欧州ヤマハは、YZF-R1(欧州名:R1)が2023年に誕生25周年となることを記念して、サーキット向けのスペシャルモデル「R1 GYTR PRO 25th Anniversary Limited Edition」を限定25台で発売すると発表した。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
手作業で組み立てられる、可能な限り世界選手権に近い使用
トップライダーのトプラック・ラズガットリオグル選手と同じプロセスで個々のライディングスタイルに合わせたセットアップをしてくれるという、幸運な25名のライダーにとってはたまらない使用のR1が欧州で発売される。
欧州ヤマハが発表した「R1 GYTR PRO 25th Anniversary Limited Edition」は、YZF-R1(現在の欧州名:R1)が誕生25周年を迎えたことを記念して製作されるスペシャルモデルだ。その仕様は可能な限り世界選手権レベルのレースバイクに近いもので、25名のオーナーはそれぞれ、ヤマハの専任技術者のチームとともにレーストラックで1日を過ごし、初期セットアップの後にはそれぞれのライディングに合わせてセットアップを調整してもらえるというのだから羨ましい。
このバイクはワールドスーパーバイク選手権でタイトルを獲得したマシンの開発を担当したYMRE(ヤマハモーターR&Dヨーロッパ)のエンジニアが設計した、GYTR(純正ヤマハテクノロジーレーシング)PROパフォーマンスパーツによって仕立てられる。
GYTR PRO パフォーマンスパーツには、低重心化を促進する改良型の燃料タンク、マニエッティマレリECU、それらをマウント可能な軽量カーボン製サブフレームが含まれるが、さらにレーシングライダーと同じレベルのセッティングが可能なオーリンズ製のFGRフロントフォーク&空気圧プリロードアジャスター付きTTXリヤショック、そして専用スイングアームや記念カラーが施されたカーボンファイバーのフェアリング、エアロダイナミクスに優れたスクリーンなどを装備する。
また、GYTR PRO 電子制御システム(GPES)モジュールはエンジン制御とデータ収集のための最新パッケージであり、アンチウイリー、ローンチコントロール、エンジンブレーキコントロール、トラクションコントロールシステム、燃料供給の調整が可能だ。
これらのパーツの開発には、ヤマハでワールドスーパーバイク選手権を制したトプラック・ラズガットリオグル選手のほか、アンドレア・ロカテッリ選手、そしてテストライダーのニッコロ・カネパ選手が関わっている。また、2021年秋のEICMAではヴァレンティーノ・ロッシがGYTR PROパフォーマンスパーツを搭載したR1を贈呈されたことでも知られている。
製作されるのはたった25台ということで、予約受付から秒殺でなくなってしまうだろう。こうしたモデルがリリースされるのは、やはり欧州にレース文化が根付いていることを感じさせる。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
地元ファンの前で One More Lap(ワン・モア・ラップ) EICMA 2021の会場にバレンティーノ・ロッシが現れた!これはグランプリ最終戦よりも後に開催されたからこそ。たとえば2019年のE[…]
クロスプレーンクランクの4気筒エンジン搭載、2021年はスーパーバイク世界選手権のタイトルを獲得 ヤマハは、欧州で9月に競技向けキット組み込み車「R1 GYTR」を、そして10月に北米で市販スーパース[…]
ウイリー制御とブレーキング時の安定性を向上 2015年にフルモデルチェンジし、完全新設計のエンジンと車体を採用したYZF-R1/R1Mは、2021年モデルで大掛かりなマイナーチェンジを受け、さらに戦闘[…]
欧州ヤマハことヤマハモーターヨーロッパ(YME)と、世界耐久で名を馳せたヤマハオーストリアレーシングチーム(YART)GYTR(Genuine Yamaha Technology Racing=ヤマハ[…]
公道版R6は、2020年モデルを最後に欧州からも北米からも撤退していた 日本では逆輸入車として2020年モデルが導入されたのを最後に、新車ラインナップから姿を消したYZF-R6。欧州や北米でも同様の動[…]
