
ヤマハが誇るスポーツ電動アシスト自転車、YPJ。今回、シリーズの最高峰となるYPJ-MTプロの’23モデルに試乗する機会を得た。フルサスペンションe-MTBの楽しさを、オフロードコースで堪能!
●まとめ:ヤングマシン編集部(東俊英 山形悠貴) ●写真:山形悠貴 ヤマハ発動機
ヤマハYPJ-MTプロ 概要
【YAMAHA YPJ-MT Pro(Mサイズ)】■全長1925 全幅790 サドル高830~1090(各mm) 車重23.5kg ■ブラシレスDCモーター 定格出力250W 電池電圧/容量36V-13.1Ah 変速外装12速 充電約3.5時間 ■タイヤF=27.5×2.6 R=27.5×2.6 ●色:青 ●価格:74万8000円
[◯] オフロードを駆け抜けるアシストならではの快感
最初に、電動アシストどころか自転車に乗ること自体が久々だったことを白状しておこう。今回試乗したモデルはヤマハのハイエンドということもあり、初めて補助輪を外した子どものように恐る恐る漕ぎ出したのだが、ドライブユニットの動力が繋がってからはスムーズに走行できてまずは一安心。
このアシストパワー、ドライブユニットに組み込まれたクワッドセンサーシステムがスピードや傾斜、入力トルク等を感知し、最適なパワーを供給する仕組み。5つあるモードのうち3つを自動で切り替えるオートモードは、並の平地ではギヤチェンジを忘れるくらいの賢さ&力強さを誇る。
さて、だが本モデルの真価はオフロードを相手取って走破すること。私にとって今回の試乗コースはなかなかハードで、その性能を満喫するのに充分すぎるくらいだった。目前に現れた冗談みたいな斜度の登坂には絶句しかけたが、砂利道にしっかり食い込むタイヤがアシストのハイパワーを路面に伝え、空転もせずスイスイ登る感覚は、ほとんど物理法則に逆らっているようにすら感じてひたすら面白い。
優秀な前後サスペンションのおかげで衝撃も少なく、着座したままどんどん攻めて行ける。終盤は思い切りテールスライドを試みながらコースを楽しむ自分がいた。
剛性感の高いボディとしなやかな前後サスペンションで凹凸路も難なくいなす。高性能だが扱いやすく、e-MTBビギナーでも周回ごとにコースの通過速度が上がっていくのが分かった。
【軽量化しつつトルクアップ】新搭載のドライブユニット、PWX3。フラッグシップのユニットとしてはヤマハ最小、最軽量ながら従来型よりも高トルク化を果たした。
【ディスプレイもコンパクト化】機能を絞り込み、アシストモードなどを表示するメーターを小型化。スイッチもコンパクトにしつつ扱いやすさを向上。USBポート付き。
【フロントサスペンション剛性向上】フロントサスペンションには、アウターケースの剛性を高めたROCKSHOX LYRIK SELECTを採用。ハンドリングがより安定。ストロークは160mmだ。
【ヤマハYPJ-MTプロ30thアニバーサリー:電動アシスト30周年を祝う記念車も!】ヤマハが電動アシスト自転車を商品化してから30年。これを記念した30台の限定車が2023年7月31日発売。同社オフロードバイクを彷彿する銀×青の色が特徴。専用エンブレムも装備だ。●色:銀 ●価格:75万9000円
[△] 価格にはやはり尻込み。ただしその価値はある
約75万円というフラッグシップにふさわしい価格だが、トランポしやすい軽二輪オフ車と見ればそこまで悪くないかも? 検討の余地アリだ。
[こんな人におすすめ] 電動アシストで自在にグラベルロードに挑戦する快感
久しぶりに自転車にまたがり、しかもオフロード走行にも大して慣れないという立場からのインプレッションだったが、アシストと豪奢だが軽量な車体を頼りに気軽にアタックしていけるのは掛け値なしに楽しかった。これは面白いぞ!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
シグナスシリーズ、20年の歴史を背負うニューフェイス 以前は空冷エンジン搭載のコンパクトな原付二種スポーツスクーターとして人気を博した「シグナスX」だが、水冷の新世代「シグナス グリファス」に交代した[…]
欧州仕様に準じた仕様でKYB製フロントフォーク、ウイングレット、ブレンボキャリパーなどを採用するR1 2026年シーズンをヤマハ車で戦うライダーに向け、サーキット走行専用モデルの新型「YZF-R1 レ[…]
