
バイクメーカーがユーザーと直接つながり、その意見を車両や用品にダイレクトに反映させていく…。ヤマハ発動機が近日公開を予定する「YAMAHA MOTOR LAB. For R7」は、メーカーが主催するYZF-R7ユーザーのファンコミュニティWEBサイト。既にプレオープン済みで、多数のユーザーによる投稿が活発化しているこのコミュニティサイトの初オフ会に潜入してきたぞ!
●文と写真:ヤングマシン編集部(マツ)
すでに企画も進行中!「ユーザーとの共創」を目指す新チャレンジ
「ヤマハモーターラボ For R7」は、ヤマハがYZF-R7ユーザーとの新たな関係性を目指して立ち上げたファンコミュニティWEBサイト。まだ正式発表前なのだが、プレオープン済みのサイトには既に600名以上のR7ユーザーが登録しており、活発な投稿で盛り上がりを見せている。
このサイトで注目したいのは「ユーザーとの共創」をメーカーであるヤマハが掲げている点。つまりR7のユーザーと直接つながって、彼らのアイデアや希望をヤマハのプロダクトに投影させていこう…というチャレンジなのだ。大きなくくりではマーケットリサーチとなるのだろうが、メーカーが主導して、直接ユーザーの声を聞く場を作るという試みは、国産メーカーではおそらく初めてのことだろう。
当サイトのプロデューサーであり、さらにYZF-R7のデザインプロデューサーでもある木下保宏さんは「ヤマハは企業目的として“感動創造”を掲げていますが“バイクを買っていただきました。終わり”では感動は生まれにくい。当サイトはお客様と直接つながって、ご購入後のモーターサイクルライフ全体までデザインしたい。それがお客様の満足感や、本当の意味での感動に繋がると考えています」と語る。
現在このサイトではR7ユーザー同士の交流をメインに、サイト内限定の開発者インタビュー動画が公開されているほか、サイトのステッカーデザイン案や、今年のモーターサイクルショーで展示予定という革ツナギのデザインに意見を募るなども行われた。メーカーのプロダクトにユーザーの意見を反映させる“共創”は既に始まっているのだ。
YZF-R7のファンコミュニティWEBサイト「ヤマハモーターラボ for R7」のトップ画面。オーナー同士が交流する場の提供をメインに、ヤマハ側からのコンテンツも展開。“共創”の提案は「From ヤマハ発動機」というコーナーで行われている。
左のレーシングスーツは2案が提示され、ラボ登録者による人気投票を実施(結果はA案に)。右は共創第一弾となったラボのステッカー。4案から1案に絞り込む投票が実施されたが、1位と2位が僅差だったため2つとも製作。MT-10のタンクに貼られるロゴと同製法で作られており、金属調の質感が非常に美しい。さすがメーカーの仕事!
オフ会は、メーカーならではの仕込みも多数!
今回はこのサイトで活動しているユーザーさんから情報をいただき、2月23日にヤマハ本社で開催された当サイトの「ゆるっとオフ会」に参加してきた。ちなみに、事前の参加表明は必要だが参加費は無料で、各地から約30名のR7オーナーが参集した。
昨秋の「ヤマハモーターサイクルデー2022」でお披露目された「YZF-R7 SP」のアンベールから始まった初オフ会は、その名の通りのゆるっとした和やかな雰囲気。しかし、木下さんの司会で進行した約2時間のプログラムからは、穏やかな空気の中で様々な“共創の芽”が感じられるものだった。
まずは共創企画第一弾のステッカーが配布されたが、これは前述のとおり、メーカーならではのクオリティのものだったし、共創第二弾・特製レーシングスーツデザインの意見募集中に寄せられた「ヘルメットも欲しい!」という声を受けてヘルメットのデザインもスタートしていたそうで、この日、共創の第三弾として3つのデザイン案も初お披露目されたのだ。
このオフ会にはR7の開発陣も数多く姿を見せており、R7が採用する破断分割式コンロッド(通称かち割りコンロッド)の現物を担当者が自ら解説したり、開発者をつかまえて首っ引きで話し込み、自らの疑問をぶつけるユーザーも多数。 特に開発者と直接話が出来るという経験は、ユーザーからすればとても貴重であり、バイクを買った後の満足感に直結するものだろう。
YZF-R7 SPをアンベールしたのは、以前からツイッターでR7の情報発信を行い、サイト立ち上げにも関わったメンバーのTWINさん(左)と、MT-09系などのプロジェクトリーダーである北村悠さん。その後はサイトのプロデューサー・木下保宏さんの司会進行で和やかに会が進む。
会場にはR7の開発に携わったヤマハのスタッフがズラリ(左)。右は展示された”かち割りコンロッド”の説明を受けるR7オーナーさん。各所で開発者の話に聞き入るオーナーの姿が展開されていた。
こちらは当日、お披露目されたヘルメットのカラーリング3案。その場ですぐに人気投票もスタートするという展開の速さ!