最新の関連記事(YZF-R1/M)
2023年の世界チャンピオン、2024年は総合2位の『Yamalube YART Yamaha EWC Official Team』 ヤマハモーターヨーロッパ(YME)とヤマハオーストリアレーシングチ[…]
1位:ヤマハが新フラッグシップ「YZF-R9」を正式発表 ヤマハは欧州と北米でYZF-R9を発表した。専用にセットアップされたサスペンションやブレンボ製キャリパーを標準装備。R6を上回る空力性能を有し[…]
欧州仕様に準じた仕様で新型フォーク、ウイングレット、ブレンボキャリパーなどを新採用したR1 2024年9月19日に欧州で発表された「R1 RACE」に続き、日本国内でもサーキット走行専用モデルの新型「[…]
ダウンフォースでウイリー抑制、コーナー進入とブレーキング時のフィーリングを向上する スーパーバイク世界選手権を戦うヤマハR1に早くも新作ウイングレットを投入だ! ヤマハ系トップチームのPata Pro[…]
R1とR1Mで変更内容は異なる ファイナルエディションが登場しそうとか、スーパーバイク世界選手権でのパフォーマンス向上のためモデルチェンジするのではないかなどさまざまな情報(憶測?)が飛び交っていた「[…]
最新の関連記事(新型スーパースポーツ)
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
2018 カワサキ ニンジャ250:電スロなしで全域をカバー/限界性能もアップ(ヤングマシン2018年1月号より) 伸び上がる! レッドゾーン以降もキッチリ回り、従来型より明確に高回転パワーがアップし[…]
YZF-R9の開発者・お二人にインタビュー スピンフォージドホイールを非採用の理由とは? (前編から続く)編集部:エンジンですが、内部部品や吸排気系も含め、基本的にはMT-09と共通です。YZF-R9[…]
ステップアップの階段・R7の成功が生んだR9 YZF-R9の開発者・お二人にインタビュー 編集部:まずはYZF-R9(以下R9)の企画経緯や狙いを教えてください。 兎田:他社さんを含めてスーパースポー[…]
人気記事ランキング(全体)
私は冬用グローブを使うときにインナーグローブを併用しています。防寒目的もありますし、冬用グローブを清潔に保つ目的もあります。最近、長年使い続けたインナーグローブが破れてしまったこともあり、新品にしよう[…]
TRIJYA(トライジャ):カフェレーサースタイルのX500 パンアメリカやナイトスターなど水冷ハーレーのカスタムにも力を入れているトライジャ。以前の記事では同社のX350カスタム車を掲載したが、今回[…]
高回転のバルブ往復にスプリングが追従できないとバルブがピストンに衝突してエンジンを壊すので、赤いゾーンまで回すのは絶対に厳禁! 回転計(タコメーター)の高回転域に表示されるレッドゾーン、赤くなっている[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
最新の投稿記事(全体)
振動、路面を蹴飛ばす感じ、エンジンで走らせる気持ちよさ バイクはエンジンを懐に抱えて走るような乗り物だ。単純にライダーとエンジンの距離が近いことがエンジンの存在感を大きく感じさせるだけではなく、エンジ[…]
何よりも高耐摩耗性の実現 圧倒的な耐摩耗性を誇るのが、アルミめっきシリンダーの大きな特徴である。iB井上ボーリングが、アルミめっきスリーブを作ろうと考えた最大の理由は、同社の社是でもある「減らないシリ[…]
ベテランカメラマンに「これはアートだ」と言わしめる流麗なフォルム リヤタイヤが路面を蹴り飛ばすかのような、豪快で胸の空く加速フィールはスタートダッシュだけではなく、速度レンジが上がってからもまだまだ続[…]
Screenshot 未塗装樹脂の白化 バイクのミラーや泥除け(フェンダー)、樹脂製リアボックスなどに使われている黒い未塗装樹脂部品。ここに使われている素材の多くは「ポリプロピレン」という軽くて丈夫な[…]
スイングアームにスプールを装着できれば、アドベンチャーやオフ車でもガレージREVOが使える スーパースポーツモデルやビッグバイクユーザーのみなさんからご好評をいただいているガレージREVOは、バイク置[…]
- 1
- 2