バッテリーはフロアボードに収納

約11万5000円の電動カブ、車重わずか53.6kgで航続距離は65kmを実現!【海外】

ホンダが中国で発表した電動カブ「Honda Cub e:(ホンダ・カブ・イー)」は、同時発表の電動ダックスや電動ズーマーに比べて細身の大径タイヤとスマートな外観が特徴だ。最高速度25km/h以下のEB=電動自転車カテゴリーで、シェアリングを意識したNFC装備など先進性にも要注目!


●文:ヤングマシン編集部(ヨ)

最高速度25km/h以下の“EB”に分類されるがディスクブレーキやサスペンションも装備

ホンダが2023年1月10日に発表した電動二輪車×3車は、いずれも最高速度25km/h以下のEB=Electric Bicycle、つまり電動自転車にカテゴライズされるもの。電動アシスト自転車ではなく、モーター動力で走行できる仕組みになっており、足漕ぎペダルを備えているのが大きな特徴だ。

中国ではこのほか、最高速度26km/h以上~50km/h以下のEM(電動モペッド=Electric Moped)、51km/h以上のEV(電動車:Electric Vehicle)と合わせて計3タイプの電動二輪車の区分がある。これらのうち、最もカジュアルな電動二輪車がEBなのだ。

本記事で取り上げるホンダカブe:は、ある意味ではホンダが初めて発売したカブ号F型(自転車用補助エンジン)の現代版と言えなくもなさそう……といっても、共通点はペダルが付いていることくらいだろうか。

バッテリー残量表示&時計の付いたLCDメーター、LEDヘッドライト、ウインカー&テールランプなどを備え、エンジン車のスーパーカブよりもスマートかつスタイリッシュに仕立てられている。

また、Bluetoothによるスマートフォンとの接続やNFCによるアクセスも可能となっており、先進的な若者の普段使いからシェアリング事業まで視野に入れているはず。

リチウムバッテリーはフロアボードに収められ、48V/20Ahの容量で65kmの航続距離を実現。インホイールモーターは16Nmのハイトルクだ。

価格は5999人民元(日本円換算約11万5000円・1/24現在)で、全4色がラインナップされる。

Honda Cub e:[2023 Chinese model]

Honda Cub e:[2023 Chinese model]

Honda Cub e:[2023 Chinese model]

クラシカルな三角形のシートはツートーンカラー。高反発クッションが内蔵される。

レンズタイプLEDを採用するヘッドライト。光量は6000カンデラ以上だという。

高コントラストのLCDメーターパネル。時計やバッテリー残量も表示できる。

リヤまわりの灯火類はシンプルかつ可愛いデザイン。

スチール製のワンピースフレームを採用。

スーパーカブらしいデザインを実現する17インチホイール。

フロントブレーキには小径ディスクに両押し2ポットキャリパーを採用し、コントロール性と安全性を両立。

最高速度25km/h以下でもサスペンションに抜かりはない。

フロアボード下に収められたバッテリーは片手で取り出せる重量6.4kgで、航続距離65kmを実現。

16Nmのトルクを誇るインホイールモーター。足漕ぎペダルからの動力を伝えるチェーンはまさしく自転車サイズだ。

参考:カブF/カブF Ⅱ

左は1952年に発売されたカブ号F型で、右は翌年登場のカブ号FⅡ型だ。足漕ぎペダル付きのカブという点では遠いご先祖様。

カブ号F型は1952年6月、ロングセラーとなったホンダA型の後を受ける形で発売された自転車補助エンジンである。エンジンは排気量 49.9cm3のピストンバルブ・横断掃気式2サイクル単気筒、最高出力は1.0PS/3,000rpm、ペダル始動・チェーン駆動であった。また、軽量かつ高い生産性を得るため、アルミダイキャスト部品やプレス部品を時代に先駆けて積極的に採用し、当時の自転車用補助エンジンでは最軽量となる6kgを達成した。

カブ号F型は“白いタンクに赤いエンジン”で親しまれた鮮やかなカラーリングとデザインもさることながら、その信頼性と、オイルの混ざった2サイクル排出ガスが運転者にかからないよう後輪左側に配置されたエンジンなどの配慮が高く評価され、発売するや瞬く間に人気を集めた。

また、カブ号F型の販売にあたりHondaは、地元の顧客と結びつきの強い全国およそ15,000軒の自転車店を販売網とするなど、斬新な拡販戦略を行った。それと同時に、従来にはない宣伝活動も展開。当時、人気絶頂の日劇ダンシングチームのダンサー50人が、カブ号F型に乗って銀座の大通りをパレード。さらに、全国へ軽飛行機を飛ばし、地域の販売店名が入ったカブ号F型の広告を空からまいた。かくして“女性にも乗れるカブ号F型”の名は、一挙に全国に広まった。その他、当時としては画期的な月賦販売(ローン)も実施した。

これらの結果、カブ号F型は爆発的にヒット。6月に1,500台だった生産台数は、10月に6,000台、12月には9,000台にまで増加した。このように、カブ号F型は当時の流通網を大きく変革し、大量生産の工業製品としての二輪車の市場を大きく拡大するきっかけとなった。

honda.co.jp より

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