11月いっぱいで終了ですが……。

突如発表された「2021ツーリングプラン」、ないよりは確かにマシだが、あまりに期間が短すぎないか? …〈多事走論〉from Nom

2021年11月8日、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本、京都府道路公社および兵庫県道路公社は、ツーリング需要を喚起することにより、各地に広がる観光地やツーリングスポットの活性化、高速道路の利用促進を図ることを目的に、ETC搭載の二輪車限定で利用できる「ツーリングプラン」全18コースを期間限定で販売開始しました。「コロナ禍はあったにせよ、あまりにも短い」「アリバイづくり」といった声も聞かれるこの施策、確かに終了日は例年通りではありますが……。

四輪車の休日割引が先行再開し、二輪車はどうなるかと思いきや

コロナウイルス感染拡大防止のためという理由で、適用を中止していた高速道路の「休日割引」が、全国の緊急事態宣言やまん延防止処置等の解除を受けて11月3日から適用を再開しました。

11月3日の休日割引スタートと同時に、NEXCO東日本/中日本からすぐに発表された四輪対象のドライブプランは期間もコースもさまざまに取り揃えられている。二輪のツーリングプランとは高速道路会社の「やる気」が大きく異なっているような印象を持ってしまうのは筆者だけだろうか……。

と同時に、NEXCO東日本、中日本の2社はETC車載器搭載の四輪車を対象に、対象エリア内の高速料金が定額で一定期間乗り放題になる高速道路周遊プラン(高速道路会社によって呼び名は異なります)をスタートさせました。

プランの開始時期は高速道路会社や各プランによって異なりますが、NEXCO中日本の「信州めぐりフリーパス2011」などのように早いものは休日割引が始まった11月3日から早々に開始されました。

そこで、そういえば2017年から実施されていたETC車載器搭載の二輪車を対象とした四輪車の周遊プランと同様の「ツーリングプラン」は、今年はどうなったんだろうと思ったライダーも多かったのではないでしょうか。

秋も深まって、快適に楽しめるツーリングシーズンは過ぎてしまったとはいえ、各高速道路会社がふんだんに用意している四輪用のお得な高速道路周遊プランに対し、二輪用に用意されている(いた)のはツーリングプランだけ。このまま2021年は実施されないのだろうかと思っていたら、11月8日にNEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本、京都府道路公社および兵庫県道路公社の連名で2021年のツーリングプランが発表になったのはご存知のとおりです。

2017年に首都圏発着のツーリングプランが実施されて以降、翌年からは対象エリアを全国に拡大して実施されてきたツーリングプラン。実際にこのプランを利用するバイク/ライダーが一定数いたことが、来年4月からの定率割引実現に結び付いたのだ。

今回は首都圏、中京圏、関西、四国、九州の各地域で全18コースが設定され、ETC車載器を搭載した二輪車は事前登録で最大2日間(または3日間)、対象エリアの高速道路が定額で乗り降り自由という例年と同じ内容でした。

ただこのツーリングプラン、11月8日にスタートして、11月30日で終了というあまりに短い実施期間に驚かれた方も多いと思います。

多くのライダーがツーリング、とくに泊りがけのツーリングに行く週末は期間中わずか3回で、11月23日の勤労感謝の日を含めても4回。それに加えて、あまりの突然の発表で、スケジュール調整がつかなくて、利用したくてもできない方も多いのではないかと思います。

さらに、今回は北海道が対象エリアから外されています。季節要因があるにせよ、とても杓子定規な運用方法に疑問を持たざるを得ませんでした。

ボクと同様に今回発表されたツーリングプランに疑問を持ったライダーも多かったようで、なかには2021年もツーリングプランを実施したというお役所的な「アリバイつくり」に過ぎないのではないかという辛辣な意見もネットやSNSで見かけました。

全国統一展開という観点から例年同様、終了は11月30日で、北海道は除外

そこで、国土交通省の高速道路課に今回のツーリングプランの決定の背景や、期間、エリアの決定について聞いてみました。

今回のツーリングプラン発表のきっかけは、やはり11月3日からの休日割引の再開で、各高速道路会社が例年実施していた4輪車の周遊プランも準備の整った会社からスタートすることが決まったとのこと。