参加者全員で「7」のハンドサインを作って記念撮影!
オフ会参加者の声
「R7、大好きです!」と語るアメリカ出身・日本に来て11年という“にんげん”さんは、奥様と一緒に東京から自走で参加。サーキット走行が好きなため、アグレッシブなライディングポジションやクイックシフターを持つR7に惚れ込んでMT−07から乗り換えたのだそう(その07はそのまま奥様の愛車に)。ツインエンジンのサウンドや、アップグレードされたサスペンションもお気に入りだという。
紫のオリジナルカラーが目立っていたShotaroLocoさんは千葉県から参加。紫が好きで、映画に出てきた紫色のドゥカティ・パニガーレもカッコ良かったが、YZF-R1やR6などのヤマハデザインへの憧れもあり、一目惚れしたR7を購入後すぐにオールペン敢行! CBRの600や1000の他にハーレーの所有歴もあり、そろそろ楽なバイクに…とも思うが、やっぱりスーパースポーツがカッコいいのだという。
YZF-R25に乗っていたが、YSPでR7のカタログを見て一目惚れ。そのまま大型免許を取りに行ったという天羽(あまは)さんは静岡県からの参加。街中や峠で扱いやすい上に長距離走行でも疲れず「ステップアップには最適だったし、すごく楽しい!」と語る。派手になりすぎないよう、色使いに配慮しながらマフラーやステップなどのカスタムも進行中。お気に入りポイントは市販車初の純ラジアルポンプ式ブレンボマスター、となかなかにマニアック!
静岡県から参加のおだみさん。バリオスから乗り換えたR7は初の大型だが「ホントはR6が欲しかったけど、4気筒の大型は難しいかなと」2気筒に。見ての通りの可憐な容姿だが、お父様がRZV500R乗りの影響なのか、1988年式のスズキ・ウルフをレストア中で「中におじさんが隠れてるかも?」と語るナイスなキャラクター。2りんかん勤務の知識を活かし、姉から引き継いだYouTubeチャンネル「おだみバイクちゃんねる」も運営中だ。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
POP吉村の孫が始める新しいプロジェクト よく知られているように、ヨシムラとスズキのパートナーシップは現在も強固なものだが、アメリカにおいては少し様子が異なる。2019年にアライアンスを解消し、現地で[…]
メーカーだからできる、ヤマハだから見せてくれる またがり車両が置かれ、用品やパーツメーカーのブースがあり、ケータリングの屋台が並ぶ。このへんは数多あるバイクイベントと変わりないのだが「さすがメーカー主[…]
2009年3月4日に、東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授(以下川島教授)によって、世界初となる「二輪乗車と脳の活性化の関係」の実験結果(第一回目)が発表された。 東京の発表会場にはバイク関連メディア[…]
看板のないビル6階、扉を開くと屋上空間が出迎えてくれる シンイチロウ アラカワの新しいアトリエ兼ショップに、私はすぐに辿り着けなかった。ビル前に看板もなかったため、気づかずに一度素通りしていたのだ。 […]
世界共通の目標設定で大きく変化しているジェンダー平等 昨今SDGsが取り上げられ、さまざまな企業やプロジェクトで目にすることが増えた。2015年に国連サミットで採択された「Sustainable De[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
ライバル勢を圧倒する抜群のコーナリング性能 ’80年代初頭のヤングマシン紙面には何度もRZが登場しているが、デビュー当初のRZ250の実情を知る素材としてここで選択したのは、’80年11月号に掲載した[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
