフラーや色使いには、どことなく仮面ライダー1号のサイクロン号を感じさせる。初代仮面ライダーの放映は1971年だから、ひょっとしたら参考にしたのかも?!

シート表皮などは異なるものの、車両側はほぼノーマルのままカウリングやサイドカーを追加している模様。船側には小型バギーがビルトインされており、劇中ではバットマンの相棒・ロビンが乗車する。

【ベースモデル:ヤマハYDS3(1964年)】国産初の本格スポーツモデルとして、ワークスマシンYDレーサーをベースに開発されたのが1959年に登場したYDS1。YDS3はその3代目モデルで、立ち位置的にはRZやTZRのご先祖様と言える存在だ。
■空冷2サイクル並列2気筒 256cc 24ps/7500rpm 2.3kg-m/6000rpm 車重159kg 当時価格18万7000円

←”バットモービル”も展示されてました バットマンに登場する乗り物で、一般的に有名なのはこちらの”バットモービル”かと。写真は1989年の映画・バットマンに登場した車両で、こちらもピーターセン博物館の展示車。

②モト・ターミネーター【映画「ターミネーター4」劇中車 (2009年)】

“ターミネーター”シリーズの第四弾に登場した車両で、世界を制圧した人工知能ネットワーク“スカイネット”が用いるバイク型ターミネーター。2輪らしい機動性を活かして目標を追跡、攻撃する自律走行マシンという設定で、映画ではフルバンクしながら障害物を避け、標的を追い詰める様子が描かれる。

このモト・ターミネーターのベースとなっているのは、2009年に登場したドゥカティ モンスター1100S。2008年に登場したモンスター696に端を発する、2代目モンスターシリーズのフラッグシップモデルだ。

この2代目モンスター系の特徴は、従来型の鋼管トレリスフレームから、前半がトレリス、シートレール含む後半がアルミキャストのハイブリッド型にフレームを改めた点だが、このモト・ターミネーターは「ドコがモンスターなんじゃ〜!!」と突っ込みたくなるほど原型を留めていない(笑)。ベースにドゥカティを使う必要はあったのだろうか?

説明によると、ドゥカティのオリジナルエンジンとタイヤは残っているらしいが…。劇中では超巨大ターミネーターの足から分離して登場、自在に上下しながら目標物を狙撃する車体左右のガトリングガンの動きがカッコいい!!

ベースモデル:ドゥカティ モンスター1100S(2009年)鋼管トレリスとアルミキャストのハイブリッドフレームとなった2代目モンスターにおいて、最大排気量&前後にオーリンズ製サスペンションを奢った当時の最強グレード。ツインスパーク仕様の1078cc・空冷Lツインを搭載する。
■空冷4サイクルL型2気筒 1078cc 95ps/7500rpm 10.5kg-m/6000rpm 乾燥重量168kg 当時価格165万円

③ドゥカティ996【映画「マトリックス・リローデッド」劇中車(2003年)】

ドゥカティであることすら判別不可能な存在から、カラーリング以外はノーマルのドゥカティそのものという1台は、マトリックスシリーズ第二弾“マトリックス・リローデッド”にて、キアヌ・リーブス演じる主人公ネオの恋人役・トリニティ(キャリー=アン・モス)が駆った996。高速道路を逆走するバイクアクションをご記憶の方も多いだろう。

このドゥカティ996はショーワ製の前後サスを備え、タンデムも可能なSTDのビポスト仕様で、ノーマルとの違いはグリーンメタリックのカラーリング程度だが、後継機種の998でこのカラーリングを模したマトリックスバージョンが限定販売されている。

歴代ドゥカティでも屈指の人気モデルである916〜998系は、やはり稀代のエンジニアとして名を馳せる故マッシモ・タンブリー二の代表作。世界スーパーバイク選手権ではカール・フォガティやトロイ・コーサーが大活躍した速さに、世界中の2輪エンジニアに影響を与えたデザインを兼ね備えた、実も花も持つ名車の1台だ。

【ドゥカティ996】1994年に登場したドゥカティ916は、進化版の996〜998系を含めて世界中のメーカーに衝撃を与えたスポーツバイクの傑作。2眼ヘッドライトやセンターアップマフラー(これは1992年のホンダNRが先行したが)は後のスーパースポーツに大きな影響を与えている。端正なルックスだけでなく走りも超一流だった。
■水冷4サイクルL型2気筒 996cc 112ps/9500rpm 9.5kg-m/8000rpm 車重198kg 当時価格188万円(スペックは2001年型996モノポスト日本仕様)

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