ヤングマシンに“白バイライテク”が帰ってきた! 平成の世において、ヤングマシンと警視庁がタッグを組み、白バイ隊員の驚くべきライディングテクニックを紹介し続けたことは、往年のファンならご記憶のことだろう。その名作動画シリーズが、ついに令和バージョンとして蘇った! 現役白バイ隊員の指導を受け、バイク声優“にゃんばちゃん”こと難波祐香さんとおじさんライダー代表の編集部員がステップアップを目指す!
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:警視庁
シリーズ第5回は「低速バランス」。教習所の“あの課題”に再会!
白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転のお手本として白バイ流のライディングに迫って来た。その成果のいくつかは現在もAmazonプライムビデオやU-NEXTで視聴可能だ。
そして今! WEB動画を活用して白バイ安全ライテクが復活! 白バイ流の鉄則を伝授してくれるのは、かつてヤングマシンの連載で読者の目から大量のウロコをひっぺがした、“あの”警視庁・片岡克介隊員だっ!
今回のテーマは「安定走行・低速バランス」。速度を上げれば直進安定性が増す2輪車にとって、低速はバランスを崩しやすい“鬼門”。どうしても低速走行ができない場合、極論すれば足をベタベタ着いたりバイクから降りて押したりすればいいのだけど、交差点の右左折や見通しの悪い交差点、上り坂の頂上付近など、「徐行」が義務付けられているような場所で毎度バイクから降りるっていうのも……。
ライダーの技術が十分なら、速度が低くてもフラつかずにバイクを操ることができ、徐行時にも余裕を持って周囲の安全確認ができる。つまり今回学ぶのは公道を安全に走行するための必修項目なのだ!
卒検以来!? 一本橋に挑戦! まさかの脱輪祭り……
まずは早速一本橋に挑戦! 教習所の課題ゆえ、免許取得の前からできていたはず……ところが! にゃんばちゃんも山形も、みごとに脱輪!
片岡隊員「難波さんは落ちちゃいけないというところに意識が集中してしまって、ハンドルを切ることができずに体でバランスを取ってしまっています」
体でバランスを取るな……だと?
片岡隊員「もう一度2輪車のバランスはどうやって取っているのか思い出してほしいんですが、どうやって取っているかわかりますか?」
にゃんばちゃん「バイクのバランス……?」
片岡隊員「自転車もバイクも理屈は同じです」
山形「カラダで……」
片岡隊員「実はハンドルでバランスを取っているんです。バランスが崩れたらその方向に下(接地面)を寄せなきゃいけない。運転操作としてどうすればそれができるかというと、ハンドル操作です。例えば、右にバランスが崩れ始めたら右にハンドルを切って接地面を右に持って行けばバランスが取れるわけですよね。左はその逆です」
にゃんばちゃん/山形「ほぉぉ……」
片岡隊員「ただし一本橋は幅が狭いですよね。でも30センチあるので、その幅の中でハンドルをしっかり切ってあげるってことなんですね。」
一本橋、ふたたび……ただし! アクセルもクラッチも使うべからず!
片岡隊員「ゆっくり走るってことを意識しすぎずに、30センチの幅の中でハンドルをしっかり切ってあげるってことに意識を集中してもらいたいので、アイドリングとリヤブレーキだけで、半クラッチを使わずに乗ってみますか」
にゃんばちゃん/山形「……」
片岡隊員「いいですか?」
にゃんばちゃん「……はい! どこまでもついて行きます、先生!」
まずは緊張の面持ちのにゃんばちゃんからチャレンジ! 続いて山形も続く。結果はムービーで確認されたし!
ひとつだけ、片岡隊員のアドバイスから重要なポイントをお伝えしておきたい。ひとつは“エンジンとの対話”の大切さ。他のエピソードでも繰り返し語られている通り、バイクの声をよく聞けばやるべき操作が見えてくるのだ。次に“ハンドルを意識すること”。これらに半クラッチを加えれば、より遅い速度で走行できるようになる。
みたび一本橋! 半クラッチを加えてタイム更新に挑む!
いよいよ一本橋の仕上げ、半クラッチを使ってのチャレンジだ。その結果は…..にゃんばちゃんは見事な走りでガッツポーズ、山形も何とかコツをつかんでご満悦!
白バイ隊員がMT-07で一本橋! タイムはなんと!
いよいよ片岡隊員によるお手本走行! 自分の走りをバイクのせいにしたい山形のゴリ押しによって、使用車両は山形と同じMT-07。白バイより低速トルクの細いバイクでの一本橋チャレンジ、その結果はムービーにて!
