
スズキは、昨秋のEICMA 2023で世界初公開したクロスオーバーモデル「GSX-S1000GX」を2024年1月25日に国内で発売すると発表した。2005年型のGSX-R1000に由来する4気筒エンジンを搭載し、スズキ量産2輪車では初めて電子制御サスペンションを採用。国内仕様はETC2.0車載器も標準装備だ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:スズキ
スポーツ×アドベンチャーの融合
スズキ「GSX-S1000GX」が1月25日に発売決定! EICMA 2023(ミラノショー)で世界初公開された新型クロスオーバーモデルが、電子制御サスペンションなどの装備そのままに国内にも投入される。
GSX-S1000シリーズの最新モデルとなるGSX-S1000GXは、スポーツツアラーとアドベンチャーを融合させたクロスオーバーモデルで、開発のベースとなったのはスポーツツアラーのGSX-S1000GT。ネイキッドのGSX-S1000やKATANAとも共通する並列4気筒エンジンは、2005~2006年型のGSX-R1000(通称K5)系をルーツとし、最高出力150ps/最大トルク10.7kg-mを誇る。
アルミ製ツインスパーフレームや、2012年型GSX-R1000から譲り受けたアルミ製スイングアームはGSX-S1000シリーズ共通で、前後17インチホイールも基本的に同じもの。サブフレーム(シートレール)はタンデムや積載に対応する強化版で、GTと共通と見られる。
アッパーカウルは新設計デザインとされ、左右2眼のポジションライトに縦2眼配置の六角形モノフォーカスLEDヘッドライトを組み合わせて新鮮な表情を演出。燃料タンクやフロントフェンダー、テールカウル、エンジンサイドカバーなどはシリーズ流用だが、全く異なるスタイリングに仕上がった。
SHOWA製電子制御サスペンションをスズキ独自にセッティング
トピックとなるのは電子制御サスペンションのくスズキアドバンスドエレクトロニックサスペンション(SAES)だろう。スズキの量産2輪車で初採用の電サスはSHOWA(日立アステモ)製EERAを下敷きとしており、6軸IMU/ホイールの回転センサー/サスのストロークセンサーで計測した情報をもとに制御される。前後サスのストロークは1/1000mm単位で計測され、減衰力は1/1000秒単位で自動制御されるというから驚きだ。
なお、サスペンション本体はフロントにSFF-CA倒立フロントフォーク、リヤにBFRC-liteモノショックという構成だ。
フロントフォークは左側にダンピングカートリッジを内蔵するセパレートファンクションタイプ。リヤショックはユニット上部にソレノイドバルブ、外部にモーターユニットを持つ。
このSAESには、路面変化に対する追従性をさらに向上して快適性を高めるスズキフローティングライドコントロール(SFRC)、車速に合わせて減衰力を調整するスズキベロシティディペンデントコントロール(SVDC)、ブレーキング時の余分な車体姿勢変化を抑制するスズキディセレーションダンピングコントロール(SDDC)が統合されている。リヤサスはプリロードも電子制御化されており、オートと3タイプのマニュアルモード(ソロ/ソロ+荷物/タンデム)から選択可能。オートでは減衰力も自動補正してくれる。
さらに、路面の凸凹状況に応じて減衰力を切り替える、スズキ独自プログラムのスズキロードアダプティブスタビライゼーション(SRAS)も導入。未舗装路での振動を抑えたスムーズな乗り味と、オンロードでのダイナミックなライディングを両立している。
スズキが先鞭を付けたパワーモード切替は統合的な「SDMS-α」に進化
2007年のGSX-R1000が量産2輪車で世界初採用したパワーモード切替「スズキドライブモードセレクター=S-DMS」は、SAESの採用とともに最新世代の「スズキドライブモードセレクターアルファ(SDMS-α)」となり、3段階の出力特性と7段階+オフのトラクションコントロールおよび4段階の電子制御サスペンション減衰量の統合コントロールが可能になった。
双方向クイックシフトシステム/作動中のシフト操作も可能なスマートクルーズコントロール/コーナリング時にABSを作動させて意図したラインのトレースを支援するモーショントラックブレーキシステム/下り坂でのブレーキング時にリヤタイヤのリフトを抑制するスロープディペンデントコントロールなども標準装備だ。