また、ツーリングプランに関しても、新型コロナ感染症の流行が落ち着いたら実施する予定で準備をしていて、今回、1日でも利用できる期間を設けようということでコースを設定して発表。実施期間に関しては、例年を踏襲して11月30日終了と決定し、例年10月30日でプランを終了していたのを踏襲する形で今回のエリアから北海道を除外したのだそうです。

とはいえ、前述のようにあまりに突然の発表と、非常に短い適用期間。期間を例年通りの日程にするのではなく、地域によってはもっと期間を延長するような柔軟で弾力的な運用を考えなかったのかと尋ねても、全国統一という観点からそれは難しいの一点張り。そして、冬の時期は雪の心配もあるので、ライダーの安全性も考慮して、これまで同様の11月30日終了と決めたということでした。

もし、ライダー/ユーザーの利益を優先して考えるなら、11月30日以降も天候が安定していてバイクの走行に支障が起きる可能性の少ないエリアのプランは12月以降も継続して実施して、より多くのライダーがメリットを受けられるように考えるのが当然のような気がしてしまいますが(普通の旅行会社の企画ならきっとそうするでしょうし)、とてもお役所的で、例年通りという「前例主義」が最優先されているのだなと思わざるを得ませんでした。

2021年4月から実施予定の定率割引(37.5%引き)は粛々と準備中

筆者は、休日割引が始まり、高速道路各社が周遊割を相次いで発表し始めたのにツーリングプランの発表がない段階では、いっそのこと今年の6月にNEXCO東日本/中日本/西日本が来年4月からETC搭載の二輪車を対象に実施すると発表した37.5%の定率割引(現行二輪車料金に対してで、普通車に対しては50%割引、つまり半額となる)を前倒しで実施したらどうなのだろうと考えました。

これに対して国交省は、定率割引は各高速道路会社が来年4月からの実施に向けてシステムの改修などの準備を行っている最中で、すぐに対応できることではない。東京2020オリンピックの際に料金の改変が簡単に行えるのではと指摘された首都高料金の上乗せに関しても、事前に必要な準備を進めていたうえで実施されたものであって、すぐに、そして簡単に二輪車の定率割引を実施することはできないとのことでした。

まあ、冷静に考えると、国交省が言っていることはある意味しごくまっとうで、今年は諸事情でツーリングプランの適用期間が短すぎてしまうから代替案を考えて欲しいと願うのは我々ライダー側の論理であって、実施側は前例に従ってプランの内容や期間を決定しているに過ぎず、そこで不満が生じても前例のない代替案などを講じる必要もないのでしょう。

ただ、ツーリングプランの実施に当たってはユーザーのいろいろなニーズを踏まえて検討しているという言葉とは裏腹に、毎年やっていることを、例年通りの期間で実施すればOKというのであれば、改良・進化の意志がないことを世間に公言しているようだとも言えるのではないでしょうか。

2021年のツーリングプラン、やらないよりはやったほうがいい。そう思う部分ももちろんありますし、有効に活用できるライダーの方々もいらっしゃるでしょう。

しかし、高速道路を使用するユーザーがメリットを享受するための施策であるならば、より多くの方が気軽に利用できるような条件で行ってほしいもの。

とはいえ、繰り返しになりますが、短期間でもないよりはいいと考え、より多くのライダーがなんとかこのツーリングプランを活用して、ツーリングを楽しんで欲しいものです。

そして本番は、2022年4月から実施予定の定率割引です。

土日休日限定、走行距離100㎞以上という条件付きだが、バイクの高速料金は高すぎる、四輪の半額が妥当だという主張がついに実現することになるわけだから、積極的に利用して、料金さえ適正で妥当なら高速道路を利用するバイク/ライダーが増加することをぜひ証明したい。

業界の関係者や、自民党PTなどが長年主張してきた「バイクは普通車の半額」という高速道路料金が、土日祝日限定、事前申し込みが必要で100㎞を超える走行が対象といろいろ縛りがあるにせよ、来年4月からついに実現するわけです。

なんで毎日ではないのか、100㎞以下が対象にならないのはおかしいのではといろいろと突っ込みどころが満載ではありますが、「普通車の半額」という事実が始まることが何よりも大切で、ここが二輪車はいつでも普通車の半額という悲願実現へのスタートです。

我々ライダー側は、この定率割引を最大限活用することで、二輪車の高速道路料金を適正にすればこれだけ利用率が上がるんだという事実を作って、国交省や高速道路会社に「いつでも半額」の訴えを続けていきたいものです。


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