
スズキ車を駆り、全日本選手権や鈴鹿8耐などで名を馳せた川島賢三郎氏が率いるケンツが、2年半前に続いて再びRG500Γの令和最新カスタムを完成させた。今度はK・シュワンツが駆った’88ペプシV-Γがモチーフだ。こだわりのシルエットに刮目!
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:山内潤也 ●外部リンク:ケンツスポーツ
オリジナルのバランスを忠実に再現してみせる
ケンツが’80年代2ストレプリカの最高峰RG500Γに当時のXR45外装をまとわせた、HB(ハーベイ)カラーのカスタム車を仕上げたのはヤングマシン本誌の’21年1月号のこと。これを見たオーナーからの「自分のΓもこのレベルでカスタムしたい」という熱い想いに応えて製作したのが今回のマシンだ。
オーダー内容はK・シュワンツのRGV-Γレプリカ。そのために外装はケンツ秘蔵のワークスパーツから新たに起こされた。とは言え、ワークスV‐Γと市販の500Γではフレームもエンジン形式もまったくの別物。V‐Γ外装のバランスをいかに忠実に再現するかに作業期間の大半が費やされたという。その間には浜松にあるスズキ歴史館に足を運び、展示されている実際のワークスマシンをつぶさに調査したとか。
2年以上をかけて完成したマシンには、車体面でもケンツのこだわりのノウハウがビッシリと投入。姿も走りも極上のΓが誕生した。
スタイリング
【KENZ RG500Γ】
【外装類は「本物」がベース】モチーフはK・シュワンツがWGP500で駆った’88年のRGV-Γ(コード名XR74)。スポンサーカラーのペプシは、続くラッキーストライクにも負けない人気を今も誇っている。
シャーシ
【カウルを脱いでも惚れ惚れクオリティ】フレームに関してはシートレール部をシートカウルとチャンバーに合わせて新作したものに交換。足まわりは前後ともごっそり交換されているが、マシン製作に長けたケンツらしく車体姿勢はXR74に可能な限り近づけることで、ハンドリング性能にもこだわっている。
エンジンまわり
【2ストらしいハイパワー】ノーマルながら、キャブセットがバッチリ決まったエンジンは1万2000rpm近くまで軽く回り、ダイナモで103~104㎰を発揮。数々の500Γを手掛けた川島氏も”速い!”と太鼓判だ。
【レーシーそのもの!】チャンバーはケンツが持っている寸法データを元に、ワンオフで製作されたもの。輪切りの溶接痕や管長バランスを整えるためのクロス取り回しなどが実にレーシー。
足まわり
【当時風の足まわりを純正パーツで再現】ワークスと同じマルケジーニ3本スポークホイールは廃盤のため、某車種のものをロゴ削りなどの加工をし装着。足まわりは多機種の混成仕様。Fディスクは丸穴タイプをサンスターに特注、RキャリパーはAPだ。
湾曲スイングアームはRGV250Γ(VJ22)を流用。VJ22でも後期は通常タイプのアーム形状となったので、程度のいい湾曲タイプは入手も困難だとか。
主要装備
【コクピットも当時感を追及】フレーム形状が異なるためカウルステーなどはそのまま再現とはいかなかったが、可能なかぎり「当時感」を演出。トップブリッジはSTDをハンドメイドで切削加工し“味”を出す。
【タンクもシートも見事にフィッティング】燃料タンクはRGV250Γ(VJ22)のものを加工して装着。フューエルリッドもレーシング仕様に改められている。シートカウルは取付角度もオリジナルの再現に心血が注がれた。
【見えないところも!】シートレールやチャンバー、燃料タンク下の2ストオイルタンクなどなど、カスタムを超えたクオリティのワンオフパーツ類が、機能とともに所有感をもとことん満足させてくれる。
元ネタは’88年ワークスマシン
モチーフはK・シュワンツがWGP500で駆った’88年のRGV-Γ(コード名XR74)。スポンサーカラーのペプシは、続くラッキーストライクにも負けない人気を今も誇っている。
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