
低価格かつ高機能で日本のアパレル業界を牽引する存在の一つとなったワークマンが、企業や大学とのコラボ製品を生み出す「快適ワーク研究所」を設立。そのラインナップの中から、ライダー向きのアイテムを紹介する。本記事では、“アイスマン水冷服”の製品概要と冷感効果について取り上げる。
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:山内潤也 柴田直行 ●外部リンク:ワークマン
メッシュジャケットとの組み合わせで涼しさ倍増! ワークマンの”アイスマン水冷服”
建築業界を皮切りに、今やアウトドアシーンにまで進出したファン付きウエア。電動ファンで衣服内に空気の流れを作り、汗を気化させて涼を得るこのシステムは、200億円もの市場規模になっている。非常に効果的な反面、ウエアが膨らんで見映えが悪い、猛暑下では熱い空気が循環するだけなど、いくつかの課題があるのも事実。
そこで登場したのが、氷などで冷やした水をホースで循環させるアイスマン水冷服だ。ベストタイプのこの製品、後ろ身頃にあるタンクに凍らせたペットボトルと少量の水を入れ、バッテリーを接続したら準備OK。スイッチを入れるとモーターによってポンプが駆動し、ベスト内側に張り巡らされたホース内を冷えた水が循環する仕組みだ。
水を使うとはいっても衣服や肌が濡れることはなく、ベタベタとした不快感は皆無。ホースを通じてシンプルに冷たさが伝わり、しかも冷却面積が広いので、効果は見た目以上といっても過言ではない。運転モードは3種類あり、もっとも冷える冷感アップモードのほか、20秒作動後に45秒停止する長時間使用モード、停止時間を90秒とした最長時間使用モードが、スイッチを押すたびに切り替えられる。
【ウィンドコアアイスマン水冷服】●価格:1万6800円 ●ポンプ出力:7.4V150mA(最大) ●バッテリー稼働時間:約7〜25時間(モードにより異なる) ●サイズ:F(胸囲80〜130cmに対応) ●付属品:リチウムイオンバッテリー(3350mAh)/充電ケーブル/取扱説明書
冷やされた水がシリコン製のホース内を循環することで、その冷たさを体に伝える仕組み。レーシングドライバーが暑い時期に着用するクールスーツと同じ原理だ。ホースはシリコン製のため柔軟性が高く、体に密着しても異物感や不快感はほとんどなし。ホースは平ゴムで支持されており、脱ぎ着の際にズレることはない。
吸汗速乾性などを持つ高機能アンダーウエアの上にアイスマンベストを着用し、その上にライディングジャケットを羽織るのが基本スタイルだ。ペットボトルの入ったものを背負うのでややボリューム感があり、ジャケットが窮屈になる可能性もあるので要確認を。
タンクに約150mlの冷水を入れて使用。凍らせたペットボトルや氷、小さな保冷剤などを入れてこれを冷却する。ペットボトルなら650mlサイズまで対応し、連続運転モードで冷たさが約2.5時間持続する(環境温度約33℃)。
付属の3350mAhリチウムイオンバッテリーは2.0Aの出力端子を持つ。連続モードで約7時間、20秒作動〜90秒停止の最長時間使用モードなら約25時間の使用が可能だ。
後ろ身頃の最下部にモーター駆動のポンプが収納されている。ベストを洗濯する際はこのポンプをはじめ、タンクやバッテリーをあらかじめ取り外してから手洗いを。
タンクは非常に柔軟なTPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)製だ。これを収納する部屋はアルミ生地+ポリウレタンによる保冷構造を採用し、温度上昇を軽減。
体に密着するように前身頃やサイドのベルトで微調整を。着用の際にショルダーベルトが裏返っていると、ホースが折れて水が止まり、故障の原因となるので要注意。
赤外線サーモグラフィーで冷却面積の広さを可視化!
