スーパーチャージド水冷直4を搭載する唯一無二のネイキッドモデル・カワサキZ H2に、電子制御サスペンションを採用する上位仕様の「SE」が登場。フロントキャリパーをブレンボのスティレマとするなど、ブレーキセットも強化。注目はスカイフックだ!
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:カワサキ
[◯] ショーワ電子制御サスペンションが進化。200psが手の内に
「Z H2 SE」は、同系エンジン搭載のニンジャH2 SXの電子制御サスペンション仕様=SE+とは異なり、同じショーワ製ながらリヤに電気的なプリロード調整機構がない。代わりにショーワのスカイフックEERAテクノロジーを採用しているのが特徴だ。空からフックで吊り下げられているような走行安定性を目指したもので、4輪では以前からある理論だが、2輪では’13年にドゥカティが初めて採用した。
このSE、走行モードに応じて電子制御サスペンションの設定も切り替わり、スポーツならハード、ロードはノーマル、レインはソフトとなる。そして、このソフトのセッティングにスカイフック理論が導入されているのだ。実際に乗ってみると、ギャップ通過時の吸収性が抜群に良く、見えざる何かによって車体の水平が保たれているのが分かる。また、旋回中もスロットルのオンオフに対してのピッチング量が少なく、パワーが50%となるレインモードということもあって、リッタークラスのどんなネイキッドよりも扱いやすいと思ってしまうほどだ。
バランス型スーパーチャージャーを持つ998cc水冷直列4気筒は、独特の作動音と吸気音によってライダーを高揚させる一方で、低中回転域は電子制御スロットルその他のセッティングが功を奏して驚くほど扱いやすく、しかも微振動の少なさから上質感すら漂わせる。6000rpmを超えると加速感が強烈になるが、リッターオーバーの獰猛さとは異なり、まるで地面の上を滑空しているような伸び上がりを見せる。走行モードに応じて切り替わるトラクションコントロールの介入やクイックシフターの作動も適切で、クラッチレバーの操作も非常に軽い。まさに日常的に使えるエンジンなのだ。
ハンドリングは、ヘッドライトがフレームにマウントされていることもあって操舵が軽く、ネイキッドとして極めてニュートラルだ。スポーツモードでは前後サスが引き締まった動きとなり、旋回力が一段とアップする。そして、こうした場面では強化されたフロントブレーキセットが有効で、コントロール性の高さに惚れ惚れするほど。KIBS(カワサキインテリジェントアンチロックブレーキシステム)という高精度ABSも大きな安心材料だ。
[△] 条件によりフワフワと。好みで設定変更しよう
例のスカイフック、首都高など高架道路の段差では、伸び側減衰力が抜けたかのようなフワフワとした動きが出ることも。ロードやスポーツモードにすれば衝撃をタタンッと一発で収束するようになるので、よほど気になるなら切り替えれば良し。
[こんな人におすすめ] 電子制御サスペンションもついにここまで進化。選ぶならSEだ!
’04年にBMWが最初に採用して以来、飛躍的に進化した2輪用の電子制御サスペンション。アグレッシブなイメージのZ H2に必要か? という疑念はすぐに霧散した。スーパーチャージャーという突出した個性を持つネイキッド、この価格は実に良心的だ。
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