これらの制御にともなう情報を表示するのは、GTと同じく採用する6.5インチTFT液晶マルチインフォメーションディスプレイ。GTで採用したスマートフォン連携機能も継承しており、アプリを介することで地図やアドレス帳なども画面に表示できる。メーターの左側にはUSB充電ポートも搭載。
このほか、ライディングポジションはアドベンチャー系に近付き、ワイドかつライダーに近くなったハンドルバーや3ポジションに調整可能な大型ウインドシールドを採用。ハンドルバーやミラー、ステップをラバーマウントとし、シートもGTより15mm厚くしたことで快適性も向上した。
価格は200万円切りの199万1000円で、3つのカラーバリエーションが用意される。
GSX-S1000シリーズおよびVストローム1050によるライディングポジション比較。
ウインドスクリーンは50mm幅で調整できる(高さでは43mm幅)。
SUZUKI GSX-S1000GX カラーバリエーションとスペック
車名 | GSX-S1000GX |
型式 | 8BL-EK1AA |
全長×全幅×全高 | 2150×925×1350mm |
軸距 | 1470mm |
最低地上高 | 155mm |
シート高 | 830mm |
装備重量 | 232kg |
エンジン型式 | 水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ |
総排気量 | 998cc |
内径×行程 | 73.4×59.0mm |
圧縮比 | 12.2:1 |
最高出力 | 150ps/11000rpm |
最大トルク | 10.7kg-m/9250rpm |
変速機 | 常時噛合式6段リターン |
燃料タンク容量 | 19L |
WMTCモード燃費 | 17.0km/L(クラス3、サブクラス3-2、1名乗車時) |
タイヤサイズ前 | 120/70ZR17 |
タイヤサイズ後 | 190/50ZR17 |
ブレーキ前 | φ310mmダブルディスク+4ポットキャリパー |
ブレーキ後 | シングルディスク+1ポットキャリパー |
価格 | 199万1000円 |
色 | 青、黒、濃緑 |
発売日 | 2024年1月25日 |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
スズキGSX-S1000GXを購入したい! 車両販売情報はこちら
あなたにおすすめの関連記事
GTよりもスポーティで無印に近いエンジン特性 不思議だ。GSX-S1000GX(以下GX)で走り始めた瞬間、頭を捻ってしまった。このGXはスポーツツアラーのGSX-S1000GTがベースで、シリーズ共[…]
最新排出ガス規制に適合したK5エンジンを継承するグランドツアラー スズキの人気スポーツツアラー「GSX-S1000GT」にニューカラーが登場した。 双方向クイックシフターやクルーズコントロール、5段階[…]
名機“K5”エンジンを搭載して2015年初登場、2021年にモデルチェンジ スズキはGSX-S1000の2023年モデルとして新色を発表。全3色のうち新色はマットソードシルバーメタリックで、従来のグラ[…]
双方向クイックシフト搭載、クルーズコントロールは30km/hから設定可能に、そして新登場のDEは打倒アフリカツインの本格派! スズキは、国内向け2023年モデルとして、一部仕様変更を実施した「Vストロ[…]
SERT GSX-S1000 RACE の写真をまとめて見る 名車GSX-R1000(K5系)のエンジンを搭載するGSX-S1000がポテンシャルを開放 スズキ「GSX-S1000」は、2005年型の[…]
最新の関連記事(スズキ [SUZUKI])
スズキ×ストリートファイターのコラボ「GSX-8R」展示 スズキは、挑戦する世界中の⼈を応援し、ゲームによって⽣まれる喜びをたくさんの⽅に感じてもらうため、人気格闘ゲーム『ストリートファイター』とコラ[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
※同記事は、別冊オールドタイマー21号(2016年7月号)掲載の記事に加筆し、再構成したものです。 あえてベールに包まれたファルコ 以下は、元スズキ社員としてファルコラスティコ(以下ファルコと表記)の[…]
