マシン・オブ・ザ・イヤー2018
ホンダコレクションホール20周年特集⑩

ホンダ スーパーカブC50が走行、インプレッションも収録

2018年7月16日と9月24日、ツインリンクもてぎの南コースでホンダコレクションホール開館20周年記念イベントが開催された。いつもの動態確認テストはレーサーなどが多かったが、今回は20周年記念ということで市販製品特別走行が実施され、ホンダの黎明期から現在までのエポックメイキングなモデルが走行を披露した。

OHCエンジンを搭載した第2世代のスーパーカブ

1960年代も後半に入ると、所得水準の向上とともバイクの使われ方も次第に変わってきた。走行速度、静粛性、安全性、操作性に関する要望も、1958年に第1世代のスーパーカブC100が発売された当時とは異なり、OHVエンジンでは動弁系の騒音低減や耐久性向上に限界があると考えられた。そこでエンジンをOHCに刷新し、あわせてデザインやスイッチ類、灯火器類等の見直しを図るモデルチェンジを行うこととなった。「つばめ作戦」と呼ばれたスーパーカブの第2世代、C50の開発目標は主に以下の通りだった。

・エンジンの静粛性・耐久性をより向上させること。
・エンジンの外観寸法および重さは、第1世代のC100を超えないこと。
・点灯スイッチをハンドルに移すなど、操作性を向上させること。

1966年に発売されたC50のエンジンは第3世代のベースとなり、72ccや90ccのシリーズのモデルも生産されるようになった。スーパーカブC50は’07年の平成18年排ガス規制対応を経て、’12年に全面刷新されるまで基本的には同じ構造のまま生産され、スーパーカブシリーズの繁栄の礎となった。

【HONDA スーパーカブC50 1967年製】発売開始はスーパーカブC100発売から8年目の1966年でエンジンをOHVから新設計OHCに変更。外観もリフレッシュしてウインカーランプやテールランプを大型化し、被視認性向上を図った。写真のモデルは’67年型となる。■空冷4ストローク単気筒OHC 49㏄ 4.8ps/10000rpm 69㎏ 自動遠心クラッチ付3段変速

【インプレッション】驚きの完成度、現行型と大差ない!?

今回、個人的に最も驚いたのがこのC50。先のC100を「現行カブと”さほど”変わらない」と書いたのは、この第二世代が「現行型と”全く”変わらない!」と思えるほどの完成度だったから。実際、試乗した‘67年を目隠しして走らせたとしたら、50年前のカブとは到底思えないだろう。とにかく、各部の完成度の高まりっぷりがスゴイ。エンジンはトルルルッと静かで、自動遠心クラッチ式のギヤボックスもスコンと滑らかに変速。サスの作動性やブレーキの操作性も格段にレベルアップしており、もちろん白煙も吹かない。加えてライポジが大柄となったことでC100に感じた華奢さが払拭され、カブらしい、タフで信頼できそうな雰囲気も加わっている。

全面刷新となるC50へのモデルチェンジだが、もちろん目玉はエンジンのOHC化。「C50E」というこのエンジンは、‘64年に先行してOHC化していた65㏄版・スーパーカブC65用を50㏄化したもので、‘12年に完全刷新されるまで、なんと40年以上も改良を加えて使い続けられた名機なのだ(型式名は途中で変更)。スタイリング的にもヘッドライトがハンドルマウントとなるなど、今に繋がるスーパーカブの基本形が構築されている。

それにしてもC50の乗り味は、カブF型から14年しか経っていない、現在から50年以上も前のバイクだとは本当に信じ難い。‘17年の今(試乗時)乗っても「普通のカブじゃん!」と思えるその完成度からは、‘59年からマン島TTに参戦し始め、3年後の‘61年には125/250㏄クラスを完全制覇(それぞれ1-2-3位を独占)してしまった当時のホンダが、技術的にいかに飛躍的な進歩を遂げていたか……。それを実感できるほどの説得力があった。 ※テスター:マツ(ヤングマシン)

車格がひと回り大きくなり、C100に対してライポジにも余裕が生まれたC50。車重が15kg近く増えたことも安心感の要因か。

40年以上に渡りカブ系を支え続けたC50E。39×41.4㎜のボア×ストロークは、‘12年型で37.8×44㎜に改められるまで不変だった。

取材協力:本田技研工業/ホンダモーターサイクルジャパン
撮影:長谷川徹/ホンダ

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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