凍らせたペットボトル(650ml)を含む使用時の総重量は約1.5kg。決して軽いとは言えないが、ベルトを調整して体に密着させると、重さはほとんど気にならないレベルになる。
スイッチを入れると、モーター駆動によるかすかな微振動が伝わり、少しずつホースの冷たさが体に伝わってくる。ペルチェベストのスポット的な冷たさとは対照的で、こちらは腰から上の体幹がまんべんなく冷えてくる。ライダーにぜひ試してほしい秀作だ。
タンクに入れたのは凍らせたペットボトルで、スイッチを入れるとホースの表面温度は20度台まで低下した。ホースが体に触れている面積が広いのと、走行風が当たる胸元まで冷やされるので、効果は抜群だ!
さらなる冷たさを求めるのなら、凍らせたペットボトルではなく氷を入れよう。タンク内部の水は約2度まで下がるので効果は倍増だ。なお、氷の補充時は溶けた分の水を捨てること。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(夏の暑さ対策)
夏ライダーの悩みを解決する水冷システム 酷暑の中、ヘルメットやライディングウェアを身につけて走るライダーにとって、夏のツーリングはまさに過酷のひとこと。発汗や走行風による自然な冷却だけでは追いつかない[…]
水に濡らすだけでひんやり感バツグン このクーリングタオル、まず特筆すべきはその使いやすさだ。使い方はいたってシンプルで、タオルを濡らすだけ。水さえあればどこでもクールダウンが可能で、ツーリング中に立ち[…]
通気性と耐久性を両立する素材選び 本商品は、表地にポリエステルメッシュとカウレザースエードを組み合わせることで、優れた通気性と高い耐熱/耐摩耗性を実現しています。春夏のツーリングでもムレにくく、快適な[…]
CoolMax素材で快適な着用感を実現 「コミネ クールマックスRフルフェイスインナーマスク AK-090」は、暑い季節や激しい運動時でも皮膚の温度を33.3度に近づけてくれる快適吸汗/即乾素材「Co[…]
フリーズテック史上最高の冷感「氷撃α」シリーズ フリーズテックから登場した「氷撃α」長袖クルーネック冷感シャツは、シリーズ史上最高の冷感性能を誇る最新モデルです。生地表面に特殊な冷感プリント加工を施す[…]
最新の関連記事(ワークマン)
最新モデルはペルチェデバイスが3個から5個へ 電極の入れ替えによって冷却と温熱の両機能を有するペルチェ素子。これを利用した冷暖房アイテムが人気を博している。ワークマンは2023年に初代となる「ウィンド[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
コーデュラ(R)ユーロ3Dメッシュジャケット:プロテクションと通気性を両立 ライダーの安全と快適を追求した一着。腕部分には耐摩耗性に優れたコーデュラ(R)素材を採用。万が一の転倒時にもダメージを軽減す[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
コラボモデルは継続販売、新作も生地は同スペックだ 昨年、Honda二輪デザイナー監修の「イナレムプレミアム レインジャケット ライディングモデル(4900円)」を発売したワークマン。これが大好評だった[…]
人気記事ランキング(全体)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
最新の投稿記事(全体)
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
「走る」を変える次世代の相棒 一般的なガソリンバイクが燃料を燃焼させてエンジンを駆動するのに対し、電動バイクはバッテリーに充電した電気でモーターを回して走行する。そのため、排気ガスを一切排出しない、環[…]
赤サビの上から直接塗って黒サビに転換。愛車を守るBAN-ZIのラストロックシステム 【RUSTLOCK(サビ転換下処理剤)サビキラープロ】赤サビの上から直接塗ることで黒サビに変化する転換剤機能と、上塗[…]
FLHCヘリテイジクラシック:美しいスポークホイールは新作チューブレス仕様だ! クラシックテイストは、伝統あるブランド・ハーレーダビッドソンにとっては大きな魅力であり、誇るべきポイントと言えよう。 ラ[…]
4気筒の「ニンジャZX-R」、2気筒「ニンジャ」計6モデルに10色を新設定 カワサキは欧州でフルカウルスポーツ「ニンジャ」ファミリーのうち、4気筒モデル「Ninja ZX-6R」「Ninja ZX-4[…]
- 1
- 2