鈴鹿8耐ヤマハブース、歴代マシンと最新鋭機が共演! 2025年に創立70周年の節目を迎えたヤマハが、6年ぶりに鈴鹿8耐にファクトリー参戦を果たし、会場は大いに盛り上がった。ヤマハブースでは、今年の8耐[…]
本格オフロードモデルDT系を原付のちょうど良いサイズでリリース! ヤマハは1968年、250ccの大きな排気量で初のオフロード用2ストローク単気筒エンジンを搭載した画期的なDT1をリリース、以来125[…]
最短2日間で修了可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付を除い[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
世界の二輪市場にBSA復活を知らせる2台の新型車 BSAブランドが再び動き出したのは2016年。自動車や二輪車、物流や不動産など多角的に事業を展開するインド/マヒンドラ・グループが、新たに起ち上げたク[…]
“クラシック”シリーズ初の2気筒モデル ミドルクラスでグローバルな存在感を増しているロイヤルエンフィールドは、空冷350cc単気筒シリーズと空冷650cc 2気筒シリーズを多数展開。これに水冷450c[…]
今回のツーリングで3337.2kmを走ったトレーサー9 GT+Y-AMT ①ACC&Y-AMTの組み合わせは高速移動が圧倒的にラクチン! 今回のインプレッションでは首都圏から北海道まで高速道路を使って[…]
“快適”と“スポーツ”を電サスで無理なく両立!! 超絶的な防風性にAT機構のDCT、グリップヒーターやコンフォートシートなどの快適装備。長距離を走るツアラーとして“疲れにくさ”にトコトンこだわったNT[…]
ピカイチの快適性を誇り、タンデムユースも無理ナシ ようやく全日本JーGP3の開幕戦が近づいてきて(記事制作時)、最近はバイクに乗るトレーニングもスタート。 筋力が増えたことで、これまで苦手だった車種で[…]
人気記事ランキング(全体)
ホンダ「CB1000F SE コンセプト」が鈴鹿8耐で世界初公開! 8月1日より予選が始まった“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプト[…]
日本では400だが、グローバルでは500(451ccエンジン)のエリミネーター 欧州でエリミネーター500/SEに新色が登場した。日本仕様でプラザエディションとしてラインナップされる『メタリックインペ[…]
キャッチニッパー :作業後のゴミが減り掃除が楽になる、切れ端を飛ばさないキャッチ機能付き 配線や結束バンドを切断した際に切れ端が飛び散るのは仕方がないというのが一般的な常識に対して、一方の刃にプレート[…]
鮮やかなブルーでスポーティな外観に 欧州においてスズキ「ハヤブサ」が2026年モデルへと更新された。アルティメットスポーツを標ぼうするマシンは基本的に2025年モデルを踏襲しながら、レギュラーカラーが[…]
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
最新の投稿記事(全体)
旅として楽しむ、ほっこりラリーイベント 「MOTHER LAKE RALLY」は、2023年に初めて開催され、今年で3年目を迎えるイベントだ。単なる速さや距離を競うラリーとは一線を画し、そのコンセプト[…]
RH1250S スポーツスターS:ダウンドラフト吸気の水冷Vツインを黒で統一 121HPを発揮するレボリューションマックス1250Tエンジンをオールブラックにし、精悍さを強調するデザインとなった202[…]
世界の二輪市場にBSA復活を知らせる2台の新型車 BSAブランドが再び動き出したのは2016年。自動車や二輪車、物流や不動産など多角的に事業を展開するインド/マヒンドラ・グループが、新たに起ち上げたク[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
400cc4気筒ブームの立役者、第3世代の直4を実現したカワサキの戦略 Z1/Z2系からZ650のザッパー系に続くカワサキ直4の第3弾がZ400FX。1980年代初頭に日本で巻き起こった空前のバイクブ[…]
- 1
- 2