※同記事は、別冊オールドタイマー21号(2016年7月号)掲載の記事に加筆し、再構成したものです。 10年後を見据えた近未来モデル モーターショーは、各メーカーが登場間近の注目モデルや、自社の現状の技[…]
スズキRE-5 概要:”スズキの本気度”が伝わる高出力モデル ドイツの発明家ヴァンケル氏が考案したロータリーエンジンは、ピストンの往復運動により動力を生み出す従来方式のエンジンに対して、ローターが回転[…]
最新の関連記事(新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
3/14発売:スズキ「Vストローム800/DE」127万6000円~ スズキが製造する、並列2気筒エンジン搭載のミドルアドベンチャーが「Vストローム800」「Vストローム800DE」だ。 2025年モ[…]
往年の名車をオマージュしたヘリテイジにアドベンチャーバイクの原点が登場! BMWは、1170cc空油冷水平対向2気筒エンジンを搭載するヘリテイジシリーズに、『R 12 G/S』を投入する。BMWのホー[…]
シェルパの名を復活させたブランニューモデル カワサキが、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させたのは、2024年[…]
ラインナップ豊富な新生KLX230シリーズ カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させた。 KLX230[…]
BMWが打ち出すベテラン用オートマチック 違和感はなく、慣れという意識も必要なかった。走り出して10分もすると、僕はASA(オートメイテッドシフトアシスト)のコツを掴み、その機能をより効率良く活用する[…]
人気記事ランキング(全体)
2007年に「感動創造」をテーマにプレミアムなモーターサイクルを提案! 2007年の東京モーターショーに、ヤマハは異彩を放つショーモデルをローンチ。 その名もXS-V1 Sakuraと、和をアピールす[…]
英国生まれインド育ち:クラシック風味に全振りしたモデル 現存するオートバイブランドでは最古(大元のジョージ・タウンゼンド・アンド・カンパニーの創業は1851年! )と呼ばれ、1901年にオートバイの生[…]
カワサキが提案する、クリーンでファンな未来のパワーユニット=2スト! 世界中から注目を集める大阪万博。この巨大イベントはまさに国家プロジェクトだが、このイベントにカワサキが出展。 そのカワサキブースの[…]
フルフェイスが万能というわけでもない ライダーにとって必需品であるヘルメット。みなさんは、どういった基準でヘルメットを選んでいますか。安全性やデザイン、機能性等、選ぶポイントはいろいろありますよね。 […]
なんと“MotoGP全サーキット”を100均ハンガーで再現! 筆者はまったく門外漢なのですが、なんでも鉄道ファンには「乗り鉄」「撮り鉄」「模型鉄」など、趣味や嗜好によって、たくさんの棲み分けがあるんだ[…]
最新の投稿記事(全体)
大盛況だったサイン・ハウスブース 今年もモーターサイクルショーに登場した「サイン・ハウス」のブース。 ブースはシンプルで洗練されたデザインながらも、ひと目でギア好きの心をくすぐる雰囲気。 各製品に触れ[…]
初代はスポーツモデル:1975年ゴールドウイング(GL1000) 1970年代当時、巨大なアメリカ市場を独り占めしていた英国車をCB750フォアで一蹴したホンダだったが、Z1とそれに続く競合車の登場で[…]
フルフェイスが万能というわけでもない ライダーにとって必需品であるヘルメット。みなさんは、どういった基準でヘルメットを選んでいますか。安全性やデザイン、機能性等、選ぶポイントはいろいろありますよね。 […]
特別色と専用ロゴなどを配した『50th ANNIVERSARY』 ホンダは、1833ccの水平対向6気筒エンジンを搭載する大型プレミアムツアラー「ゴールドウイング ツアー(GOLD WING TOUR[…]
1998年モデル:初代1300はとにかく巨大だった ヤマハXJR1200、カワサキZRX1100といった、CB1000SFを超える排気量のライバル出現で、ビッグネイキッド界は重厚長大化していった。そん[…]
- 1
- 2