以上で今回のプログラムは終了。
にゃんばちゃん「久しぶりの一本橋で本番に対する弱さをお見せしつつも、アドバイスをいただいてからはいい感じになったのではないかと」
山形「最初はどうやってやるんだっけ? って感じだったんですけど、最後の方はちょっとコツをつかめてきたかなって思います」
片岡隊員「低速バランスに限らず、運転技術って練習してすぐに上手くなっていくようなものではないんですよね。練習を続けてもなかなか上手くならず横ばいの時期が続いて、ある日ふっと“こういうことか!”みたいに上手くなる。で、また横ばい。そしてまた上手くなる。私の経験上、これの繰り返しです。あきらめずに練習を続けてもらいたいと思います」
にゃんばちゃん/山形「はい」
片岡隊員「一本橋ほどの速度ではないにしても、公道には徐行しなければならない場所や状況がたくさんあります。そういうところで安定して徐行できるようになりましょう。一本橋のような技術があれば、そうした場面でも余裕をもって安全確認ができます。低速バランスの技術を高めて、より安全運転に近付いていただきたいと思います」
今回の動画はこちら↓
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(白バイ)
元警察官が体験を交えて“よくある言い訳/言い逃れ”を紹介 交通違反をして取り締まりを受けると「あぁ、チクショウ!」と悔しい気分になるものです。警察官に声をかけられると、やっぱり言い訳や文句のひとつもし[…]
制限速度1km/hオーバーでも“違反”にはなる 家族や友人とのツーリングやドライブ中に警察の取り締まりを受けたら、せっかくの楽しい気分も台なしですよね。「ノルマのために切符処理するんじゃなくて、注意す[…]
バイクは左にハンドルを切って停めるのが基本。でも右に切ってる白バイを見かけるけど… サイドスタンドを使ってバイクを停車させる際はハンドルを左に切る…、これは教習場での指導はもちろん、バイクの取扱説明書[…]
シリーズ第4回は「発進加速」。日常動作を見直してみよう! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転のお[…]
白バイライテク第3弾は「乗車姿勢」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転のお手本として白バイ流[…]
最新の関連記事(ライディングテクニック)
1964年頃からGPレースで始まった、内ヒザを開くスタイル ヒザ擦りどころかヒジ擦りすら珍しくなくなったレースシーン。そこまでアグレッシブでなくても、ワインディングでそんなに深くバンクしてないのに内側[…]
エンストを警戒する長い半クラッチだと自信がないまま キャリアの浅いビギナーはもちろん、そこそこ経験年数があっても、発進の半クラッチに自信がないライダーは多い。 典型的なのが、エンストを怖れて少しエンジ[…]
[A] 警戒心が強いほど1点を見つめてしまいがち。全体像を見る訓練を! コレ、じつは多くのライダーが陥りがちな事例で、ボクもやってしまうことがあります。 そもそもバイクで走り出すと、前輪のすぐ前の路面[…]
バイク運転の不安をなくすには“ゆっくり&やんわり”が一番効果的 バイクに乗っていると、何かのきっかけで不安が先に立つことは珍しくない。ましてや立ちゴケなどで心が折れると、ペースを落として走っていても、[…]
グリップ感はライダーが操作して得るもの 「グリップ感」や「接地感」という言葉をよく耳にするものの、体感としてはどういう感じであるのか、なかなかわからないものですよね。最初から難しく考える前に、グリップ[…]
人気記事ランキング(全体)
1441cc、自然吸気のモンスターは北米で健在! かつてZZ-R1100とCBR1100XXの対決を軸に発展し、ハヤブサやニンジャZX-12Rの登場からのちにメガスポーツと呼ばれたカテゴリーがある。現[…]
国内導入予定はないけれど……のZ125プロ カワサキは北米で2025年モデルを続けざまに発表している。ここで紹介するZ125プロは、金色に輝く倒立フロントフォークに加えて2025年モデルの濃緑にはゴー[…]
125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限[…]
海外市場は“ゴヒャク”で攻める? ヤングマシンが絶賛スクープ中のホンダ新型CB400。搭載される400ccの4気筒エンジンは完全新開発になるとの情報で、電動化が注目されるこのご時勢に、内燃機関でも攻め[…]
日本で登場したときの想定価格は60万円台か カワサキはタイに続き北米でも「W230}を発表。空冷233cc単気筒エンジンはKLX230のものをベースとしているが、レトロモデルにふさわしいパワー特性と外[…]
最新の投稿記事(全体)
ちょうどいい動力性能とチープさを感じない走り J-GP3クラスとしては2024年の今季3戦目となった全日本ロードレース選手権の筑波大会は、6月中旬に開催され、自己ベストラップタイムを更新して予選5位。[…]
Screenshot TRIUMPHオーナーはもちろん、他社のバイクでも参加OKだ 「TRIUMPH NATIONAL RALLY 2024」の会場は2023年同様、会場からの景色が美しく近隣に多くの[…]
日本で唯一の砂浜公道である、千里浜なぎさドライブウェイ。約8kmにわたる砂浜がまるで天然の道路のように広がり、車やバイクで波打ち際を駆け抜ける、珍しい爽快な体験ができるスポットです。ライダーにとっても[…]
人気のスポーツツアラーに排気量アップでさらなる余裕を カワサキは欧州と北米で、ニンジャ1000SXから排気量アップでモデルチェンジした「ニンジャ1100SX(Ninja 1100SX)」を発表した。エ[…]
2つのカラーバリエーションを刷新! 海外で発表されていた(海外のZ900RSにもある)グリーンボールの登場だ! これまでは1970年代にザッパーと呼ばれたZ650(空冷4気筒モデル)をオマージュしたカ[…]
- 1
- 2