デザイナーの“眼”は何を捉えたか? 今回紹介するのは、ただのロゴ入りTシャツではない。なんと「数々のヤマハ車を手掛けてきた車体デザイナー本人が描き下ろした」という、正真正銘のデザイナーズスケッチTシャ[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
TZの技術を転用しながら独創的な思想を随所に注入 伝統の2サイクルパラレルツインという構成を維持しつつも、数多くの新技術を導入したRZ。中でも最もインパクトが大きかったのは、市販レーサーTZを踏襲する[…]
最新の関連記事(YZF-R7)
欧州では価格未発表だが、北米では前年から200ドル増の9399ドルと発表 ヤマハは北米で新型「YZF-R7」を発表。欧州で発表された新型「R7」にモデルチェンジ内容は準じつつ、北米独自のカラーリングで[…]
スポーツライディングの登竜門へ、新たなる役割を得たR7が長足の進化 ミラノで開催中のEICMA 2025でヤマハの新型「YZF-R7(欧州名:R7)」が登場した。2026年から従来のワールドスーパース[…]
“スキニープロポーション”が際立つスリムなデザイン YZF-R7を前にして改めて驚かされるのは、そのスリムなプロポーションだ。同じエンジンとメインフレーム(フレームの違いについては後述)を共用するMT[…]
グラフィック変更のブルー、完全新色のダークグレーの2本立て ヤマハがYZF-R7の国内2025年モデルを発表した。すでに北米などで発表されていたニューカラーで、前年の3色ラインナップから2色に統合され[…]
グラフィック変更のブルー、完全新色のダークグレーの2本立て ヤマハがYZF-R7の国内2025年モデルを発表した。すでに北米などで発表されていたニューカラーで、前年の3色ラインナップから2色に統合され[…]
人気記事ランキング(全体)
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
止められても切符処理されないことも。そこにはどんな弁明があったのか? 交通取り締まりをしている警察官に停止を求められて「違反ですよ」と告げられ、アレコレと説明をしたところ…、「まぁ今回は切符を切らない[…]
ライバル勢を圧倒する抜群のコーナリング性能 ’80年代初頭のヤングマシン紙面には何度もRZが登場しているが、デビュー当初のRZ250の実情を知る素材としてここで選択したのは、’80年11月号に掲載した[…]
寒暖差が大きくても着替えずに対応できる! ワークマンのヒーターウエア『WindCore(ウインドコア)』シリーズは、電熱ヒーターを内蔵する防寒アイテム。別売りのバッテリー(4900円)は必要だが、もの[…]
最新の投稿記事(全体)
ワールド経験者と全日本ホープが加入! FIM世界耐久選手権(EWC)を戦っているTeam Étoile(チーム・エトワール)が2026年のライダーラインナップを12月12日(金)に発表しました。 2[…]
まさかのAMTをクラス初採用 BENDAやヒョースンなど海外メーカーがV型2気筒モデルを投入する一方、日本車ではホンダの単気筒・レブル250が孤高の地位を築く軽二輪(250cc)クルーザーカテゴリー。[…]
瞬時に色が変化! 防曇シートに調光機能を加えた「e:DRYLENS」 SHOEIが、ライディング中のクリアな視界を実現するための新たなアイテムをリリースする。その名も「e:DRYLENS」は、ベースと[…]
ハイエンドユーザーに向けたスーパーフラッグシップは何と乗りやすく調教済み! 1980年代に入ると、ホンダが切り札としていたV型4気筒は世界のレースで圧倒的な強みを発揮、それまでの主流だった並列(インラ[…]
バイク乗りが作ったからこそ、痒い所に手が届く インカムの代名詞「B+COM(ビーコム)」でおなじみのサイン・ハウスが送り出した、SPICERR(スパイサー)ブランドの「ポケッタブル高圧洗浄機」。 20[…]



























































